事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

テレビ朝日「サンデーLIVE!!」パイプ爆弾の殺傷能力の高め方等を放送:和歌山雑賀崎漁港での岸田総理爆殺未遂事件

テレビ朝日サンデーLIVE

より精度を高めた模倣犯を生み出したいんだな

テレビ朝日「サンデーLIVE!!」和歌山雑賀崎漁港での爆弾テロ事件報道

2023年4月16日放送のテレビ朝日「サンデーLIVE!!」にて、岸田総理による演説が予定されていた和歌山市の雑賀崎漁港の会場で一般聴衆が大勢居る中で手製の爆発物が投げつけられた卑劣な事件がとりあげられました。

そこでの放送の仕方には疑問符が付きます。

パイプ爆弾の材質・形状・構造・作り方・殺傷能力の高め方を放送

番組内では専門家に語らせる形式で、事件で使用されたのはいわゆる「パイプ爆弾」であること・その作り方の概略・信管の材質・内部構造の写真・そして殺傷能力の高め方と失敗分析を紹介していました。

中に〇〇〇〇〇だったりとか、あとは〇〇とか〇〇〇のようなものですね、そういうものを入れると被害がより大きく広がるという形ですね。

過去にボストンマラソン爆破テロ事件で使用された「圧力鍋爆弾」の情報について、テレビ朝日系の「モーニングバード!」が詳しく報道したことを彷彿とさせます。

このときは実際に鍋に「材料」を投入する様子や「完成品」の内容物も含めた構造、そして材料の入手方法や金額相場なども語られていたので、「それに比べれば大したことない」ということなんでしょうか?

テレビで「圧力鍋爆弾の作り方」紹介 「詳しすぎる」「モラルあるのか」と批判: J-CAST ニュース

 なおこうした指摘についてテレビ朝日に問い合わせたところ、

「番組に対するご指摘は、今後の放送に生かしてまいりたいと考えます」

本当に生かされたんだろうか?

同様の放送は他局でも為されていたと聞きますがこのような状況で良いのでしょうか?

無差別犯の人物像・背景・動機をエンターテインメントに

そして、この番組では無差別犯について「人物像は?」などと論じた後に、背景・動機を解明するべきだ、と締めていました。

犯人の目的・動機を一定程度明らかにすることは「テロリズム」の定義からして必要でしょう。しかし、「人物像」などという要素を一般に垂れ流していちいち「犯人の生い立ちエンタメ」をする必要など、まったくない。

追記⇒「テロの原因を究明して報道せよ、それが再発防止になる」が詭弁である理由|Nathan(ねーさん)|note

ニュージーランドのアーダーン首相が語った内容は、何度も意識されるべき。

アーダーン首相は議会で、「男はこのテロ行為を通じて色々なことを手に入れようとした。そのひとつが、悪名だ。だからこそ、私は今後一切、この男の名前を口にしない」と、気持ちをこめて演説した。

「皆さんは、大勢の命を奪った男の名前ではなく、命を失った大勢の人たちの名前を語ってください。男はテロリストで、犯罪者で、過激派だ。私が言及するとき、あの男は無名のままで終る」

政治家をターゲットにした犯行をすると、それをメディアが取り上げる。

言論空間は犯行に関する話題で埋め尽くされ、世間一般に広まるべき本当の政策課題や被害を受けた政治家の主張は、物量によってかき消される。

そのような状況の創出に、ネット民も加担している。

こんな状況で良いわけが無い。

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