事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します

玉城デニー後援会から教職員への候補者名入りビラ配布で公職選挙法違反の選挙運動か?

玉城デニー後援会教職員ビラ配布

手登根安則ことボギーてどこん氏によるツイート

これは良いのでしょうか?特に公務員による行為の場合、公選法違反の疑いが濃厚です。事実関係と公選法関連の情報を確認していきます。

玉城デニー後援会と書かれた「ビラ配布勧誘のビラ」

まず、このビラが配布されたのは「公立学校」と言われています。

仮にこれが「私立学校」の場合、教職員は公務員ではないですから、公務員にかかる規制は対象外ということになります。しかし、今回は公立学校であるという前提のようです。

また、このビラの下部を見ると、「玉城デニー後援会」 と書かれ、教職員後援会事務局とあります。てどこん氏が職朝(朝の職員会議のこと)において配布されたと主張していますが、「誰から」配布されたのかはこのツイートでは不明です。

仮にこの学校の職員ではなく第三者の場合はどうか、となりますが、第三者が学校の職員の朝礼でビラ配布ができるということは、他の教員の影響が無いというのはありえません。よって、この場合であっても実質的に誰かしらの教員による配布であると言ってよいと言えます。

ただし、このビラは特定の候補者への投票を呼び掛ける内容ではなく【特定の候補者に関する(プラスの情報かマイナスの情報かも不明)ビラを配布する人員の勧誘のためのビラの配布】です。

このような内容であっても、公務員による選挙運動規制にかかるのでしょうか?

文部科学省通知「教職員等の選挙運動の禁止等について」

まず、公職選挙法第136,137条によると、教育者の地位利用の選挙運動が禁止されています。

第百三十六条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。
一 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員

(教育者の地位利用の選挙運動の禁止)
第百三十七条 教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に規定する幼保連携型認定こども園の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。

また、公立学校の教職員に適用される人事院規則一四―七(政治的行為)によると「教育上の地位の利用」という要件無しに特定の候補者の支持または反対(つまり、選挙運動のこと)も規制されています。

5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。
一 規則一四―五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。

次いで、文部科学省の「教職員等の選挙運動の禁止等について」という通知によると

選挙運動の禁止又は制限は、公務員としての身分を有する限り、勤務時間の内外を問わず適用されるものであり(ただし人事院規則一四―七第六項第一六号については勤務時間内に限られる。)、休暇、休職(いわゆる在籍専従も含む。)、育児休業、停職等により現実に職務に従事しない者にあっても異なる取扱いを受けるものではないこと。

よって、教職員が職務上の地位を利用して行う選挙運動は、勤務時間の内外を問わず、育児休業中や停職中であってもできないことになります。

では、今回の【公務員が勤務時間中に特定の候補者に関するビラを配布する人員の勧誘のためのビラを教職員に配布する】行為は公務員の選挙運動として規制されるでしょうか?

候補者名入りのビラ配布は公職選挙法違反か

玉城デニー後援会教職員ビラ配布

(別紙)公立学校教職員に禁止されている選挙運動等に関する行為の具体例をみると

  1. 候補者の推薦等
  2. 投票の依頼又は勧誘
  3. 署名運動
  4. デモ行進
  5. 新聞、雑誌、ビラ等
  6. 広告、ポスター、あいさつ状等
  7. 演説等
  8. 資金カンパ
  9. その他

これらの行為が規制されています。

そのうち、5番の「ビラ等」の欄を見てみると「特定の政党や候補者などを支持し又は反対するために書かれた新聞、雑誌、ビラ等に関して」とあるので、今回のビラは支持・反対のためのものであるかは微妙なところです。下部に「後援会」名があるということは、支持するためのものであると解する余地もあるでしょうが、断定はできません。

他方、6番の「広告、ポスター、あいさつ状等」を見ると「選挙運動員などの名を記載した年賀状、暑中見舞状などのあいさつ状を配ったり」することも禁止されています。

さらに、「以上の例のほか、選挙期間中、文書などについての配布又は掲示の禁止の規制を免れる行為として、いかなる名義をもってするを問わず、政党や候補者の名を記載した文書(推薦お礼のポスターなど)を配ったり、掲示したりすること。」と書いてあります。

これらを見ると、およそ政党や候補者名の名前が記載された文書を配布することは禁止されていると言えると思います。

したがって、今回の【公務員が勤務時間中に特定の候補者に関するビラを配布する人員の勧誘のためのビラを教職員に配布する】行為は公務員の選挙運動として規制されるべき行為であることが濃厚です。

まとめ:玉城デニー後援会が公職選挙法違反の選挙運動?

想像だにしない事実関係が存在する可能性があるため断定はできませんが、おそらくこのような行為は公職選挙法違反の選挙運動にあたる可能性が濃厚です。

てどこん氏のツイートの事実関係を前提とすれば、あとはこの文書が本当に玉城デニー後援会が作成したものであるのか、配布した者が玉城デニー陣営の関係者であるのかどうかが問題になります。

もっとも、玉城デニー候補とは関係なく、配布した者(仮に配布した者が公務員でないならそのような者を教職員の朝の会議に連れてきた教職員)は公選法違反行為です。

以上