事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日本維新の会皇室制度調査会、旧皇族の皇籍復帰案の意見書を提出へ

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採用するのであれば、早く結論を出して実行しなければならない。

日本維新の会皇室制度調査会:旧皇族の皇籍復帰案

日本維新の会の皇室制度調査会が旧皇族の皇籍復帰案を「高く評価」藤田幹事長も「養子縁組案を具体化させていくべきだ」と主張。

皇室典範9条の改正により皇族が養子縁組をすることを可能にする案を含む意見書を衆参両議長に提出する予定としました。

旧宮家養子案実現を 皇位継承で意見書―維新:時事ドットコム

日本維新の会は12日、皇室制度調査会の会合を衆院議員会館で開き、安定的な皇位継承の在り方に関する意見書をまとめた。政府有識者会議の報告書で示された案のうち、旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する案を「特に高く評価できる」とし、「皇室典範の改正により、安定的な法制度として実現すべきだ」と記した。

 女性皇族が結婚後も皇室に残る案については「皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないかと懸念する声があることにも十分留意する必要がある」と指摘した。週内にも衆参両院議長に提出する。
 同調査会の座長を務める藤田文武幹事長は記者団に「養子縁組案をぜひ具体化させていくべきだ」と強調。

旧宮家の皇籍復帰案「特に高く評価」 維新、皇位継承意見案を了承 - 産経ニュース

意見案は、報告書で示された旧宮家の男系男子の養子縁組などによる皇籍復帰案を「特に高く評価できる」と明記。昭和22年に皇籍離脱を余儀なくされた「旧11宮家」の男系男子に関して、「現在の憲法下において、皇籍を離脱するまで皇位継承資格を持っていた方々だ」と強調した。

議論の経緯は⇒安倍政権「女性・女系天皇潰しプラン」と女性宮家、旧皇族の皇籍復帰・養子縁組の議論の経緯のまとめ - 事実を整える

現在の皇室に皇位継承権者が秋篠宮皇嗣殿下・悠仁親王殿下・三笠宮殿下しか居られず、皇位継承権者の先細りが起きていること、女性皇族は婚姻で皇籍離脱するため皇室の規模も縮小していることが問題の発端です。

旧皇族・旧宮家の皇籍復帰における憲法問題の主張

【旧皇族の皇籍復帰の憲法問題まとめ】宍戸常寿の養子縁組に関する「違憲の懸念」への反応と反論 - 事実を整える

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議において、旧皇族・旧宮家の皇籍復帰における憲法問題の主張が一部の者から為され、報告書の中でも紹介されています。

日本維新の会の意見書は、この点について答えているのでしょうか?

旧皇族の意思やその他の主張について

「旧皇族(旧宮家)は復帰の意思は無いと回答」「旧皇族復帰は竹田恒泰が皇族になる」という話の実際 - 事実を整える

「旧皇族が復帰に応じなければ意味が無い」という主張をする者が居るが、まず国家が受け入れ準備をしなければ旧皇族が『天皇・皇族の身分欲しさだろ』という非難を受けるので、採用するなら受け入れ準備が先です。

皇籍離脱の経緯としても、GHQによる皇室財産制限を背景に離脱せざるを得なかったという事情があるため、国家の側からアプローチするのが筋です。

過去には「旧皇族に取材をしても復帰の意思は無いと回答された」と言われたことがありましたが、旧皇族間で無回答の示し合わせが為されていたという事情があります。

その理由は、やはり無用な批判が生じることがミエミエだからでしょう。

皇籍復帰や臣民として生まれた者が天皇となったことについては歴史上先例があるものの、確固とした伝統とはなっているとは言えないことから、反対の見解の者が居ます。

その者の中で、「現憲法下では前例が無い」という点を言う者が居ますが、一般に訴訟でも日本国憲法施行以前の事情を勘案して種々の法的判断をすることはあります。

たとえば⇒同性婚訴訟札幌地裁判決の簡潔な解説・まとめ

歴史的伝統的な話について、現憲法の施行前後で勘案する事情を分ける理解は、『今の天皇は3代目だ』というような革新左派による歴史観と通底していると言え、かなり先鋭化しているんじゃないでしょうか。

なお、女系天皇積極推進者が旧皇族について「600年離れた」「世俗に塗れた」「どこの馬の骨ともわからない者が」と言う例がSNSで見つかりますが、「女系天皇」の場合には外部から一般男性が皇室に入るのであり、完全に自分らの論の不整合を鏡写しにした主張です。

他方で、状況により消極的に女系継承を容認する立場の者は、そういう主張はしていません。その見極めは大事だと思います。

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