流石は共産党。
共産党志位和夫「在留期限切れは犯罪ではない」
在留期限が切れたというだけで、何の犯罪も犯していないのに、裁判所も通さずに、入管の裁量で、外国人を収容施設に問答無用で追いやる。こうした「全件収容主義」こそ現行入管制度の非人道的な大問題です。改悪案はこれを一層悪くするものです。#入管法改悪反対 https://t.co/Gw5OkKI2CJ
— 志位和夫 (@shiikazuo) 2021年5月16日
日本共産党の代表である志位和夫議員が「在留期限切れは犯罪ではない」と発言。
間違いです。
「万引きは犯罪じゃ無い」「いじめは犯罪じゃない」と同じ
出入国管理及び難民認定法=入管法では以下の定めがあります。
第九章 罰則
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。五 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者
オーバーステイ=在留期間の途過による不法滞在=不法残留については、刑罰が定められています。つまり、犯罪です。
「万引きは犯罪じゃ無い」「いじめは犯罪じゃない」と同じことを言っています。
志位和夫議員は、犯罪行為であるものを犯罪ではないと言って安易にその行為を行うことを助長しているわけです。これでは外国人が勘違いをしてしまい、かえって不利益を被らせることになるでしょうね。
なお、「このツイートは全件収容主義反対の主張が主である」と言う者が出てくるでしょうが、その実態も知れています。
「全件収容主義」の実態
出国命令(入管法第24条の3及び第55条の2から第55条の6) | 出入国在留管理庁
退去強制手続においては,本邦からの出国を希望して自ら地方出入国在留管理局に出頭した入管法違反者についても,摘発された場合と同様に身柄を収容した上で一連の手続を行う必要がありますが(全件収容主義),従前から,近日中に出国することが確実と認められるものについては,退去強制令書の発付後に自費出国許可(入管法第52条第4項)及び仮放免許可(入管法第54条第2項)を行った上で,事実上その身柄を収容しないまま本邦から出国させる措置が実施されていました。また,不法滞在者の大幅な削減のためには,その自主的な出頭を促進する必要もあります。そこで,平成16年の入管法改正において,入管法違反者のうち,一定の要件を満たす不法残留者について,全件収容主義の例外として,身柄を収容しないまま簡易な手続により出国させる出国命令制度が創設されました(同年12月2日施行)。
事実上身柄を収容しないまま本邦から出国させる措置が実施されています。
全件収容主義について批判する論文がネット上では見られますが、このことにまったく触れていません。
参考:http://iminseisaku.org/top/pdf/journal/001/001_085.pdf
不法滞在犯罪者は現行犯
不法滞在は在留許可で認められた期間を途過したという時間経過によってその事実が明らかですから、現行犯なわけです。
そういう外国人は逃亡するおそれが非常に高いことが類型的に言えますから、身体拘束の必要性は一般的に高い。
原則として身体拘束とする建付けの全件収容主義でなければ、対応できないでしょう。
なお、外国人の人権保障に関するリーディングケースであるマクリーン判決は以下。
最高裁大法廷判決 昭和53年10月4日 昭和50(行ツ)120
憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。しかしながら、前述のように、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であつて、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしやくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。
行政手続法3条1項10号で「外国人の出入国に関する処分」については,審査基準・拒否理由等を提示する義務の適用除外が明記されています。
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