事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

旧統一教会=家庭連合の養子縁組に法的問題:養子縁組あっせん法の許可制に反する違法?

実態はどうなっていることやら

旧統一教会=家庭連合の養子縁組に法的問題

旧統一教会実施の養子縁組 法的問題か 専門家「行政調査を」 2022年11月15日 21時05分 NHK

旧統一教会の教義では、子を産み増やすことは神の創造目的だとされていて、信者向けの動画や出版物の中では「養子縁組」について説明しています。
このうち「ほぼ5分でわかる祝福結婚Q&A」という動画では「祝福結婚後なかなか子どもができません。養子縁組はできますか?」という問いに答える形で紹介されています。

中では「さまざまな理由により、子どもができない場合がある。真の父母様はこの課題を解決するために養子縁組を許可してくださいました」などとしています。

さらに「天からの子宝の恵を受けた祝福家庭は、その恩恵を子女の授からない祝福家庭にも分かち合う使命と責任があります」などとしています。

また、信仰生活の指針を示したハンドブックには、「養子の約束を交わすのは、捧げる側の妊娠前が最も望ましい」と養子に出すことを前提にした妊娠を推奨する記載もありました。

また「両家で合意がなされたら、必ず家庭教育局に報告が必要」などと、養子縁組に教団が関わっていることをうかがわせる内容も記されています。

さらに旧統一教会のSNSには、養子を3人以上出した信者の家庭が表彰されたという内容も書かれていました。

旧統一教会=家庭連合が組織的に推奨しているとみられる養子縁組に法的問題があるという報道。各所が報じてますが、NHKまでもが本気で取材しています。

ほぼ5分でわかる祝福結婚Q&A一覧│浦和家庭教会(天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合 東埼玉教区)

動画URL⇒https://www.youtube.com/watch?v=Tx_McJwOM8A

この動画は、現在は見ることができなくなっています。

児童福祉法・社会福祉法による届出、養子縁組あっせん法による許可の規制

民間養子縁組あっせん機関による養子縁組あっせん事業の許可等について 東京都福祉保健局

「養子縁組のあっせん」を業として行う場合、従来より届出が必要であったのが、平成30年施行の【民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律】により、許可が必要になりました。

旧統一教会は「あっせん制度は20数年前に自然消滅した」などとしておりますが、届け出が必要とする制度は昭和の時代から行われていましたので、当時は届出すらしていなかったのではないかという疑問があります。

これは営利事業として行っている必要はなく、反復継続して実施が試みられている場合には該当します。

この辺りの事情がどうなのかは判明してません。もっとも、その場合の過去の違法は3年の時効にかかっているため(刑事訴訟法250条2項6号)、法的に処罰することはできません。

そして、現在でも教団が同様の行為をしていたならば、養子縁組あっせん法の違法ということになります。

また、教義に基づいて妊娠中に既に養子縁組の話がまとまっているケースがあるなど、子の利益(※「子の意思」ではない)に反しているとして民法上の養子縁組・特別養子縁組制度の趣旨に反しているのではないかという指摘もあります。

加藤勝信厚労相、衆院厚生労働委員会で教団へ質問状を送る準備

旧統一教会養子あっせん 厚労相「金銭授受の有無を確認」 | カナロコ by 神奈川新聞

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が信者同士の養子縁組を長年にわたりあっせんしてきたとされる問題を巡り、加藤勝信厚労相は18日の衆院厚生労働委員会で、同省と東京都の連名で教団へ質問状を送る準備をしていることを認め、「献金など金銭授受の有無についても確認する」と説明した。立憲民主党の早稲田夕季氏(4区)への答弁。

 この日の審議で早稲田氏は「あっせん制度については20数年前に自然消滅した」とする教団側の説明に対し、2014年に教団が信者向けに出したという書面を示して「9ページにわたり養子縁組のあっせんを説いている。教団の釈明に合わない」と指摘。「組織的かつ継続的な取り組みは明らか。質問状では献金が絡んでいないかどうかただしてほしい」と要請した。

加藤勝信厚生労働大臣は、11月18日の衆院厚生労働委員会で教団へ質問状を送る準備があるとしています。立憲民主党の早稲田夕季議員からは教団の説明への反証が為されています。

加藤大臣会見概要 |令和4年11月18日|大臣記者会見|厚生労働省

記者:
旧統一教会が協議に基づき、信者同士で養子縁組を行っているとされていることについて、加藤大臣は先日質問状を提示するよう事務方に指示したとのことですが、現在の進捗状況とどのような質問内容を想定しているのでしょうか。質問の締め切りと、いつまでに調査を終えたいか大臣の考えを聞かせてください。また、法令違反が確認された場合の対応もあわせて伺わせてください。

大臣:
養子縁組あっせん事業に当たる行為が旧統一教会の中で行われているか、事実関係の確認を行うための質問書については、できるだけ速やかに発出できるよう、旧統一教会の本部が所在する東京都との内容の調整等を今進めているところであります。
 質問書の内容については調整中でありますが、とりわけ養子縁組あっせん法が施行された平成30年度以降の実態について、適切に把握できるよう調整していきたいと考えています。回答期限については、先ほど申し上げたようにできる限り速やかにということで事実関係の確認を進める必要性がありますが、旧統一教会に責任ある回答を求めるため一定の期間を確保する必要性も勘案した上で適切に設定したいと考えています。調査の期限について、事実確認を行っている現時点で申し上げるのは困難であります。旧統一教会からの回答を踏まえて速やかに対応を検討したいと思います。法令違反があった場合の対応でありますが、一般論でお答えするしかありませんが、あっせん法第6条に規定する許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行っていた具体的な事実関係が確認された場合には、許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行ってはならない旨行政指導を行う、同法第44条の罰則の適用に関し必要な対応を行うといったことになると考えております。

NHKによる教団への質問と回答:クローズアップ現代HP

旧統一教会 “養子縁組”の2世 ~私は何のために生まれてきたのか~ - クローズアップ現代 - NHK

▼今回の取材で、互いに面識のない信者家庭が教会を介してマッチングされ、養子縁組が行われたケースが複数確認されました。弁護士は「養子縁組のあっせん業にあたる行為が行われている」と指摘します。教会は「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」に基づき、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けていますか。
 
 【回答】
「当法人で行われている養子縁組制度は、民間あっせん機関による養子縁組とは性質を異にするものであり、養子縁組を取り持つ教会が金銭的報酬を受け取ることは一切ありません(以上の理由から民間あっせん機関等の認可は受けていません)」
「尚、最近20年間においては、教会が関わる養子縁組制度から養子縁組を希望する家庭間で執り行われる養子縁組制度へと移行しております」
  
▼養子縁組について「使命と責任がある」と教えられていること、妊娠前に養子の約束を交わすこと(養子縁組みすることを前提にした妊娠)が推奨されていることなどについて、弁護士や元裁判官など複数の専門家が、「親の信仰のための養子であり、子どもの福祉のためではなく、宗教の道具にされている」として、未成年養子縁組制度、特別養子縁組制度の趣旨に反する疑いがあると指摘しています。また、「子どもの権利条約 第7条」および「児童福祉法」にも反する疑いがあるとの指摘があります。教会の見解をお答えください。
養子として他家に出された複数の2世当事者が、自らの出自を知り、「自分は宗教の道具として生まれてきた」と、人権が侵された苦しみを訴えています。教会としてどのように受け止めますか。
  
 【回答】
「当法人の信者間で行われる養子縁組は、養子を捧げる家庭と養子を受け入れる家庭同士が密接に交流しながら、養子となる二世の幸せを願って進められるものであり、『親の信仰のための養子』といったご指摘は事実に反します。ましてや、子どもに恵まれない家庭において、『子どもを持ちたい』と願うのは、宗教を信じる・信じないとは全く無関係であると考えます。にもかかわらず、一般にも、法律的にも認められ、行われている養子縁組について、当法人の信者が養子縁組をした場合に限っては、養子が『宗教の道具』であるかのようにみなすご質問は、それ自体が差別であり、極めて不当であり、貴局の当該番組の編成方針自体が、偏向し、差別を助長する許されざる報道であると考えます。仮に、そのように考える二世信者(養子)が存在するとしても、それをもって全体が同様であるかのような報道をされるとすれば、当法人の信者間の養子縁組で誕生した全ての子どもたちが世間から『宗教の道具』とみなされることにつながり、それこそ深刻な人権侵害を招く恐れがあります。このような、偏向・差別報道は絶対にやめて頂きたいと思います」

NHKクローズアップ現代HPでは、養子縁組のあっせんの問題が取り上げられ、教団への質問と回答が掲載されています。

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