ジョジョリオンのラスボス能力の予測考察です。
コミックス17巻までに出てきたヒントらしきものから妄想していきます。
ジョジョリオンのラスボスは誰か?
現時点でもラスボスの存在は定助たちに認識されていません。作中でも黒幕らしき者が暗躍している描写はありません。
ただ、定助の記憶にフラッシュバックしてきたこの男がラスボスではないかと言われており私もそうだと思っています。
では、なぜこの男が全く出てこないのか?というところがラスボスの能力の第一のヒントのような気がします。
ジョジョの奇妙な冒険シリーズのラスボスの能力
これも有名な話ですが、ジョジョの奇妙な冒険シリーズのラスボスのスタンド能力は、テープレコーダーやDISC等の記憶媒体の操作に関連しているのです。
各部のラスボスの能力
1部と2部はスタンドという概念が出てきていないので省きます。
3部:スターダストクルセイダーズ
ディオ、ザ・ワールド:時止め=一時停止
4部:ダイヤモンドは砕けない
吉良吉影(川尻浩作)、バイツァダスト:時を戻す=巻き戻し
5部:黄金の風
ディアボロ、キングクリムゾン:時を吹き飛ばす&予知=スキップ、チャプター再生
6部:ストーンオーシャン
プッチ神父、メイドインヘヴン:時を加速させる=早送り
7部:スティール・ボール・ラン
ファニーバレンタイン大統領、D4C:並行世界を行き来する=ダビング
8部:ジョジョリオン
???
8部ジョジョリオンのラスボスに残された「デッキ機能」は?
残るデッキ操作としては「削除」「スロー再生」「録画」「上書き」が考えられます。
ただし、「上書き」については既にゲーム「ジョジョの奇妙な冒険アイズオブヘヴン」においてディオのザ・ワールド・オーバーヘヴンの能力で実現されています。
能力は「殴ったものにDIOの望む真実を上書きする」というものであり、ディオが「消えろ」と思って殴れば対象の存在が消えるというものです。
「ん?それって「削除」も含まれるのでは?」と思う人もいると思います。
しかし、ザ・ワールド・オーバーヘヴンは削除も可能ですし削除せずとも改変することもできるというところが便利なところなので、削除の上位互換が「上書き」と言えるでしょう。したがって、「削除」は残ることになります。
では、残る「削除」「スロー再生」「録画」の内どれか?
それに触れる前に別の観点からの絞り込みをしていきます。
6部までのラスボスの能力の法則と7部以降のラスボスの能力
もう一つの考察の視点として、掲載誌を変える前まで宇宙が一巡するまでの6部と、一巡後?(設定変更後)の7部以降のラスボスの能力の違いから考えるというものがあります。
既述の通り、3~6部のラスボスの能力は全て「時」に関係するものでした。
対して、7部のD4Cは並行世界に行き来させるということで「空間」の能力と言えるという事になります。この観点から、8部のラスボスの能力も「空間」に関する能力なのではないか?と言われることも多いです。
しかし、私はこの筋では考察しません。
なぜなら、7部のヴァレンタインの能力は単に空間の能力ではなく、「世界線超越」という要素も含まれているからです。3部のヴァニラ・アイスは「自身が作り出した空間に隠れる、触れた物体を暗黒空間に引き込む」、4部の虹村億泰のザ・ハンドは「空間を削り取る」でした。D4Cはこのような機能よりも使い勝手が良く、並行世界から物を持ってくることができる上に、同じものを触れさせると対消滅させることができる能力です。
7部のラストも、この能力の特性を活かしたものでした。
よって、単に空間に関する能力という線での考察は罠にはまると思っています。
ジョジョリオンのテーマ
次にジョジョリオンという作品全体に通底するテーマから、ラスボスの能力に絞り込みをかけていきます。
「隠れた敵」
ジョジョリオンの冒頭シーンは「隠れるのがいいか?」という問いかけでした。
スタンド攻撃を受けているのは分かっているのに、本体がどこにいるのかわからない。
ジョジョリオンのバトルはこのような状況がとても多いです。
例えば最初の敵である笹目桜二郎の「ファン・ファン・ファン」はマンションの上階から攻撃を仕掛けてきましたし、杜王病院へ行く途中に定助に攻撃してきた虹村京の「ボーン・ディス・ウェイ」(ウルトラジャンプ掲載時は『ゴーイング・アンダーグラウンド』)は、自動追尾型で本体が近くに居なくとも攻撃可能なものでした。
八木山夜露などの岩人間とのバトルでは、周囲の環境に擬態するなどして隠れながら攻撃を仕掛けてきました。
「見えない敵」
スタンドの本体は見えているのに、何の能力かわからない。そもそもスタンド能力を発現させているのかもわからない。このような状況が度々ありました。
東方常敏とのクワガタバトルでは常敏がスタンドを使っているのか不明な状況が続き、スタンドを使用していると判明した後もどのような能力かはしばらく不明でした。
これは主人公側が攻撃を受けている場面に限らず、敵キャラが攻撃を受けている場合のも当てはまります。
「敵が存在しない」
そもそも「敵」と表現するのが難しい存在も出てきます。
カツアゲロード:オータム・リーヴス
通行すると必ずカツアゲされる道路。銀杏の葉っぱの下にあるスタンド「オータム・リーヴス」が引き起こす「現象そのもの」。スタンドの本体は存在せず、ジョニー・ジョースターの死をきっかけに発生した。もはや自然現象と同じなので、通常の攻撃手段では「倒す」ことすらできないのでしょう。
ミラグロマンの紙幣
ナンバーの末尾が13番の紙幣であり、金銭を使っても増えて戻ってくる呪いがかかっている。増えたカネは譲渡することも捨てることもできなくなる。呪いの紙幣を誰かに押しつけて破壊させることで呪いを移すことができる。
この呪いにかかった常秀は、紙幣の持ち主である苦竹財平からは何ら攻撃を受けていない。
「認識の齟齬」
物理的な影響ではなく、認識レベルに影響を与えるスタンド・事象があります。
東方大弥:「カリフォルニア・キング・ベッドちゃん」
このスタンドは、相手が約束を破ると記憶の一部をチェスの駒の中に閉じ込めて奪うという能力。記憶を消された者は思い出すことができなくなります。
東方つるぎ:「ペーパー・ムーン・キング」
折り紙による攻撃を受けた者は、人の顔や物体がどれも同じに見えるようになるという能力です。認識の齟齬の例としてわかりやすいでしょう。
ホリィ・ジョースターの病気、定助・常秀の勘違い。そして歯型
スタンドバトル以外でも通常シーンの何気ない描写に認識の齟齬が描かれています。
ホリィ・ジョースターは病気によって人が物に見えるという認識の異常が起こっていますし、定助が病院で起きたときに妹・姉・母親が同じ服装だったものを「今成長中なのか?」と言っているシーン、常秀が康保の態度を勘違いしてサイコな行動に出るなど(ホリィと違ってこれが平常運転だから恐ろしい)。
歯型
さて、ここまで認識の齟齬を書いてきましたが、この現象のメタファーではないか?という描写がジョジョリオン作品の最初の方はありました。そう、「歯型」です。「齟齬」の左側のつくりに似ている、というだけなのですが、単に設定が変わったのか知りませんが最近は全く出てきません。
ジョジョの過去作品を見ても、矛盾する設定がたくさんありましたから、このような考察は無駄なのかもしれません。ただ、荒木飛呂彦さんが「伏線を張る」ということに挑戦しているのではないか?という予測も捨てるのはもったいないと思います。
定助の前歯がすきっぱなのは、「歯」に関して伏線をはっている、そのことのヒントではないでしょうか?
歯型は認識の齟齬の場面で出てくる。これはラスボス考察にもつながってきます。
「導くもの」
ジョジョリオンでは攻撃手段を持たないスタンドもいくつか存在しています。
広瀬康穂:ペイズリー・パーク
「行くべき方向」へ導いてくれるスタンド。敵への攻撃シーンは無かったと思います。
東方憲助:キング・ナッシング
匂いを追跡することができ、また匂いを持つ対象の形状を記憶して再現することが可能。これも物理的な攻撃手段は持っていないと思われます。田最環にやられっぱなしだったのは直接的な戦闘には向かない能力だからかもしれません。
人間の特殊能力
スタンド能力とは別に東方定助や吉良・ホリィ・ジョースターは、物の全長・距離を目視で精密に測ることができるという能力があり、これも何らかの意思決定を導くのに役立つ能力です。
以上のスタンドと人間の能力は、認識を促す能力であり、認識の齟齬に対抗する手段でもあると言えます。
ジョジョリオンの敵攻略のパターン
以上みてきたように、ジョジョリオンのバトルでは以下のような手順を踏みます
- まず敵が誰なのかの認識をする
- スタンド能力が何なのかを把握する
- スタンド能力への対処方法を思いつく
- 倒す、殺す、或いは状況を切り抜ける
そう、まず「認識」しなければ始まらないのです。
ラスボスにふさわしい能力は、まずもって「認識」を支配する能力ではないでしょうか?
ジョジョリオンのラスボスの能力
さて、ここでデッキ操作の話に戻ります。
「削除」「録画」「スロー再生」いずれの能力がラスボスの能力でしょうか?
私は「削除」に該当する能力だと思います。
すなわち「ある事項についての認識を削除する=相手はある事項を認識することができなくなる」のがラスボスのスタンド能力だと思います。
これは東方大弥の「記憶を奪う」とは異なります。記憶はあるが、認識するためのセンサーが奪われるというものです。
敵が自分に対する認識を相手から奪ったらどうでしょうか?敵は近くに居るのに認識できないとすれば攻撃を察知すること自体できなくなります。攻撃を受けている最中であるという認識すらなくなります。
定助の記憶(服を着ていたので死亡前の吉良の記憶かもしれない)に出てきた男が定助から男に対する認識を奪っているのではないか?。だからこそ定助の回想に男が出てきているにもかかわらず、それ以上その男に関連する考察が無いのではないか?
そもそも第一話の冒頭のシーンは不可解な点がたくさんある。ナレーションは誰が発言しているのか?康保だとすればなぜ隠れていたのか?キスは誰としたのか?立ち上がりではなく、しゃがむと眩暈がするのはなぜなのか?
あのシーンは定助の記憶に出てきた男が作り出した状況なのではないだろうか?
そして、もしかしたら吉良吉影(4部)のように、メインとなる能力として物理的に相手を攻撃する手段があるのかもしれません。
能力の発動条件
認識を消す能力の発動条件は「歯型を付ける」ではないでしょうか?
ジョジョリオンの初期には歯型がつけられた者がスタンド能力を発現する?という描写がありましたが、定助、康保、常秀以降は特にそのような描写がなくともスタンド能力を身に着けています。
歯型がつけられた者にはラスボスは認識できない。
そうだとすれば、定助たちはどうやってラスボスを倒すのでしょうか?
ラスボスバトルの行方
コミックス17巻でラスボスもはっきりしてない段階ですが、全力で妄想していきますよ。
ラスボス探知の方法
ジョジョリオンのスタンドには物理的な攻撃手段を持たないスタンドがあると書きました。
とすると、そういった能力を持つスタンドの補助を借りてラスボスの存在を認知した上で攻撃をするということになるのではないでしょうか?
広瀬康保のペイズリーパークや東方憲助のキング・ナッシングは索敵能力に長けたスタンドです。今後、もしかしたら「音」や「光」に関する能力を持つスタンドが登場するのかもしれません。
ラスボスの倒し方
物語の舞台が杜王町ということもあり本作では4部のオマージュがたくさんあります。
したがって、ラストバトルも4部と類似した展開になるのではないでしょうか?
つまり、主要「要素」全ての力で立ち向かい、ラスボスを倒す。
全ての力がないと倒せないというのは、認識を奪われても再度認識させてくれる仲間(要素)が必要であるということです。その上で初めてスタンド能力による攻撃が可能になる。むしろ大切なのは再認識させることではないでしょうか。
東方家の能力はそれぞれ認識に齟齬を来したり認識を促すための能力が揃っています。敵に認識を奪われるか、敵の認識に齟齬を来すことができるかの戦いになると思われます。
更に、4部では最後に幽霊の杉本麗美とアーノルド+無数の手で吉良を闇に葬ったように、ジョジョリオンも人だけでラスボスを倒すのではないのではないでしょうか?
おそらく杜王町全体で倒す。そう、ミラグロマンの呪いやカツアゲロードもラスボス撃破のために必要なのではないでしょうか。
まとめ
全力で妄想を膨らませてきましたが、これで予想が外れていても本望です。
むしろ、予想の遥か斜め上を行ってほしいと思っています。
今後の展開が楽しみです。
以上