事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「トランプ支持者は共有精神病」イェール大学精神医学博士が追放:ゴールドウォータールールと香山リカ

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これも「表現の自由」だとして許されてしまうのだろうか?

精神医学博士「トランプ支持者は共有精神病」追放される

Former professor says Yale fired her over tweet on Trump, Dershowitz

イェール大学医学部の精神科に所属するBandy Lee=バンディ・リー博士が、ドナルド・トランプ前大統領の支持者の「ほぼすべて」が「共有精神病」に苦しんでいる、などと2020年1月にツイートしたと主張したために追放されたことが報じられています。

理由はアメリカ精神医学会の精神科専門家における倫理規程違反とされています。

(※トランプ弁護団のAlan Dershowitz=アラン・ダーショヴィッツ氏に対する同様の発言も原因)

ゴールドウォータールール:精神科専門家の倫理規範

Goldwater Rule魚拓Principles of medical ethics

Text of APA’s Ethics Annotation Known as ‘Goldwater Rule’

7. 3. On occasion psychiatrists are asked for an opinion about an individual who is in the light of public attention or who has disclosed information about himself/herself through public media. In such circumstances, a psychiatrist may share with the public his or her expertise about psychiatric issues in general. However, it is unethical for a psychiatrist to offer a professional opinion unless he or she has conducted an examination and has been granted proper authorization for such a statement.

精神科専門家の倫理規範であるゴールドウォータールールでは「検査を実施し、そのような発言をするための適切な許可を得ていない限り、精神科専門家が専門的見地から意見を述べることは非倫理的である」とされています。

1964年の大統領選挙キャンペーン中に候補者のバリー・ゴールドウォーターに対して、政治的党派性に基づいて精神医学の専門家が精神医学用語を用いて批判したことが問題視されたことを受けて作られたルールです。
(※成立背景からは診断名を使う以外に精神科学用語による人格分析も同様に扱われる事になると思われる)

これに対してバンディ・リーは憲法修正1条(表現の自由条項)に基づいて保護されるべきであり、ゴールドウォータールールは違憲だ、と主張しています。

なお、「アメリカ精神分析学会」はゴールドウォータールールに否定的な見解を出したことがあります。

Psychiatry group tells members they can discuss Trump's mental health

同じような事案が日本でもありました。

香山リカ「安倍は反動形成で間違いを認めない」

精神科医の香山リカ氏は「安倍は反動形成で間違いを認めない」等とスピーチ。

それをなぜ安倍首相たちはできないのか。なぜできないのか。

 私は、それは恐いんだと思います。

 自分の中に非常に不安がある。 自分たちが間違ったことをした過去があるということを認めるのも恐いし、これからもしかしたら間違ったことをしてしまうかもしれない、ということを認めるのも恐い。

 人間、これは精神医学的に、恐い、不安、恐怖があると、それを打ち消すために、反動形成といって逆の強がりの態度をとってしまう。 これは非常によく知られていることですね。

 こういう態度をとって、今はなにか威張ったり、人をバカにしたり、微笑みを浮かべたような態度を取ることで、自分の中にある、もしかしたら、恐怖や不安や脅えと戦っているのかもしれない。そういう状況までに追い込んだのは、ひとつは皆さんたちの闘いのおかげなんだと思います。

この発言は、ゴールドウォータールールに基づけば倫理に反した行いとされるのではないでしょうか?

もちろん、精神科医が政治的主張をしてはならない、ということではありません。

例えば、次項の事例は私はゆるされるべきだと思います。

精神科医による政治的表現

攻められイライラ、自己愛ばかり? 首相の言葉のあり方:朝日新聞デジタル

仲間の登用 増す「自分は特別」感 水島広子さん(精神科医・元衆院議員)
 安倍さんの国会での答弁、ヤジ、イライラとした表情を見ていると、自分とは異なる意見を言われ、それを自分への脅威とみなして反撃しているように見えます。人間は、「攻撃を受けた」と感じなければ、他人を攻撃するようにはできていないからです。

 政治家は自己愛が強いと言われます。「自分は特別な存在」という性格そのものは、私は全否定しません。人を酔わせる演説も、自己愛が強くなければできませんから。自己愛は多くの政治家にとって不可欠なエネルギー源です。

このような主張は、個人的な視点に基づく人間・人間社会の分析から導き出された知見をもとに論じられていると受け止めることが可能なものでしょう。

専門用語も無く、精神科学の専門的知見が無くとも言及可能な内容です

したがって、精神科医としての倫理には特に反しないのではないかと思います。

なお、日本精神神経学会では精神科医師の倫理綱領がありますが、それがどれほどの通用力があるとされているのかは分からない上に、ゴールドウォータールールのような規定はありません。

まとめ

法学の世界にも似たような事案があると思うのですが、日本人に対してやたらと「ヘイトスピーチ」や「差別主義者」などといった法的な要素が多分に含まれる言葉を用いて批評する法律専門家が居ますよね?

そういうのは倫理的にどうなんだ?と思います。

特に弁護士の場合は懲戒処分の対象にもなり得るんじゃないかと思います。

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