事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【2018新潟県知事選】花角英世、池田千賀子らに対するデマ情報等のまとめ

池田千賀子(池田ちかこ)花角英世(はなずみ英世)
2018年新潟県知事選の候補者である花角英世(はなずみ英世)、池田千賀子(池田ちかこ)らに対するデマが多く流れました。また、デマ以外にも問題視された行為についてまとめます。

公職選挙法では投票日当日の選挙運動は違法となりますが、この記事は特定の候補者の応援をするものではなく、各候補者に対する情報の検証を行うだけなので問題はありません。

花角英世候補に対するデマ

かなり悪質なデマがありました。言葉の用法の問題(定義の問題でもある)と事実関係の問題があります。

落下傘候補・森友関係者という印象操作とデマ

「落下傘候補」という言葉は「地元出身ではない・地元に根差さない候補」「地縁や血縁の無い候補」という用法で使われてきました。花角氏は新潟県生まれで高校まで県内の高校に通い、大学や入省後は関係が離れたかもしれませんが、2013年には新潟県副知事に就任しています。

落下傘候補という形容は「生涯のうち大学入学後、就職して相当期間地元に居なかった者」を指して言うような用語法ではなかったのは明らかです。

「池田氏のようにずっと地元に根差している者と比べれば縁が薄い」と評価するのならばわかりますが、落下傘候補という言葉の定義が固まったものではないことをいいことに印象操作をするのは何でもかんでも「ヘイトの問題」と主張する輩と同じ思考形態ですね。

「大阪航空局長をしていたから」森友学園と関係があるという言説も、時系列的に無理があります。

詳しくは上記の以下略ちゃん(@ikaryakuchan)の記事をどうぞ。

花角氏が「女性知事は不要」と言ったというデマ

ネット上ではなぜか花角氏が「女性の知事は必要ない」と発言したという情報が一時期拡散されましたが、まずはそれはデマです。

  1. 「女性の知事は必要ない」は応援弁士の商工会長が発言
  2. 花角氏は当該発言の趣旨を「女性とか男性とかは関係がない。能力がある人こそ大切だ」とおっしゃったのではないかと解釈。

2番目は横田一氏の取材に基づきます。
魚拓:https://web.archive.org/web/20180610032240/https://hbol.jp/167469

私は、「花角氏本人の発言ではないから問題がない」というのは違うと思います。

応援弁士の発言は本人のものではないにしろ、本人の意見も同様だと思われる可能性はあり、適切に対応するべきだったと思います。特に、動画や記事の切り貼りで報道されるご時世ですから発言の文脈や意図を適切に伝えるべきでしょう。

ただ、「謝罪をするべきだった」というのも違いますね。

魚拓:http://archive.is/7ATA9

『「女性の知事は必要ない」は、それだけでは誤解を与える表現だったが、これは池田ちかこ候補自身が「女性知事を誕生させましょう」と、女性性を利用していることに対するアンチテーゼであったのであり、そのような趣旨で発言していた』と花角氏は説明するべきだったでしょう。
(商工会長が真実としてどのような意図だったかはどうであれ)

もちろん、商工会長の演説は誤解を与え、切り取り報道の危険を花角氏に与えるもので、甚だ不適切であったことは間違いありません。

なお、この一連の話の中では「畠山理仁氏がデマを流した」という言説がネットで騒がれましたが、それこそデマです。畠山氏は最初から商工会長が発言したとツイートしており、上記の動画も畠山氏がUPしたものです。

畠山氏についての誤解の詳細はKSLさんの記事で指摘されています。

選挙にかこつけて悪質なデマを流す輩

新潟県は柏崎刈羽原発が存在しています。なので原発の廃止も争点となっていました。

そのような中で原発や放射能についての非科学的な見解を流す輩が出ており、福島県に対する風評被害をまき散らす形になっていました。

魚拓:http://archive.is/dwIFI

結局このように謝罪しているのであげつらう事はしませんが、これに至るまでの顛末もいろいろと酷かったので、気になる人はKSLさんの記事を見てください。

保育士が園児に池田氏の応援横断幕を書かせた行為について

新潟県柏崎市保育士が池田氏応援の横断幕を園児に書かせる
柏崎市長が職員の不祥事について(おわび)(平成30年6月7日報道発表)|柏崎市にて報道発表をしています。公立の幼稚園なので、地方公務員法違反の行為であると指摘されています。園長も容認していたということです。魚拓:http://archive.is/oWyKB

この記者会見内容についても、柏崎市長が特定候補者の名前を出したかのようにフェイスブック上で投稿する市議がいたため削除するよう申し入れしたという後日談もあります。

ただし、注意したいのは、池田ちかこ氏が何か働きかけをした結果、このような事態になったということは何らの情報もないということです。

勝手に応援された結果について責任を取らなければならないというのは意味不明です。

※当確情報後追記

写真にある園児が描いた応援絵の下部には「自治労新潟県本部保育部会」という文字があるのがわかります。自治労は社民党を支持しているので、社民党候補である池田ちかこ氏との関係性が疑われるのは当然です。

ただ、繰り返しますが池田氏本人が公選法違反に問われるかどうかは、自治労等の支援組織が保育士に働きかけたということがわかった上で自治労等の支援組織と池田氏との間に共謀があることが必要です。もしくは、池田氏本人が直接保育士に働きかけたという事実が必要です。

池田ちかこ公選法違反疑惑保育士幼稚園児

たとえばこの写真をもって「池田氏が子供に公選法違反をさせた」と言う人が居ますが、かなり慎重に検討しなければそのように言うことは控えるべきです。

池田氏が「さぁ、子どもたちも一緒に!」などと呼びかけをしていたならともかく、子供を連れてきた親が自発的に行ったという場合には池田氏の公選法違反の行為そのものがなかったことになりますし、「みなさんプラカードを揚げましょう」と言ったとしても子供に向けられた言辞かどうかというと、少なくとも故意が否定されるでしょう。 

 

ただでさえ、不当な懲戒請求が横行した後ですから、この件についても通報するのであれば明確な根拠をもって行うべきですね。

池田千賀子候補に対するデマ

池田氏に対するデマも発生していました。 

「池田候補の下半身ネタを文春が報じる」は虚偽情報か

ハーバービジネスオンラインでは「選挙期間中に報道しなければ意味がない」「文春が今週になっても該当記事を掲載しなかった」から虚偽情報であると断じています。しかし、よくもまぁこのような浅い状況証拠だけで虚偽情報と断定するなぁと思います。

もちろん、現時点でこの情報は信憑性が極めて低いものであることは間違いありません。しかし、この記事の不思議なところは、週刊文春に対しては取材した痕跡がないということと、上記の状況証拠以外に認定する材料がないこと。他の媒体の情報を虚偽と認定するなら、もっと詳細を詰めて論じないと危険だと思いますね。 

「池田ちかこは一貫して拉致問題は無いと主張していた」はデマか

前提として、社民党自体が「拉致問題は創作されたものである」という立場を採っていた時期があるということです。そのため、池田氏もそのような立場だったはずだ、という憶測がなされていました。しかし

  1. KSL-Live!が噂の元となるツイートは誤解を生むと指摘
  2. 月刊社会民主1997年7月号には池田ちかこ氏の記事は存在しないことが判明
    国立国会図書館の保存データ(←リンク)で確認可能。1997~2002年の月刊社会民主には池田ちかこ氏の記事はなし。
  3. 噂の源となるツイートをした者はツイートを削除して誤解の無いよう再投稿
  4. 蓮池透氏が当該事実を否定する動画をUP
  5. それを池田ちかこ氏を応援するアカウントがUP(←リンク)
  6. 池田ちかこ氏本人のアカウントが、応援アカウントの上記ツイートをリツイート
  7. 別の時と媒体で池田氏の同様の主張を指摘する言論や証拠は現時点で不存在
  8. KSLの指摘後に噂を追認する画像が流通したが拡散者が謝罪、ツイート削除

一つだけ気になるのは、何故か池田氏本人のアカウントのツイートでしっかりと説明していないということですね。なぜ本人アカウントで明確に否定しないのでしょうか?

現時点で否定されているのは『月刊社会民主1997年7月号で池田氏がそのような発言をしていた』ということに過ぎませんから、別の時と場所でそのような発言をしていた可能性は理論上は残っているわけです。しかし、そのような主張をする者は居ません。

そして、「同様の発言が別のところであった」と主張する者に立証責任があり、現時点では信憑性が極めて低いウワサに過ぎないと言えます。「発言がなかったこと」の証明を求めるのは悪魔の証明なので、現時点ではデマと言ってしまってよいでしょう。

「拉致は無い」のデマ画像の発生源はどこか?

「拉致問題は創作された事件」という捏造

「拉致問題は創作だと言った」という情報の発生源である元ツイートについてはKSLさんが指摘しましたが、KSLの指摘後もなお池田氏が「拉致は無いと主張している」という画像が出回りました。

これは松林利一氏という者のFacebookで投稿されたものが発端のようです。

松林利一による池田氏「拉致は創作」デマ

コメント欄の反応から、こちらの投稿が初出だということがわかります。

ツイッター上ではこれ以降、上記画像が出回ることになります。

投稿時間は6月4日の23時04分です。KSL-Live!がデマの検証記事を書いた後であり、その後も訂正がないため擁護のしようがありません。

また、「偏向報道から国民を守る会」のクレジットがついていますが、これは会の意思とは無関係に松林氏個人が独断で作成したものです。現に、偏向報道から国民を守る会のHP上には存在しない画像が松林氏によって多数つくられています。松林氏は度々上記のような体裁の画像を作成して投稿しているため、他の者が作成した可能性は非常に低いです。

松林氏は「偏向報道から国民を守る会」の管理者であるため、これが会の公式見解であると考える者は多いでしょう。

偏向報道から国民を守る会の管理者

会の名前を使って信憑性を高めようとしていたのか知りませんが、迷惑極まりない行為ですね。

「池田候補の『応援のために』ニュース23膳場貴子が街宣に駆け付けた」はデマか

きっかけは社民党新潟県連代表の小山芳元県議のツイートですが、表現が「応援のために」という意味に捉えかねないものであったという事をKSLさんが検証しています。

実際は単なる取材に過ぎない(小山氏の言うことが本当であれば、取材にかこつけて応援の言辞を送ったことになる)が、ネット上ではこのツイートを元に「応援のために駆け付けた」という認識を持つ者もいます。信憑性の低い危険な断定なので気を付けるべきでしょう。 

ただ、これを捏造とまで言い切ってしまっていいかというと、逃げ道はあるので危険だと思います。

まとめ:外野による泥仕合

ここで取り上げた事案は、花角英世氏や池田千賀子氏らが関与したものではないものがほとんどという事がわかります。外野がかってに騒いでデマを生成・拡散することは、候補者にとって迷惑ですし、新潟県の評判にも響きます。

応援者や情報拡散をする者は、一度冷静になって情報を検証するべきでしょう。

ただ、今回は松林氏を除いて、誤った情報を拡散した者が謝罪をしっかりとしており、一定の希望を見出せるものとなっていると思います。

以上