事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

菅総理が国民皆保険の見直しの検証」について:緊急事態宣言記者会見での医療法改正の質問の文脈

1月13日の緊急事態宣言記者会見における菅総理の発言がTwitter上ではなぜか「国民皆保険」に注目する人たちが居ます。

緊急事態宣言記者会見での菅総理の国民皆保険発言

【菅首相記者会見詳報】(5完)尾身氏「最悪の場合、休業要請もあり得る」 - 産経ニュース

--国民に協力を求めている間、政府は何をやってきたのか。病床の転換を進めるため、医療法を改正する考えはないか。新型コロナウイルスを「2類相当」と位置付ける感染症法も変えないか。

 首相「まず、このコロナ感染者の医療について、政府として、そこに対応してもらっている。その医療機関に対してしっかり支援をさせていただいている。あるいは、保健所への人員の派遣、そうした体制を作ったり、クラスター(感染者集団)が発生すると政府のチームが行って対応するなど、そうしたことについて政府が行ってきました。そして医療機関でありますけど、日本には、今の法律がある中でですね、逼迫(ひっぱく)状況にならないように、政府としては、ベッドは数多くあるわけでありますから、それぞれの民間病院に、一定量出してほしいとか、そういう働きかけをずっと行ってきているということも事実であります」

 首相「そして、感染症については先ほど申し上げましたけども、そういう法律改正は行うわけであります。それと同時に医療法について、今のままで、結果的にいいのかどうか、国民皆保険、そして、多くの皆さんが、その診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で今回のコロナがあって、そうしたことも含めてですね、もう一度、検証していく必要があるというふうに思ってます。それによって必要であれば、そこは改正するというのは当然のことだと思います」

--現時点で考えていないということか。医療法の改正は

 首相「今申し上げましたように、それは検証する必要があるというふうに思ってます。そして、そのうえのことだと思ってます」

医療法改正の可能性についての記者からの質問の文脈

以上のように、病床ひっ迫の原因は制度にも無いのか?という記者の鋭い問題意識から来る、医療法改正の可能性についての質問の文脈の中での菅総理の発言だったということです。

そこで出てくる解釈としては2通り

  1. 【菅総理はその前提として、現在の日本の医療制度を確認的に言及しただけであって、国民皆保険についての全面的な見直しを考えているわけではない】
    (文言上、絶対にそう解釈できない、とまでは言わないが)
  2. 「そうしたことも含めて」という文言があることから、「国民皆保険」と「多くの国民が診察を受けられる仕組み」を検証するという意味だ

私は、その後の質問に対する応答で「今申し上げたように」医療法の改正は検証する必要があると発言したことなども併せ、1番の理解です。

皆保険の見直しなんて、重大な政策発表なのだから、普通はこんな所で発言するようなものではない。「ポロっと出たんでしょう」と邪推するのは自由だが、普通はそうは考えない。確定事実として扱うべきではない。

多くのメディアもそう考えている、或いは翌日に官房長官記者会見等で確認するつもりだから記事を書いていないのでしょう。ハフポスト以外。

ハフポストの記事について

ハフポストの記事はTwitterのトレンドに乗っかっただけで、上記のような解釈可能性を示すこともなく、世の中に不要です。エコーチェンバーを増やしているだけ。事実を載せているだけだと言う者が居るが、全文を載せるなら産経のようにすれば良いだけ。

事実だけで人は誘導できるのですから。

医療法と国民健康保険法

そもそも、国民皆保険制度は国民健康保険法の話であって、医療法をいくらいじったところで、皆保険制度の見直しとは関係することはありませ。

以上