事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

高木功介埼玉県議のクルド人による襲撃事件の記者会見が許可取消しに:議会の内部規律の裁量か、集会の自由か

そんなに危険な奴らが居るのだろうか?

高木功介埼玉県議のクルド人による襲撃事件の記者会見が許可取消しに

https://archive.is/qqw3o

埼玉県議の高木功介議員から、クルド人による議員襲撃事件の記者会見の許可が取消されたとXで投稿されています。

現時点での議会事務局からの理由説明は「混乱を避けたい」「安全が確保できない」「議会開会中である」というものであったとしています。

そのような危険が生じるほどの「ナニカ」があったなら、それ自体が公的な関心事でしょう。

議会の内部規律の裁量か集会の自由か:「明らかな差し迫った危険」は?

本件を法的に見ると、憲法21条1項の集会の自由が問題になるのでは?と頭をよぎります。

泉佐野市民会館事件で定立された「明らかな差し迫った危険」基準に照らして、上述のような客観的事情があったのか?は、重要な関心事でしょう。

しかし、本件は埼玉県議会議事堂内の議員面会サロンの使用許可があった事案であり、許可をするのは議会側であって、泉佐野市民会館事件や上尾市福祉会館事件の判例のような行政による許可ではありません*1

議会議事堂内ということは、【議会の内部規律の問題】として広範な裁量のもとに処理される可能性もあるでしょう。議事堂内のスペース利用は議員が何らかの関与をしていなければいけない、というのが建前のはずで、*2*3地方自治法244条の「公の施設」は、普通地方公共団体が、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設なので、議会議事堂は通常はそのような性質は持ちません。

そのため、議会事務局による議事堂内施設の利用のルールや慣例によって判断されるのが本筋のような気がします。

もちろん、議場における職務行為と、議事堂内ではあるが議場外のスペースの記者会見のための利用では規律が異なると考えられますし、内部規律が作用するとしても、特に記者会見の場に議員以外の市民が出ることが予定されていた場合などは集会の自由との関係は完全には無視できない、となる可能性もあるかもしれません。

以下は議会の議場での行為に関して裁判例の集積を分析したものですが、参考までに置いておきます。

議会開催時間を回避すれば警備のためのリソースが割けるのか?

…というのが講学上の思考であって、「改めて設定したく調整」ともあるので、現実的な解決策が実施されるのを祈ります。

「議会開会中である」というのが理由に含まれていたことからは、議会の開催時間帯を避けてたとえば18時からにすれば警備リソースを割けるため許可できる、ということであればいいのですが…

追記:中止になった記者会見は、衆議院第二議員会館での実施予定となったとのこと。埼玉県議会議事堂の使用取消の詳細な理由はまだ明らかになっていません。

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*1:そのため、「取消し」というのも取消の行政処分ではない。

*2:国会での利用実態は要注意なものがあり、それが地方議会でも敷衍されているかもしれない

*3:たとえばこの件→Colabo弁護団の衆議院議員会館での暇空茜提訴記者会見が規則違反であることと悪質性と開示請求について - 事実を整える

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