事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

毎日新聞都構想218億デマで担当者や経営者が禁固刑の可能性はあるのか?

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毎日新聞都構想218億デマに新事実が。

担当者らに刑事罰の可能性も出てきたと思います。

毎日新聞都構想218億デマ記事を職員に事前に見せていた

毎日新聞記者、取材先の大阪市職員に掲載前の下書き原稿見せる…都構想巡り : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

1日に否決された「大阪都構想」の住民投票に関連し、毎日新聞が10月26日夕刊(大阪本社版)に掲載した記事について、毎日新聞大阪本社の記者が、取材先の大阪市財政局の職員に、掲載前の原稿の下書き(草稿)を2度、見せていたことが、市や同社への取材でわかった。

中略

原稿を事前に渡すことで、取材対象の介入を招くおそれがある。毎日新聞大阪本社の島田智編集局長は「記事には専門的な内容が含まれ、記者は慎重に取材して正確を期す意図だったが、取材相手に草稿を渡す行為は軽率だった」とコメントした。

読売新聞によると、毎日新聞は「都構想で218億コスト増」のデマ記事を職員に事前に見せていたことが判明したということです。

新聞の場合、取材対象者による介入を排除するためにこのようなことを行うのは異例ということで、「軽率」以上の意図を感じます。

毎日新聞側から基準財政需要額を出すよう要請していた

大阪市「都構想で4分割ならコスト218億円増」はデマと明言

この話は上記記事等でまとめていますがあらためて簡潔に。

そもそも、大阪市は「複数の報道機関から財政局に対し、大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額と大阪市の基準財政需要額との比較について試算作成の依頼」があったと言っています。

つまり、毎日新聞の側からの要請で計算が行われたのです。

  1. 分市=4政令市への分割という前提が異常⇒都構想は特別区に分割
  2. 「分市した場合の試算」も虚偽⇒人口が変わっただけというあり得ない想定、本来別の補正もあるのに、段階補正だけかかり数字は上振れ
  3. 基準財政需要額の話は現実のコストとは無関係。交付税の算定の際に使われる数字
  4. しかも、そのような数字を出すように毎日新聞が誘導していた
  5. にもかかわらず財政局が独自に試算していたかのように報道。

無関係な数字×到底あり得ない前提で出した数字を、あたかも都構想で4特別区に分割した場合の試算であるかのように誤認させる記事を書いたのみならず、そのような計算をするよう報道元が誘導し、さらには大阪市が独自に計算していたものをスクープしたかのように記述していたというマッチポンプ。

一つ一つの文に間違いがなかろうが、全体として「捏造」と評価すべき。

毎日新聞の担当者や経営者が禁固刑の可能性

毎日新聞の記事には公職選挙法違反の可能性があり、担当者や経営者が禁固刑に処される可能性があります。

公職選挙法 ※読み替え後
(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)
第百四十八条 この法律に定めるところの投票運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、特別区の設置についての投票に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して特別区の設置についての投票の公正を害してはならない。

条文の建付けなどはこちら:大阪都構想否決の場合に虚偽報道による投票無効を求める者が乗り越えるべき壁|Nathan(ねーさん)|note

第二百三十五条の二 次の各号の一に該当する者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第百四十八条第一項ただし書(第二百一条の十五第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して新聞紙又は雑誌が選挙の公正を害したときは、その新聞紙若しくは雑誌の編集を実際に担当した者又はその新聞紙若しくは雑誌の経営を担当した者

この規定は、148条1項ただし書に関しては、大都市法の準用対象外ではありませんので、今回の大阪都構想の場合に問題になります。

毎日新聞の担当者やこの記事の掲載を許した者らは「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して」に当たると言えるのか。

「等表現の自由を濫用して」とあるように、「虚偽の事項記載や事実の歪曲」以外であっても処罰対象とする規定です。

投票の公正を害して」については、報道機関の報道によってそれを害することが可能であるという前提の規定なので、現実に投票行動を変えた人間の実在を証明しなくとも認定可能であるというのが立法趣旨と思われます。

刑罰法規の明確性

仮に刑事裁判になった場合、「等表現の自由を濫用して」という規定が刑罰法規の明確性に反して違憲無効であるという主張が為されるかもしれません。

ただ、特別公務員職権濫用罪などがあるように、このような表現の刑罰法規は当たり前に存在しているので、その主張は通るのかどうか。

毎日新聞の担当者らは告発されるべきではないでしょうか?

以上