事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「新型コロナワクチンは副反応で危険、接種拒否」論者いしいじんぺいの誘導と論理破綻

f:id:Nathannate:20210218235120j:plain

一般的な論理で気づくことは可能。常識が大事。

いしいじんぺい@jinpeiishii「日々予め幸せ」のnote記事

f:id:Nathannate:20210218213856p:plain

いしいじんぺい@jinpeiishiiという医師が運用してるnote「日々予め幸せ」における「私がコロナ「ワクチン」を打たない3つの理由」という記事で上記のような新型コロナワクチンを接種しない理由付けがなされています。

こういう「ワクチン陰謀論」は、一般論で見抜くことが可能です。

突っ込みどころはたくさんあり過ぎてきりが無いのですが、明らかにおかしな点について詳しく述べていきます。

アメリカで新型コロナワクチンによる死亡者?因果関係を無視

ワクチン接種後に死亡 0.003% 米国内で1170件 CDC「関連があるとは認められないが、引き続き調査」

上記記事内で引用されているこの記事とその内容ですが、2020年12月14日から2021年2月7日までの間に約4000万人がワクチンを接種したが、接種者のうち死亡した者が1170名存在する、という報道。
(※CDCのHPでは、2月7日までに4,100万以上のCOVID-19ワクチン投与の間、ワクチン有害事象報告システム=VAERSが受けた死亡報告が1,170件(0.003%))

Selected Adverse Events Reported after COVID-19 Vaccination | CDC2月11日時点魚拓)

詳細版⇒https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-01/06-COVID-Shimabukuro.pdf

つまり、ワクチン接種との関係を精査すべきと報告された死亡事例につき、死亡診断書、剖検、および医療記録の調査をした結果、現時点では因果関係は認められないとされた、という情報なのですが、いしいじゅんぺい氏はなぜかこの情報でもって、記事のその後で「ワクチン接種による死亡率0.003%」を所与の前提として論じていきます。

この時点で異常な主張だということに気づく人は常識人。

因果関係が無い方向の状況なのに、何らの断わりも入れずに因果関係がある前提で死亡率の高低を論じているのですから。普通は「仮定的に論じる」とか、この数字が因果関係のあるものであるという相当の証拠を積んだ後に、数字の高低を論じるべきでしょう。

その比較意味ある?「副反応で危険、接種拒否」論者の誘導

f:id:Nathannate:20210218231536p:plain

「『コミナティ筋注』の死者数は2か月以内。日本の死者数は1年間」とありますが…

期間の比較は意味がありませんよね。

ワクチン接種による死亡(があると仮定して)は全員が接種すれば終わりですが、新型コロナ感染症による死亡の場合は、流行が続けば継続しますから。

「全人口あたりの新型コロナ感染症による死亡率」を取り上げるなら、期間が増えれば数字が増えていくのは当たり前だし、だからこそワクチンを打たないとリスクなわけです。
(ワクチンを打った状態と打たない状態の比較ではなく、新型コロナ感染・発症・重症化・死亡・感染拡大対策としてワクチンを打った際の有害事象リスクと、現在のように社会生活制限をしつつ感染・発症・重症化・死亡リスクを負うのかの話)。

「2か月」と「1年=12か月」という数字を出して「6倍」という印象を抱かせようとしているのがバレバレです。

アメリカで優先的にワクチン接種対象になっている者は?

f:id:Nathannate:20210218234354p:plain

いしい氏は「日本で新型コロナの死亡率が0.003%を超えるのは80代以上だけ、よって、それ以下ではワクチン接種による死亡のリスクの方が高い」などと言い放っています。

しかし、「0.003%」の数字となったワクチン接種者の内訳は?

f:id:Nathannate:20210218215507p:plain

CDC’s COVID-19 Vaccine Rollout Recommendations | CDC

アメリカでワクチンを優先接種する対象を優先度毎に分けたものがこちら。

最優先の"1a"には、介護施設の居住者"1b"に介護施設居住者ではない75歳以上の人"1c"に介護施設居住者ではない65歳以上75歳未満の者や、基礎疾患のある16〜64歳の者が含まれています。

つまり、高齢者や基礎疾患を有する者が多く含まれている集団における0.003%(何度も言うが、因果関係は認められていない)なのであって、これが今後、それらの者に限られない集団を対象に接種が行われた後には、さらに低下することが予想されます。

1月にもノルウェーのナーシングホームにおける「接種後」の死亡者報道で印象操作したメディアと騒いだ者がいましたが、今回もこの手の情報隠蔽が為されているということです。

新型コロナワクチン副反応で危険、接種拒否論者の論理破綻

さて、ここまで指摘した事は、論理展開の粗雑さという一般的な論理や、特定の知識だが専門知識ではないものによって可能だというのがわかったでしょうか?

ここで書いたことは、医療従事者に求められるような知識は、何ら必要ありません。

常識があれば指摘できる話。

「新型コロナワクチン副反応で危険だ!接種拒否!」論者の主張というのは、そのレベルということです。

(※末期患者への投与の是非や、長期的な影響に対する慎重な姿勢、デング熱のように一部の者に見られる抗体依存性増強の有無の観察(現在まで無し)などを否定するものではありません)

なまじっか特定の知識があると生じる問題については以下。

 以上