公衆衛生の敵
- 「厚労省がワクチン接種は努力義務なしの選択制と言ってる」デマ
- 反ワクチン界隈のデマは平山秀善「ママエンジェルスの答申」が元ネタ
- 新型コロナワクチンは接種勧奨・努力義務の扱い
- 「医療従事者の接種拒否の権利」など存在しない
「厚労省がワクチン接種は努力義務なしの選択制と言ってる」デマ
「厚労省がワクチン接種は努力義務なしの選択制と言ってる」というデマが反ワクチン界隈で拡散されていることを観測しました。
1月27日に初めてこのようなツイートがなされてから、同様の内容の投稿が相次いでおり、6月現在でもこの認識をベースにツイートしている輩が散見されます。
反ワクチン界隈のデマは平山秀善「ママエンジェルスの答申」が元ネタ
https://www.facebook.com/HIDEYOSHI777/posts/5292888447395904
反ワクチン界隈のデマは平山秀善による2月2日の上掲Facebook投稿が元ネタです。
「ママエンジェルスの答申」などと書いてますが、「答申」の意味は上司や上位機関が部下・下位機関に対して諮問したものに対して応じる返答の意味なので、不適切。
「答申」なるものが以下。この画像が拡散されています。
これを見た者が「答申」に書かれている内容が政府内の方針であるという勘違いをして(そういうものであると意図的に扱って)拡散しているというのが実情です。
これは勝手に書かれた文章なので、何らの通用力も持ちません。
現行法は、「選択制」という表記になっていませんし、インフルエンザワクチンとはまったく扱いが異なっています。
厚労省HPが紹介されていますが、上掲画像のような文言があったことは一度もありません。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_iryoujuujisha.html
新型コロナワクチンは接種勧奨・努力義務の扱い
予防接種法の附則第7条では、新型コロナワクチンの予防接種は本則6条1項の予防接種とみなしてこの法律を適用するとありますので、努力義務の対象です。
接種勧奨も附則第7条4項で本則8条の規定の適用があることが分かり、対象です。
したがって、「答申なるもの」にある内容は、現行の予防接種法が施行された令和2年12月の時点で既に否定されており、その後、ワクチン分科会や新柄コロナウイルス対策分科会、有識者会議においてもそのような方針が議論されたことはありません。
「選択制」という言葉も使われていません。
「医療従事者の接種拒否の権利」など存在しない
日弁連によって勘違いが振りまかれていますが、「医療従事者の接種拒否の権利」など存在しません。拒否OKの所は、それはその組織内において許されているだけです。
なぜなら…
- 現在は妊婦以外の12歳以上の市民に新型コロナワクチン接種の努力義務が予防接種法によって課せられている
- 医療従事者等はさらに感染予防・感染症の発生まん延予防の努力義務が感染症法によって課せられている
- 憲法上、国には公衆衛生の向上維持の努力義務が課せられている
「義務ではなく努力義務だ」とだけ言ってる無責任な人が居ますが、一般的に努力義務違反行為が過ぎれば損害賠償請求を受けたり行政処分を受けるリスクはあります。
新型コロナワクチンについては厚労省が「強制ではなく、業務に従事する条件にもなりません」と言うが、これは、仮に接種を受けなかったら不法行為等として民事損害賠償を受けるとか、資格や施設経営に対する行政処分を受けるとか、犯罪として処罰されるとか、そういう意味での何らかの法的制裁を受けることは無い、という意味でしょう。
一般の職場とは異なるということ。
有期の看護師が接種拒否したという言語道断な事例がありましたが、病院が解雇を撤回したのは有期だと解雇要件が厳格だから病院側が訴訟リスクから安全を見て穏当な処置をしただけで、一般に敷衍できるものではありません。
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