事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します

日本共産党が破壊活動防止法上の調査対象団体であるソース:太白区選出の仙台市議わたなべ拓の勝利

 

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「日本共産党が破壊活動防止法上の調査対象団体である」ということのソースをまとめます。これに関連して仙台市議会でひと悶着があったので、その事案も合わせて紹介します。

これは少し前の時期の話ですが、仙台市議のわたなべ拓(ひろし)議員が仙台市議会で水道公社などの外郭団体の職員採用に際し、破防法に基づく調査対象団体であるかは一つの要素ではないか、という質疑を行いました。これに関連し、共産党市議の花木則彰によって懲罰動議が提案された、という事案です。

自民党選出の仙台市議のわたなべ拓とは

渡辺拓=わたなべ拓(ひろし)議員は、太白区選出の議員です。

実は渡辺博(わたなべひろし)という宮城野区選出の議員が別人としていらっしゃいます。

彼らは羽生結弦選手の凱旋パレードで仙台市が日の丸を配布することやパレードの終点である市役所での半旗掲揚を議会で要請した方々です。この提案は杜人の会などの市民団体が主導していました。実際にも市によって日の丸が配布されました。

仙台市議会での渡辺拓議員の質疑:外郭団体の背景調査

平成30年第1回定例会2月27日予算等審査特別委員会における質疑が問題だとされたので確認していきます。

地方公務員法上の任用基準

質問は市の外郭団体の職員採用試験において「日本国憲法施行の日以後において日本国憲法またはそのもとに成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者」は認めない旨の条項欠格条項が設けられているが、その判断方法と設けていない外郭団体は問題ではないかという質疑が行われました。

市の回答は、外郭団体も地方公務員の欠格要件に該当していればダメだということで、欠格要件に加えていない団体については加えるように協議を進めること、確認方法は、採用の際の署名によって申告してもらうこと、年3回の評価を行っていると回答しました。外郭団体の職員は公務員ではないですが、同等の扱いがなされており、公務員について定めた規定が準用されていることが多いです。

地方公務員法では公務員の任用基準が定められています。

第十五条 職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。

第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
三 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

16条5号が今回と関係があるということです。

日本共産党が破壊活動防止法上の調査対象団体であるという指摘

市の回答を受けて、次の質疑がなされました。

◯わたなべ拓委員 ー省略ー政府は平成28年3月22日に閣議において日本共産党について現在においても破壊活動防止法に基づく調査対象団体であるとの答弁書を決定しております。
 ー中略ー公安調査庁におきます正式な文書におきましても、共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁の見解としてこう述べております。日本共産党は第5回全国協議会、昭和26年、1951年に採択した51年綱領と我々は武装の準備と行動を開始しなければならないという軍事方針に基づいて、武装闘争の戦術を採用し、各地で殺人事件や騒擾事件などを引き起こしました。
 ちなみに殺人事件は白鳥事件、これは警察官を共産党員が撲殺した事件です。また、騒擾事件に関しましては阪神教育事件、これは在日朝鮮人と共同して暴動、騒乱状態を惹起し、大阪府庁を占拠したという事件です。
 その後、共産党は武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが、革命の形態が平和的になるか、非平和的になるかは敵の出方によるとする、いわゆる敵の出方論を採用し、暴力革命の可能性を否定することなく現在に至っていると。
 ー中略ーここで先ほど課された反社会的属性チェックに関連する団体ですけれども、例えばオウム真理教や日本共産党は公安調査庁の調査対象団体でありますけれども、こうした点にしっかり留意して本市の外郭団体の職員の採用についても重々御注意いただきたいと存じます。

この歴史はあまり語られないので知っておくべきです。戦後の日本において、テロは多数行われてきました。あさま山荘事件や日航機ハイジャック事件も、こういう事件の延長線上にあります。破防法に基づく調査対象団体は、他に朝鮮総連などがあります。

要するに、外郭団体は地方公務員法の縛りを直接は受けないので、地方公務員法上の規定にない理由であっても欠格条項ではないにしろ斟酌するべきではないか、というのがわたなべ拓議員の狙いです。

上記の認識に基づくこの後の市長に対する質疑が日本共産党への誹謗中傷だとして、共産党市議の花木則彰議員によってわたなべ拓議員の懲罰動議が出されました。

同時に、このときの花木則彰議員の行為が議事進行の妨害行為であると問題視され、こちらも懲罰動議が出されました。

ところで、日本共産党は16条5号にあたらないのか?と思いますが、現実に共産党市議が居るということは、当たらないのでしょう。国会議事録でもそうなっています。公務員の場合は地方公務員法上の規定に基づかなければ欠格事由にはできません。

それにしても、なぜそう解釈されているのかは改めて考えると不思議です。

日本共産党が破壊活動防止法上の調査対象団体であることのソース

鈴木貴子衆議院議員提出の【日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問主意書】に対する平成二十八年三月二十二日回答の答弁書で以下述べられています。

御指摘の昭和五十七年四月一日の参議院法務委員会において、鎌田好夫公安調査庁長官(当時)が、破壊活動防止法に基づく当時の調査対象団体の数について「いわゆる左翼系統といたしまして七団体、右翼系統といたしまして八団体程度」と答弁し、当該調査対象団体の名称について「左翼関係としましては日本共産党・・・等でございます」と答弁している。
 日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である。

公安調査庁もこの答弁書を引用しています。

この見解に対して共産党側は撤回をもとめましたが、撤回はなされていません。

なお、「日本共産党に破壊活動防止法が適用された」わけではないので注意。

あくまでも調査対象団体であるということに留まります。

調査対象団体になると、公安調査庁が毎年発行している【内外情勢の回顧と展望】にて報告がなされます。

共産党市議の花木則彰による懲罰動議の提出理由

共産党市議の花木則彰氏によってわたなべ議員への懲罰動議が出されましたが、理由は【共産党は暴力主義革命の方針を持っていない】【したがって、共産党が暴力主義革命の方針を持っているという政府の答弁は事実に反するため、それをベースに為された質疑は共産党に対する誹謗中傷である】というものです。

花木則彰委員

この答弁書は、日本共産党は破壊活動防止法に基づく調査対象団体であるというふうに書かれています。しかし、先ほども話をしたように、破壊活動防止法には調査対象団体という規定はないわけです。ですから、基づくこの調査対象団体という表現自体がそもそも事実に反していると思います。

公安による「調査」の根拠として破防法があるので間違いではないですよ。

日本共産党は、暴力の革命の方針などは持っていません。日本共産党は綱領でも明らかにしているとおり、言論と選挙を通じて議会で多数を占めて、国民有権者とともに一歩一歩政治と社会を進歩前進させるという立場に立っています。もし、委員の皆さんの中に、日本共産党の綱領を見たことがないという方があれば、いつでも私たち提供いたしますので、ぜひ見ていただいて、そして審査をしていただきたいと思います。破壊活動防止法の対象となる政党ではありません。

日本共産党の綱領はこちらです。

しかし、公安調査庁による【共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁見解】では、以下の記述があります。

(注2) 共産党は,「『議会の多数を得て社会変革を進める』-これが日本共産党の一貫した方針であり,『暴力革命』など縁もゆかりもない」(3月24日付け「しんぶん赤旗」)などと主張していますが,同党が,日本社会党の「議会を通じての平和革命」路線を否定してきたことは,不破前議長の以下の論文でも明らかです。
 ○ 「『暴力革命唯一論』者の議論は,民主主義を擁護する人民の力を無視した受動的な敗北主義の議論である。しかし,反対に『平和革命』の道を唯一のものとして絶対化する『平和革命必然論』もまた,米日支配層の反動的な攻撃にたいする労働者階級と人民の警戒心を失わせる日和見主義的『楽観主義』の議論であり,解放闘争の方法を誤まらせるものなのである」(不破哲三著「日本社会党の綱領的路線の問題点」)

要するに暴力革命の可能性を完全には捨てていないと考えられるということです。

たとえばIS(イスラミックステート)やアルカイダが「我々はテロの可能性を捨てた」などと言っても信用できますか?という話です。 

共産党市議の花木則彰は陳謝の懲罰が宣告

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結局、わたなべ拓議員については懲罰は無し。花木則彰議員はこのときの議事進行の妨害が原因で懲罰動議の継続審査が3月に決定し、第二回定例会6月13日の本会議によって、陳謝の懲罰が花木議員に下りました。

まとめ:破防法上の調査対象団体の扱いについて

公安による調査対象団体であるという属性が外郭団体の職員採用の際に不採用となる欠格条項となるべきか。この問題は、現在もグレーゾーンとして残っています。

欠格条項としない場合でも、外郭団体の側が公安による調査対象団体であるという属性を不採用と判断する際の考慮要素として斟酌しても、何ら問題はありません。そこは契約締結の自由があるため、雇用の際の思想調査が直ちに違法となるわけではないということは三菱樹脂事件の最高裁判決で示されています。
※今回は市の外郭団体である公益財団法人仙台市水道サービス公社が引き合いに出されましたが、これは単なる公益法人たる私人であるため、三菱樹脂事件が先例となります。
※仙台市においては外郭団体の職員の採用は各団体の判断によることを基本としているという答弁があるため、地方公務員法15条を準用していません。
※契約締結の自由の根拠として三菱樹脂事件の最高裁判決では憲法22条の経済活動の自由や29条の財産権の保障から導いていますが、必ずしもそれらに限らない場合がありその場合には憲法13条が根拠とする見解があります。

地方公務員法16条5号に該当しないとしても、破防法上の調査対象団体である場合にはそれに準じた評価がなされるべきだという価値判断は正当だと思います。

以上