事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「音楽業界4団体の今井絵理子・生稲晃子の支持表明への抗議」に奇妙な点:Save Our Spaceに第二のオープンレター臭が

今井絵理子生稲晃子の支持表明への抗議Save Our Space

奇妙な点が「オープンレター」に似ているんですが…

※追記:やはり懸念が現実に…

Save Our Spaceが音楽業界4団体による今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持表明への抗議

抗議 – Save Our Space

日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会の4団体が、参議院議員選挙自由民主党候補の今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持を公式に表明したことに対して、音楽文化に携わる者として強く抗議します。

音楽業界内には様々な政治的信条を持つ人間がおり、個人のレベルで支持する政党を表明することはもちろん自由です。しかし、音楽業界内において大きな影響力を有する4団体が連携して特定の候補者の支持を公に表明するという事態は極めて異例であり、音楽業界全体が当該候補者を支持するというメッセージとして社会に受け取られかねません。

「#Save Our Space」を名乗る集団が、音楽業界4団体による今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持表明への抗議であるとして、このような声明を出しました。

抗議の元となる話は例えば以下で報道されています。

「両候補とゆかりの深い音楽4団体(一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、一般社団法人日本音楽出版社協会)が、音楽文化に与えた功績をたたえ、一丸となって2人を支援することを決めた」⇒SPEED&おニャン子、アイドルタッグを音楽4団体が支援 「こういったことは初めて」 | ENCOUNT

「音楽業界4団体(日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会)の代表も訪れ、激励とともに、全員で「勝つぞー!」コールを行った」⇒今井絵理子&いくいな晃子、参院選「勝つぞー!」 音楽業界4団体も期待「解決すべき問題山積み」 | ORICON NEWS

「両者への支援の意向を示した音楽4団体」⇒【参院選】生稲晃子、今井絵理子を音楽団体が支持表明…SNSに渦巻いた「なぜ三原じゅん子は呼ばれない?」の声 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]

「音楽4団体が2人を激励」⇒【参院選】生稲晃子氏「疲弊した業界に恩返し」今井絵理子氏「アーティストの力に」音楽団体激励に - 社会 : 日刊スポーツ

呼びかけ人として以下の名前が書かれています。

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浅沼優子(音楽ライター)
加藤梅造(ライブハウス経営)
後藤正文(ミュージシャン)
五野井郁夫(政治学者)
篠田ミル(ミュージシャン)
スガナミユウ(ライブハウス店主/  音楽家)
高木完(音楽家 )
Nozomi Nobody(シンガーソングライター)
東森努 (フリーランス)
Mars89 (DJ/ ミュージシャン)
Lark Chillout (DJ/ レコードバイヤー)

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なお、「#Save Our Space」という団体は今回の抗議のために立ち上がったのではなく、2020年から新型コロナ禍で文化施設の利用禁止により被害を受けている者らが連帯するために設立されたもののようです。

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発起人
DJ NOBU

スガナミユウ(LIVE HAUS)

篠田ミル

Lark Chillout

Mars89

 
+ 活動メンバー
加藤梅造(LOFT PROJECT)

藤森 純 (弁護士)

Nozomi Nobody (シンガーソングライター)

東森努

浅沼優子(音楽ライター・ブッキングエージェント)

錦織可南子

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こうした名前が見当たります。

必ずしも音楽業界に属する者に限ったものではなさそうです。

しかし、この声明、おかしなところがたくさんあります。

政治的メッセ―ジになり得ることに抗議しながら特定の政治的主張を混ぜ込む

少数者、すなわちマイノリティには、LGBTQ+の人々や女性も含まれますが、生稲氏については「同性婚の法制化」について明確に反対をしており、両氏を擁立している自民党は「同性婚の法制化」に加え、性的指向や性自認に関する差別禁止を明記した「LGBT平等法」に反対する唯一の主要政党でもあります。議会におけるクオータ制や、選択的夫婦別姓の導入等、ジェンダー平等に関する施策についても消極的な姿勢をみせています。

 さらに、自民党が推進するインボイス制度の導入により、音楽に関わる仕事で生計をたて、音楽文化の発展に寄与してきた多数のフリーランスや小規模事業者が大きな経済的ダメージを受けることが予想されています。

  • 同性婚の法制化に賛成である
  • 自民党に反対である
  • インボイス制度に反対である

この抗議声明ですが、音楽業界4団体が2名を支持する声明を出したことが政治的メッセ―ジになり得るとして抗議しておきながら、その中で特定の政治的主張を混ぜ込む、ということを行っています。

「音楽関係者、業界関係者の賛同人を募集」なのに匿名者が…

この抗議声明の賛同者については、当の団体自身が「音楽関係者、業界関係者の賛同人を募集」なのに、「匿名」という表記が賛同人一覧で見つかります。

また、同じ人物が二回署名に登場している例や、ファーストネームなしで苗字だけの署名も見つかります。

故人の島岡譲(国立音楽大名誉教授、音楽理論家)の名前?同姓同名?

また、「島岡譲」という名前も見つかるものの、国立音楽大名誉教授、音楽理論家たる島岡譲 氏は2021年9月30日に他界されていることから、同姓同名の別人なのかどうか…

※大阪大学大学院法学研究科教授の刑法学の島岡まな教授は島岡譲 氏の娘

ここはもしもミスで故人の名前を掲載していたのなら、訂正してほしいと思います。

「遺族の意向」だとしてもダメでしょう。

そこはかとない「オープンレター」臭のする賛同署名

賛同署名一覧に不審な点があるという点で、呉座勇一氏を糾弾する社会学界隈からの「オープンレター」を思い出します。

この件では賛同署名をしていないのに(おそらくはイタズラで)他人の名前が署名に使われたことがあります。それ自体は防ぎようがないのですが、その事実が判明したあとも削除対応が遅々として進まなかったり、賛同署名を撤回したいとする連絡をしても一向に対応が為されなかったりと、管理の杜撰さがしてきされていました。

しかも、このような代物を根拠にして社会学界隈の団体が懲戒処分をするなど、実害が発生していました。

今回のSave Our Spaceも「オープンレター」の二の舞にならなければよいのですが…

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