新紙幣・貨幣も発行されることですし、お金に関する法律をまとめます。
- 紙幣・貨幣(日本銀行券=お札、硬貨)についてのQAサイト
- 日本銀行券(紙幣・お札)のデザインは誰が決めるのか?
- すかしに関する法律:すき入紙製造取締法
- 過去に発行されたお金で現在も使えるもの:「古いお札は使えなくなる」という詐欺に注意!
- 偽物のお金(偽札・偽貨)を製造・印刷・使用・輸入した場合
- 紛らわしいものを製造・販売した場合:通貨及証券模造取締法
- お金を故意に傷つける行為:貨幣損傷等取締法
- 貨幣の製造と発行の違い
- お金の製造・発行等に関する法律まとめ
紙幣・貨幣(日本銀行券=お札、硬貨)についてのQAサイト
銀行券(お札)と貨幣(硬貨) : 日本銀行 Bank of Japan:魚拓。
紙幣・貨幣の製造・発行については上記のサイトを見ればいいでしょう。
日本銀行券(紙幣・お札)のデザインは誰が決めるのか?
銀行券(お札)と貨幣(硬貨) : 日本銀行 Bank of Japan:魚拓。
お札の額面や肖像などのデザインは、誰が決めるのですか? 現在発行されているお札の肖像は誰ですか?
銀行券(お札)の種類は、政令で定められます(日本銀行法第47条第1項)。
また、銀行券の肖像などの様式は、財務大臣が定め、公示することとなっています(日本銀行法第47条第2項)。
日本銀行法では日銀券の種類は政令で定めて財務大臣が公示するとあります。
第四十七条 日本銀行券の種類は、政令で定める。
2 日本銀行券の様式は、財務大臣が定め、これを公示する。
ですから、現在で言えば麻生財務大臣が決定するというのは予め法令で決まっていたということです。
「政令」は日本銀行法施行令、これに基づいた省令が日本銀行法施行規則です。
過去に公示された財務省告示の例はこちら⇒日本銀行券千円の様式 : 財務省
すかしに関する法律:すき入紙製造取締法
すかしの入った紙(すき入紙)を製造しても良いのでしょうか : 財務省
【答】すき入紙とは、製法のいかんにかかわらず、抄紙の過程において実質の粗密または厚薄よって現出した文字または画紋を有する紙のことをいいます。
これに該当するもののうち、紙を透かして見た場合、文字または画紋が黒の濃淡により階調をあらわす「黒くすき入れた紙」については、その文字や画紋の種類や大きさにかかわらず、また、「白くすき入れた紙」については、お札や政府の発行する証券等で使用されている文字、画紋を使って、すき入れ紙を製造しようとする場合には、「すき入紙製造取締法」に基づき、財務大臣の許可を必要とします。
これは、外国からの受注により国内で製造しようとする場合でも同様に許可を必要とします。
「黒くすき入れた紙」はすべて財務大臣の許可を得ないと製造できないそうです。
過去に発行されたお金で現在も使えるもの:「古いお札は使えなくなる」という詐欺に注意!
現在発行されていない昔のお金で、現在も使えるものはありますか
こちらをみると、結構過去のものも大体使えるようです。
「改造壱円券」というものも、名称がなんかパチモンくさいですが、れっきとした日銀券ですので使えます。
今般の新紙幣発行に際して「古いお札が使えなくなる」という詐欺が発生する可能性があり、メディアも注意喚起しています。
予想ですが、フリマサイト・オークションサイトなどで「旧1万円札」として価格を上乗せしたものが出品されるかもしれません。お札が出品されるということは過去にもありましたが、マネーロンダリングの温床になるので絶対に購入してはいけません。
(過去の出品事例は実質的な借入れや収入隠し目的と思われ、事業者も規約改訂で対応しましたが)
偽物のお金(偽札・偽貨)を製造・印刷・使用・輸入した場合
偽物のお金(偽札・偽貨)を作ったり、使用したりするとどうなりますか : 財務省
〔通貨偽造等の犯罪に対する処罰の例〕
通貨偽造・通貨変造罪(刑法第148条第1項)
→ 無期又は3年以上の懲役
偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)
→ 無期又は3年以上の懲役
輸入してはならない貨物を輸入する罪(関税法第109条第1項)
→ 10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金、又はこれらの併科
刑法や関税法に抵触します。
上記の他、外国通貨偽造及び行使等・偽造通貨等収得とその未遂、収得後知情行使等、通貨偽造等準備などが刑法で罰せられます。
紛らわしいものを製造・販売した場合:通貨及証券模造取締法
「貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及び地方債証券と紛わしい外観を有するものを製造又は販売した」場合には通貨及証券模造取締法に違反することになります。
この法律を知りながら、紙幣類似品について相談した警察官らの態度が好意的であったのを勘違いし、より紛らわしくないようにするよう助言を受けたにもかかわらず、それをしないで製版所に依頼して類似品を作成した者が有罪になった判例があります。最高裁判所第1小法廷 昭和60年(あ)第457号
お金を故意に傷つける行為:貨幣損傷等取締法
貨幣損傷等取締法では、「貨幣を損傷し又は鋳つぶしてはならず、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない」とあります。
以下の記事では、きれいにするための研磨など、どこまでが認められ、どこからが違法となる「変造」になるのか?という疑問に答えています。
貨幣にどこまで手を加えると犯罪になるか弁護士に聞いてみた - ZAK女 - ZAKZAK
なお、同法は「紙幣」は対象外ですが、紙幣について損傷及び加工を取り締まる法律はありません。
破れたり燃えてしまった紙幣は日本銀行の本店・支店において、「表・裏両面があること」を条件に、残っている面積を基準として新しい銀行券との引換えを行っています。
溶けた貨幣についても、模様が識別できるなど、一定の条件を満たせば、新しい貨幣に引き換えることができます。
貨幣の製造と発行の違い
貨幣の「製造」と「発行」は違うのですか?
造幣局は貨幣の「製造」を行い、政府(国)が貨幣を「発行」します。
この「製造」と「発行」の違いは次のとおりです。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第4条第1項において、「貨幣の製造及び発行の機能は、政府に属する。」とされています。
この規定に基づき、財務省において、必要とされる貨幣の円滑な供給を図る観点から、市中における貨幣の流通状況等を勘案の上、貨幣の製造枚数が定められます。同法第4条第2項により、造幣局では、財務省で定められた製造枚数について、貨幣の製造を行います。
同法第4条第3項により、造幣局で製造された貨幣は全て財務省を通じて日本銀行へ納められますが、この「政府から日本銀行への貨幣の交付」をもって、貨幣は発行されたことになります。
つまり、造幣局で製造した貨幣は、造幣局内にある間は見た目は貨幣ですがまだ通貨ではなく、日本銀行に納められた時点で初めて貨幣が発行され、通貨となります。
なので、通貨が摩耗した等で交換したい場合は、紙幣と同様、日本銀行の本店・支店に持っていくことになります。
お金の製造・発行等に関する法律まとめ
通貨の単位、貨幣の製造・発行等に関する規定
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令(昭和六十三年政令第五十号)
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行規則(昭和六十三年大蔵省令第七号)
紙幣の発行等に関する規定
日本銀行法(47条)(平成九年法律第八十九号)
日本銀行法施行令(平成九年政令第三百八十五号)
日本銀行法施行規則(平成十年大蔵省令第三号)
お金に関する罰則規定
通貨及証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)
貨幣損傷等取締法(昭和二十二年法律第百四十八号)
関税法(昭和二十九年法律第六十一号)
刑法(明治四十年法律第四十五号)
以上