毎年新宿御苑で行われる「桜を見る会」が、私物化だと批判されていますが、なぜ問題視されているのかを整理しました。
なぜ桜を見る会が問題視されているのか
桜を見る会が問題視されているのは
- 予算額を超えた支出と予算の増額
- 招待客の人数が膨れ上がっていること
- 縁故者を優先して呼んでいる可能性が疑われていること
- どういう理由で呼ばれているのか不明な人が居ること
これらの事実が指摘され、11月8日参議院予算委員会での共産党田村智子議員の質疑とそれについての答弁がメディアで取り上げられたからです。
桜を見る会の開催要領からの逸脱?
予算額の超過について、内閣側は「桜を見る会」については、その準備や設営に最低限必要となる経費を前提に予算を計上しているところ、実際の開催に当たっては、その時々の情勢を踏まえ、必要な支出を行っており、結果的に予算額を上回る経費がかかったものであるが、当該経費は、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)等に基づき適法に支出されたものである。と答弁書を閣議決定しています。
招待者の人数は、安倍政権以前は1万人前後だったようです。人選については各省庁からの推薦があったのちに内閣で決定していると主張しており、人数が増えている原因として省庁側の推薦人数が増えている可能性があります。
11月8日の答弁では、「招待者の名簿は保存期間1年未満の文書であり、どういう理由で選ばれたのかについては個人情報であるために回答を差し控える」とされていました。
そもそも桜を見る会は昭和27年からの慣例で行われている行事であり、慣例に従って運営されているようですから、「政権による私物化」と言うよりも、桜を見る会そのものの是非を論じればよいと思います。
なお、桜を見る会は民主党政権時の2010年にも行われていました。2011年は東日本大震災で、2012年は北朝鮮のミサイル発射の影響で中止になっているようです。
中曽根総理大臣時代にも国会で質疑が行われていた
104 参議院 予算委員会 20号 昭和61年04月03日
○和田静夫君 ちょっと総理、お休みのときに悪いんですが、内閣総理大臣中曽根康弘さんが群馬の選挙区の青年たちに向かって四月十八日の新宿御苑の観桜の招待状をずっと無差別に出されたという手紙が今ここへ、私に届いたんです。これは一体どれぐらいお出しになったんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何部出したか私知りません。例年どおり慣例に従ってやったと思います。
○和田静夫君 この私に寄せられた手紙、我が党に寄せられた手紙は、公職や団体等に関係したことが全然ない、商売だけをやっている私は一青年です、これが来て驚いていますと言ってきているんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 事務的に全部処理して、いろいろな選挙とか思惑がないように注意してやっております。調べてみます。
○和田静夫君 これは自治省、こういうような内閣総理大臣がずっと無差別にお出しになるというのは、公選法との関係はどうなんでしょうね。
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
公職選挙法では、選挙運動の告示が行われる以前の事前運動を禁止しておりますのと、それから選挙運動期間中に入りましても、法定で認められた選挙運動用の文書図画に関する制限を置いておるということでございまして、選挙に関係のない文書は公職選挙法上問題ないわけでございます。
○和田静夫君 これは総理、総理の名誉にも関することでありますから、実情については御調査の上報告を後で願いたいと思います。よろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 毎年桜が咲くころは新宿御苑でやるものですから、まさか桜に咲くなど言うわけにもまいりません。毎年の慣例どおりやっておることであります。一応調べて見ます。
昭和の時代にも桜を見る会の人選については、かなり広く行われていたようです。
桜を見る会にジャンケンで
先ほど鳩山総理からお手紙が届きました。「桜を見る会」のご案内でした。各支部から区議にも1名参加することができるようで、民主党世田谷区議同士のジャンケンで勝ったのです。
— 世田谷区議会議員 風間ゆたか 立憲民主党 (@setagaya_k) March 27, 2010
この発言ぶりからすると、区議という枠で呼ばれたのではなく、当時民主党の風間ゆたか議員がジャンケンで勝ったために個人名宛てに招待状が届いてるようです。
「政権による私物化」 「縁故者だけ呼んでる」ということを問題視するにしても、それは従前から行われていた「桜を見る会」そのものの性格であり、「安倍政権の問題」として論じる意義がどこまであるのかはかなり疑問です。
新宿御苑の観桜をいまさら追及してる理由
維新・藤田文武議員「桜を見る会の問題は古今東西ある問題。この委員会で他党が時間のほとんどを使って質問したことには賛同できない。野党も政権時代に同じことがあったと言われており、泥仕合はやめてほしい。一方与党には外形的公平性が求めらる。それを胸に留めてほしい」〜衆院地方創生特別委 pic.twitter.com/ZyJyFZzf0G
— news北東西南 (@news_ewsn) November 12, 2019
共産党を始めとする(維新以外の)野党が追及する方向で一致したようですが、他にやることが無いからとしか考えられません。
それ以外の重要法案の審議に時間を割いてほしいと思う一方で、皇族方も出席される場に呼ばれるにふさわしくない人物も招待されている例もあることも確かなので、個人的には規模の縮小を図るべきだと思います。
以上