ポビドンヨード液(=いわゆる「イソジン」が有名な製品名)より水道水によるうがいの方が感染症、風邪の発症率を下げたという論文を紹介します。
ポビドンヨードより水道水の方が感染症、風邪の発症率を下げたという論文
Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling A Randomized Trial
という、Kazunari Satomuraらの論文が、ポビドンヨードpovidone-iodine"より水道水の方が感染症、風邪の発症率を下げたという結果を出しています。
論文の実験方法
大まかな実験の対象と方法は以下です。細かい考慮は論文を見てください。
- 水群:水道水でうがい。1日3回、それぞれ15秒のうがいを3セットずつ行う。
- ポビドンヨード群:ポビドンヨードでうがい。方法は水群と一緒。
- コントロール群:生活習慣を維持。うがいをしていた人も含まれるが、研究期間中に36%がうがいをまったくしていない。
18歳から65歳までの健康人387人を対象。
2002年12月から2003年1月を通して実施されました。
日本国内の各都市で行われたものなので、基準に沿った塩素濃度です。
なお、各群の手洗いの回数は上から6.5回、6.1回、6.2回でした。
結果、水道水で風邪の発症率を下げ、ポビドンヨードは変化なし、その原因は
結果、水道水で風邪の発症率を大幅に下げ、ポビドンヨードは有意な変化なし、ということになりました。
この原因はよくわかっていないのですが、ポビドンヨードの刺激による応答、液剤が喉の細胞を壊した可能性などが論文中の考察部分で触れられています。
水道水が発症率を下げた原因については、水道水は塩素が含まれているので、もしかしたらそれも影響したかもしれないとしています。
研究のエビデンスレベルは高いようで、いろんなお医者さんが引用しています。
イソジンいらないですから…うがいは水でOK👶#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/N6Vsel1o71 pic.twitter.com/Ao91XPB0uU
— 峰 宗太郎 (@minesoh) 2020年2月13日
うがいをされる場合、ヨード液(いわゆるイソジン)を使わず水のみでうがいして下さい。風邪の予防において、うがいしない群と比較して水うがいは風邪発症率をさげましたが、ヨード液うがいは下げないという報告が出ています(Am J Prev Med 2005;29:302-7)
— EARLの医学ツイート (@EARL_Med_Tw) 2020年2月16日
以上