事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

大阪府は本当に「医療崩壊」したのか?吉村・大村知事発言とリコールについて

結論から言えば『他の自治体を「医療崩壊」などと上から目線で貶めることに一体何の意味があるの?』ということです。

愛知県大村知事「大阪は医療崩壊」

愛知県大村知事の言わんとすることがまとまっているので引用します。

大村知事「ただ単に言い訳」 医療崩壊否定の吉村知事に:朝日新聞デジタル魚拓

 新型コロナウイルスの行政対応をめぐり、大村氏は11日、「病院に入れない、救急を断るというのは医療崩壊で、それが東京と大阪で起きた。医療崩壊を起こしたら行政としては負け、何を言いつくろっても結果だ」と指摘。26日にも病院で受け入れ困難だった感染者数や救急件数などの情報公開や検証が全国で必要とし、特に首都圏や大阪圏で「大きな課題だ」と強調していた。

大村知事の言う「医療崩壊」ってどういう定義でしょうか?

発言を見ると、どうやら「①入院受け入れ可能数=病床確保数を陽性患者が超えること」「②救急を断る病院が出たこと」が「医療崩壊」を意味するようです。

 

病床確保数と入院患者・宿泊療法・自宅療法の数

入院受け入れ可能数に対する患者数について見ていきます。

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愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部 医療専門部会を開催しました - 愛知県

愛知県の医療専門部会の第3回会議の資料(新型コロナウイルス感染症対策本部でもみることができる)ですが愛知県は病床確保数(約500)に対して入院患者はピーク時でも約200を推移しているため、この点での超過分はありません。

他方、大阪府は4月末の患者の状況を見ると宿泊療法・自宅療法を採る者が何人か出ているのが分かります。

大阪府・愛知県の医療崩壊

大阪府/第3回大阪府新型コロナウイルス感染症対策協議会の資料では4月9日に病床確保数に対する使用率が100%を超えているのが分かります。

だから大村知事に言わせれば、「大阪は医療崩壊」していると言うのでしょう。

他の自治体を貶めて自らの批判をかわそうとする大村秀章

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/333803.pdf

愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部 医療専門部会でこのように書かれています。

善意解釈するに「愛知県が安全である」と言いたいのでしょうが、東京と大阪を引き合いに出す必要性を感じられませんし、「行政としては負け、何を言いつくろっても結果だ」などと言って他の自治体をdisる意味はどこにあるのでしょうか?

今回の発言で吉村知事や松井市長が大村知事に苦言を呈したのに対して「言い訳に過ぎない」などと言い返すことにどれだけの公益性があるのでしょうか?理解に苦しみます。

これまでの彼の言動を振り返ると、自分に対する批判をかわそうとして他を貶めているだけに見えてしまいます。

医療崩壊の意味は無く、不毛な定義問題になるだけ

大阪の3次救急、4病院が休止 コロナ重症者受け入れ―専門学会「医療崩壊の始まり」:時事ドットコム

10施設が受け入れ制限・停止 3次救急にコロナ影響―9道県「厳しい」・医療調査:時事ドットコム

急患の受け入れを制限する病院は確かに大阪府で出ていますが、愛知県でも出ています。ただ、「救急搬送の途中で受け入れ拒否をされる」というのは普段から起きている話です。『新型コロナで病院の受け入れ態勢が変化し、その影響を受けて、本来ならば救えたはずの誰かの命が失われた』という事案はいずれにおいても聞くことがありません。

結局、「医療崩壊」の意味は無く、不毛な定義問題になるだけだと思います。

私は「愛知県もダメだ」などと言うつもりでこれを書いているのではありません。

むしろ、大村知事の発言に引きずられて「愛知も医療崩壊してるじゃないか!」みたいな言い方をするのは、既に彼に毒されているから止めましょう、と言いたいです。

あいちトリエンナーレの例を出すまでもなく、大村秀章という人間は無用の争いを生み出して日本国のリソースを削ぐような発言をしてきたでしょう。

今回の発言も、ごちゃごちゃ騒ぐことによって、そういう負の効果が出てしまいます。

大村知事のリコールについて

大村知事のリコールについては昨年から言われていましたが、5月末になって高須クリニック院長の高須克弥氏が旗振り役となるようであり、これからその動きが具体化されるものと思われます。

私は愛知県民ではないので本来は無関係な話なのですが、大村知事が他の自治体に対して迷惑をかける言動をしている以上、自分のところにも影響する可能性があるため、リコール運動を応援したいと思います。

以上