事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

在韓米大使公邸に親北大学生団体が乱入:警察傍観でウィーン条約違反か

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10月18日、在韓米大使公邸に親北大学生団体が乱入してデモを行いました。

警察も実質的に傍観しており、ウィーン条約違反が濃厚なのでアメリカが国際司法裁判所に提訴するかが注目されます。

在韓米大使公邸に親北大学生団体が乱入:韓国警察傍観

米大使公邸に親北大学生団体が乱入、韓国警察は傍観-Chosun online 朝鮮日報魚拓

 ソウル・南大門警察署は18日、「韓国大学生進歩連合(以下『大進連』)メンバー19人を、米国大使公邸に侵入した容疑など(共同住居侵入、『集会および示威に関する法律』違反など)により現場で全員逮捕した」と発表した。大進連は今夏、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長を称賛する大会をソウルで開いた団体だ。大使公邸はウィーン条約に基づき、韓国警察が保護すべき「特別な義務」を有している。しかし現場警備に立っていた義務警察(兵役の代わりに警察で勤務する警察官)は、デモ隊の乱入を積極的に阻止することはなかった

警察が居たのにデモ隊の乱入を阻止せず、内部でのデモ活動を実質的に容認していたとの報道があります。

これが事実であれば、韓国はウィーン条約に違反しているといえます。

外交関係に関するウィーン条約

外交関係に関するウィーン条約

外交関係に関するウィーン条約には公館の保護義務があります。

「公館の安寧・威厳を守る特別の責務」

外務省: 条約検索 外交関係に関するウィーン条約

第二十二条

2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する

韓国警察の怠慢・不作為は、この義務に違反しているでしょう。

ウィーン条約22条2項が問題となったケースとしては1979年の在テヘラン米国大使館員人質事件「United States Diplomatic and Consular Staff in Tehran (United States of America v. Iran)が挙げられます。

国際司法裁判所判断が出ています。

在韓公館に関する事件

韓国では公館の安寧を脅かしかねない事件が多発してます。

在韓日本大使館ビル前で自爆ガソリンテロ未遂

2019年7月19日には在韓日本大使館前で車内のガソリンに火をつけて自爆した事件がありました。ビルの中に入っている日本大使館には被害はなかったようです。

在韓日本大使館前の数々のデモ

こちらはGoogleマップのストリートビューを見ると、警察の大型車両が旧日本大使館の敷地前の歩道に並べられており、警官の監視もあるようでした。

韓国法では大使館前100メートル以内のデモであっても、それが「集会が大規模に拡散する恐れがなければ」可能という裁判所の判断が出ていました。

ただ、それは通常のデモの場合であって、「旭日旗を切り裂く行為」に対しては許されてよいのか、疑問です。

その他

日本大使館の敷地内に韓国人の学生が侵入した事件や、韓国ソウル市内にあるフジテレビの事務所に侵入して旭日旗を破るパフォーマンスをするなどがありました。

そして数年前には米国大使のリッパート氏が切りつけられるという事件がありました。

とんでもない事件が多数起こっているといえるでしょう。

ウィーン条約違反でアメリカは提訴するか

アメリカは過去にもウィーン条約22条2項違反で相手国を提訴している事案があるので、今回も提訴する可能性が考えられますが、学生の侵入ということで軽微な事案の扱いにとどめるかもしれません。

以上