【取材対象者】の安全は?
- 日本民間放送連盟『取材者・スタッフ・出演者の安全を最優先』
- 『取材対象者』の安全は?プライバシーや仕事への影響
- 災害時の現地報道での負担や対立を生み出す誤認識の拡散
- 取材者やスタッフ等への攻撃の呼び水となっている被害者しぐさ
- 「社会の期待」に甘えるのではなく、事実報道による正確な認識を伝えよ
日本民間放送連盟『取材者・スタッフ・出演者の安全を最優先』
(報道発表)取材者等の安全を守るための声明
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2025年7月3日
2025年7月2日 日本民間放送連盟
テレビ局が大谷翔平の邸宅住所地晒してガチの危険に晒した時、『取材対象者等の安全』を守ろうとしましたか? pic.twitter.com/ukKN6Pc2GN
一般社団法人 日本民間放送連盟(報道発表)取材者等の安全を守るための声明 2025年7月2日
日本民間放送連盟が声明を出し、「取材者およびスタッフ、出演者の安全を最優先に行動」とした後、以下の事実認識を述べています。
近年、SNSをはじめとするインターネット上においては、取材者やスタッフ、出演者個人に対する根拠のない誹謗中傷や侮辱、さらにはプライバシーに属する画像や情報を無断で公開するといった著しい人権侵害行為が頻発しています。加えて、取材現場においては、取材者に身体的な危害が加えられる事案までもが発生しています。
『取材対象者』の安全は?プライバシーや仕事への影響
たとえば日本テレビとフジテレビは、令和6年12月に大谷翔平選手のロサンゼルスの邸宅に関し、空撮映像や自宅前からのレポート、近所へのインタビューなどを実施した結果、ドジャースから貸与されている『取材パス』を凍結されてしまった、ということがありました。*1
アメリカではセレブの自宅に強盗が入ったり、家族が誘拐され多額の身代金を要求される事件が頻発していたなかで、誰でも大谷選手の自宅住所を特定できてしまう映像を流してしまったことになります。
また、公的施設に行けば取材できるにもかかわらず、騒動の中心となっている政治家や公務員の自宅前というプライバシー領域に限りなく近い場所に張り付いて「直撃取材」と称してまとわりつくといった行為も横行しています。
他、2021年の東京オリンピックでは、日本テレビのクルーによる卓球の試合中のカメラのフラッシュが選手に影響を与え注意を受けていたように、最も配慮されるべき選手ですらぞんざいな扱いを受けているといったことは枚挙にいとまがありません。
こうした『取材対象者の安全』については、放送連盟は何らも対処しないのでしょうか?少なくとも今回のような声明は出されていませんし、今回の声明でも、放送の登場人物の中で『取材対象者の安全』だけが無視されているのは、いったいどういうことなんでしょうか?
災害時の現地報道での負担や対立を生み出す誤認識の拡散
さらには、災害や事故現場の周辺環境や地域への風評加害行為についても、テレビ局が加担した例もあります。
雲仙・普賢岳の火砕流によって死者が発生した事案では、報道関係者が、住民避難で人が居なくなった住居に侵入して電気窃盗する事案が発生したために消防団員などが危険区域に戻らざるを得なかったなど、犠牲者の大半が報道関係者の行動に起因したものと言えるような実態が報告されています。
福島第一原発事故に関しては無数の事例があります。
放射線に関するファクトチェック番組を企画したら現場を外されたという暴露があったり、センセーショナルな見出しで無理筋の計算をした被爆の可能性を報じたり、処理水の海洋放出に関して風評加害を払拭せずむしろ助長するような放送をしていたこともありました。
令和7年7月現在で進行している事案としては、トカラ列島近海の地震に関連して鹿児島県十島村が報道関係者に取材が住民への負担となっているため配慮を求めざるを得なくなっている、という状況が発生しています。
(報道の皆様へ・現地への配慮のお願い)十島村での地震について – 十島村役場公式サイト 2025年07月02日
「地域住民や行政への負荷を軽減するための取り組み」とか、災害報道なんていくらでもしてきたはずで、そういったものの発信があって然るべきなのに、まったく見当たらないですよね。
取材者やスタッフ等への攻撃の呼び水となっている被害者しぐさ
自らの行為を無視して「一方的な被害者しぐさ」をしている姿が、放送局の取材者やスタッフ等への攻撃の呼び水となっている側面はあると言わざるを得ないでしょう。
「尊厳の時代」から、弱者を装う被害者の持て囃しの時代になってるということを林智弘氏が【「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」】で紹介していましたが、メディア自身が弱者を装うのはなんなのか。
もっとも、過激な取材等をする者と、そうではない善良な取材記者・スタッフ等にはズレがあり、後者が前者の割を食っている面があるのではないか?と思わざるを得ない状況があります。
特に、テレビ局のアナウンサーや司会者は、番組の方針に基づいて進行・発言し、画面に映っている時間が多いがために標的になりやすく、明らかに責任の無い点についてまで謂れのない非難を受けている場面をSNSではよく見かけます。
「社会の期待」に甘えるのではなく、事実報道による正確な認識を伝えよ
今後も社会の期待に応える報道・番組制作を継続していきます
声明の最後にはこのようにして締めていますが、「社会の期待に応える」って、どうとでも取れる文言なんですよね。
「お前らがスキャンダル好きだから報じてやってるんだよ」という意味にもとれます。需要の問題で、スキャンダルや性犯罪ばかりインプレッションが高くなってる現状に阿っていたら、まともな報道はなくなります。
普通に「事実を正確に報じます」とは、決して言わない。
日本のジャーナリストは「事実をありのまま伝える」がそれほど重要視されず、「政治監視」を重視しており、他国と比べて極めて異質な構造となっています。
政治監視の結果が「裏金議員」という、事実に反する情動的なレッテル張りに。
「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」85p
自分たちの神話を成就させるため「フクシマ」の…不吉な「予言」を繰り返した。一方で、「予言が外れた」こと、安全性を示す知見や、平穏に暮らす現地の人々を無視あるいは否定した。自分達の身勝手な-もはや呪いと呼ぶべき「物語」…を執拗に求めた
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