事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

1997年当時の宗教法人法上の規則変更の認証時の審査基準や通達等まとめ

宗教法人の規則変更の認証の審査基準や通達等について

宗教法人の規則変更の認証の審査基準や通達等

統一教会の名称変更の経緯がマスメディアで取りざたされている状況に鑑み、1997年当時の宗教法人法上の規則変更の認証時の審査基準や通達等について関連する部分をまとめました。

参考にしたのは以下の書籍です。

逐条解説宗教法人法 新訂/ぎょうせい/渡部蓊(平成10年3月10日新訂版初版発行)

知っておきたい宗教法人法 /国立印刷局/高松典雄(平成8年11月1日発行)

宗教法人に関する事務の執行について

宗教法人に関する事務の執行について (平七・六・三〇序文宗第一〇五号 各都道府県知事あて 文化庁次長通達)

 貴職におかれては、従来から宗教法人に関する事務の適切な執行についてご配慮いただいているところであります。

 しかし、最近宗教法人オウム真理教に係る一連の事件が発生し、宗教法人に対する社会的信頼が損なわれかねないことが憂慮されます。

 いうまでもなく、宗教法人法は宗教法人の宗教上の行為を制限するものではないが、宗教法人であっても、公共の福祉に反した行為をした場合には、他の法令の規定の適用を妨げないこととされています。また、宗教法人の売買等違法な宗教法人格の取得が許されないものであることは当然であり、このような場合には、各所轄庁においても厳正な措置がとられるべきであります。

 ついては、貴職におかれても、日頃から可能な限り宗教法人に関する情報の把握に努めるとともに、違法な行為が行われている疑いがあるような場合には、文化庁との緊密な連絡の下、必要に応じ関係機関と連携協力し、厳正かつ適切に対処していただくようお願いします。

 なお、宗教法人オウム真理教については、本日、所轄庁である東京都知事及び検察官から東京地方裁判所に対し、宗教法人法第八一条第一項の規定に基づき歌詞さん命令の請求がなされたところであります。

 おって、宗教法人に関する認証事務等については、「宗教法人に関する認証事務等の取扱いについて」(昭六三・三・三一 庁文宗第七八号)及び「行政手続法の施行及びこれに伴う宗教法人法の一部改正について」(平六・八・二十四 序文宗第一〇五号)に留意の上、より一層適切に執行されるよう重ねてお願いします。

行政手続法の施行及びこれに伴う宗教法人法の一部改正について

行政手続法の施行及びこれに伴う宗教法人法の一部改正について(平六・八・二十四 序文宗第一〇五号 各都道府県知事あて 文化庁次長通達)

  平成五年十一月十二日、行政手続法(法律第八八号)が公布され、また、同日公布された行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(法律第八九号)によって、別添(略)のとおり、宗教法人法の一部が改正されましたが、両法律は、いずれも平成六年十月一日に施行が予定されています。
 ついては、これらの施行に伴う宗教法人事務について、下記に留意の上処理してください。

1 行政手続法の施行に伴う宗教法人事務について

(1)行政手続法第五条に基づく認証に関する審査基準については、別紙「規則等の認証に関する審査基準(留意事項)例」に準じて定めることとし、これにより難しいときは、文化庁と協議すること。

(2)~略~

(3)宗教法人法に規定する認証の申請の受理については、行政手続法第七条及び第八条の適用があることに特に留意すること。

(4)~略~

2 ~略~

〔別紙〕

 規則等の認証に関する審査基準(留意事項)例

 宗教法人(以下、「法」という。)に基づく規則、規則の変更、合併及び任意解散の認証に関する審査に当たっては、法の規定の外、特に以下の点に留意して行うものとする。

1 設立に係る規則の認証について

(1)法第二条に規定する宗教団体としての要件を具備するか否かの審査に当たっては、その個々の要件が、宗教団体の特性によって多種多様であり、また、相互に関連することもあることから個々には弁別し難い場合があるので、総合的に判断を行う。

(2)法第二条の宗教団体とは、同条に規定する要件を形式的に具備するのみならず、現に団体としての実体を有し、社会通念上他の個人または団体とは区別された独自の活動を行っている団体をいう。

 したがって、認証申請に係る団体(以下「当該団体」という。)が宗教団体であるかどうかについては、次の点に留意の上、(1)を踏まえて判断する。

① 当該団体が法第二条に規定する主目的のための宗教活動を行っているかどうかについて、法第一三条第一号に規定する当該団体が宗教団体であることを証する書類(以下「宗教団体であることを証する書類」という。)として、過去三年間程度の実績の一覧の添付を求め、これを客観的に証明する写真により確認すること。

② 信者及びいわゆる宗教教師の存否について、宗教団体であることを証する書類として、その一覧の添付を求め、適切な方法により確認すること。なお、信者の数については、宗教団体としての実体の確認の観点から審査すること。

③ 宗教団体としての実体について、次の事務運営、経理及び財産の状況について調査し、確認すること。

ア 宗教団体であることを証する書類として、当該団体の組織、意思決定方法、財産の管理等に関する規約の添付を求め、過去三年間程度これに従った運営がなされているかどうかを調査すること。

イ 宗教団体であることを証する書類として、過去三年間程度の収支予算書及び収支計算書の添付を求め、その真実性とともに、予算の執行が他と区別される独立した経済主体として行われているかどうかを調査するこt。

ウ 宗教団体であることを証する書類として、財産目録の添付を求め、礼拝の施設に係る不動産などの財産が、他と分離独立した当該団体自身のものであるかどうかを調査すること。なお、団体の永続性についても検討すること。

④ 法第二条第一号の団体については、現地において礼拝の施設を確認すること。なお、礼拝の施設については、当該団体の特性および慣習を考慮の上、公開性の確保についても検討すること。

⑤ 法第二条第二号の団体の実体については、被包括宗教団体との関係に関する実績をも調査することにより確認すること。

(3)当該団体が法第六条に規定する公益事業その他の事業を行うこととしている場合、次の点を審査する。

① 公益事業その他の事業の規模が過大である等により、法第二条に規定する宗教団体の主たる目的を欠くこととなっていないかどうかを確認すること。

② 公益事業以外の事業については、法第二条に規定する宗教団体の主たる目的を達成するための業務と矛盾し、またはこれに支障を証じっせるものは、宗教法人の行うことのできないその目的に反する事業に当たると解されるので、この観点から検討すること。

(4) 法第一三条に基づき提出された書類について、その証明している事実の存否に理由のある疑いを持つ場合には、その疑いを解明するための調査を行う。

2 規則の変更の認証について

(1) 法第二七条に基づき提出された書類について、その証明している事実の存否に理由ある疑いを持つ場合には、その疑いを解明するための調査を行う。なお、規則の変更の手続きに関し、規則の変更に関与する代表役員その他の役員等は、この点疑義がある場合は、これらの者の選任の手続を調査する。

(2) 新たに事業に関する規定を設けるための規則の変更については、1の(3)の観点から審査する。

(3) 目的の変更、主たる事務所の移転等に係る規則の変更の場合において、当該宗教法人の同一性に疑義がある場合は、宗教活動や礼拝の施設の現状、代表役員その他の役員等の選任系加藤について十分な調査を行う。

3 合併及び任意解散の認証について

 法第三八条又は第四五条に基づき提出された書類について、その証明している事実の存否に理由ある疑いを持つ場合には、その疑いを解明するための調査を行う

参考 行政手続法 法律第八十八号(平五・一一・一二)

 法律第八十八号(平五・一一・一二)

(申請に対する審査、応答)

第七条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

 (理由の提示)

第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

 行政手続法 現行法 (令和四年法律第五十二号)

(申請に対する審査、応答)
第七条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

宗教法人に関する認証事務等の取扱いについて

宗教法人に関する認証事務等の取扱いについて(昭六三・三・三一 庁文宗第七八号 各都道府県知事あて 文化庁次長通達)

 貴職におかれては、かねてから宗教法人の認証事務等の適切な執行についてご配意いただいているところであります。

 しかしながら、最近宗教法人の脱税その他その運営が不適正と思われる事例等が見受けられ、宗教法人に対する社会的な信頼が失われかねないことが憂慮されております。

 ついては、この際、下記の点にご留意の上、宗教法人に関する認証事務等が、宗教法人法に基づき一層適正に執行されるようお願いします。

1 設立の認証に当たっては、当該団体が宗教法人法第二条に定める宗教団体に該当するかどうかについて、特に次の点にも留意して十分審査すること。

(1) 礼拝施設については、現地において確認を行うこと。

(2) 信者については、適切な方法により確認を行うこと。

(3) 宗教活動の実績が相当年にわたるなど宗教団体としての実体を有しているか、および永続する見込みがあるかどうかにつき、十分確認すること。

2 主たる事務所の移転が諸般の状況から判断して、実質的に新たな宗教法人の設立と異ならないと思料される場合など、宗教法人としての同一性の継続が認められないような規則変更の認証は行わないこと。

3 収益事業等が規則に明記されることなく事実上行われている場合には、当該宗教法人に対し、規則への記載を指導すること。なお、これら事業の規模、内容等が宗教法人の本来の目的から見て著しく適切を欠く場合は、規則の変更等は認証せず、これを改めるよう指導すること。

4 不活動宗教法人の実態を十分把握し、既に法人としての実体、機能が消滅し、単に登記簿上等にのみ形式的に存在していることが明らかなものについては、昭和五十八年三月配布済の「不活動宗教法人対策の手引き(所轄庁用)」等を参考にして、解散についての指導等必要な措置をとること。

宗教法人に関する事務処理について(昭和二六年七月三一日 文宗第二三号

宗教法人に関する事務処理について (昭和二六年七月三一日 文宗第二三号 都道府県宗務事務所管局(部室)長あて大臣官房宗務課長代理通達)

 宗教法人法の運営その他宗教法人に関する事務処理上留意すべき事項の大綱については、四月三日文宗第二三号文部次官通達及び四月一四日文宗第二九号通達でお知らせしましたが、更に次の諸点をお含みの上、宗教法人に関する事務の円滑な運営を図られるようお願いします。

一 宗教法人と宗教団体について

~省略~

二 境内建物、境内地について

~省略~

三 宗教法人に関する事務について

~省略~

四 設立の場合の規則作成について

~省略~

五 認証の申請について

(1)認証申請前に公告を要する場合

(イ)設立(一二条三項、附則五項、六項)

(ロ)被包括関係の設定・廃止に係る規則の変更(ニ六条二項)

(ハ)合併(三四条一項、三項、三五条三項、三六条)

(ニ)任意解散(四四条一項)

(2)認証申請の書類

(イ)設立(一三条、附則五項、六項)

~省略~

(ロ)規則変更(ニ七条)

認証申請書 一通(様式第六号)

変更しようとする事項を示す書類 二通

(登記事項にかかる変更の場合は更に一通)

添付書類

A 規則で定める手続を経たことを証する書類

 規則の変更に関する責任役員会の決議録、その他責任役員の議決を経たことを証する書類、規則にその定がある場合の包括団体その他関係者の承認書、同意書等。

B 被包括関係を設定する場合は公告をしたことを証する書類、および承認を受けたことを証する書類

 公告をしたことを証する書類は、(イ)のBに準ずる(様式は様式第七号)

 承認を受けたことを証する書類は、証明ある承認書の写等である。

C 被包括関係を廃止する場合は、公告をしたことを証する書類、および通知をしたことを証する書類

 公告の書類および様式についてはBに準ずる。

 通知をしたことを証する書類は、内容証明等を添附した通知書の写又は通知受理の証明書。

(ハ)合併

~省略~

(二)任意解散

~省略~

六 認証申請の受理について

(1) 認証申請に関する書類が当該所轄庁に提出すべきものとして完備していることを確認した上受理すること。不備の場合には、その不備が軽微であるとき又は特別の事情があるときには補正させるなど、便宜的措置を講じてもさしつかえないこと。(一三条・二七条・三八条・四五条・附則五項・六項)

(2) 申請を受理した場合においては、受理の日を附記した書面(様式第一四号)で申請人に遅滞なく通知すること。(一四条・二八条・三九条・四六条)

(3)認証申請受理その他認証に関する事務処理の便宜上、認証申請処理簿(様式第二三号)を備えることが望ましいこと。

七 認証の取扱基準について

(1) 認証に関しては、その規則や手続が法令の規定に適合しているかどうかを審査することにとどめ、宗教の価値判断を行い、その他宗教本来の領域にふれることのないよう注意すること。宗教団体の信仰、宗教上の伝統、慣習、儀式、行事その他の宗教上の機能等を尊重し宗教団体を公平平等に取り扱うなど信教の自由を妨げないようにすrこと。(一条・八四条・八五条)

(2) 認証に関する審査にあたっては、本法に基づいて提出された書類等によって判断し、宗教団体に対し本法に基づかない資料を要求し、又は調査をすることはさけること。

(3) 認証申請の手続が当該宗教法人の規則に基づいて適正に行われているかどうかを十分検討すること。

(4) 認証に関する決定期間は次の通り決定されているから、この期間内に必ず処理すること。

最初の認証に関する決定

 三カ月以内(~条文省略~)

 一年六カ月以内(~条文省略~)

再審査請求に対する認証する旨の決定

 三カ月以内(~条文省略~)但し補正を要する場合はその期間を加えること。

再審査請求に対する認証できない旨の決定

 六か月以内(~条文省略~)但し補正を要する場合はその期間を加えること。

訴願容認の決定があった場合の認証

 遅滞なく行う(~条文省略~) 

(5)認証上留意すべき主な点は次の通りである。

(イ) 設立 ~省略~

(ロ) 規則変更(二条・二六条~二八条)

A 公益事業以外の事業に関する規則の変更の場合は、その事業が宗教法人の目的に反しないかどうかを特に検討する必要があること。

B 当該宗教法人の規則又は法第二六条第二項~四項の手続にのっとって行われたかどうかを注意すること。

C 規則変更の手続によって宗教団体であることの要件を失うような場合、または法第二条第一号に該当する法人が第二号に該当する法人となる場合は、規則の変更としてはこれを取り扱わないこと。第二号の法人が第一号の法人となる場合も同様とすること。(二条)

(ハ)合併 ~省略~

(ニ)任意解散 ~省略~

~以下省略~

逐条解説宗教法人法 新訂/ぎょうせい/渡部蓊における注記

注 ここに掲げた「宗教法人に関する事務処理について」は、昭和二六年の宗教法人法施行の際の通達である。その後、宗教法人法の一部改正などがあり、たとえば、行政不服申立てなどは制度改正が行われているので、この通達がすべてにわたり、現在も有効性を維持しているわけではないことに留意する必要がある

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