事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

バーンリーファンの男性"White Lives Matter"のバナーで解雇、彼女も解雇される

バーンリーの男性がWhite Lives Matter バナーで解雇

Jake Hepple氏のフェイスブックより:https://www.facebook.com/jake.hepple/posts/1622195737811796:0

バーンリーファンの男性が、"White Lives Matter" のバナーを掲示したことで解雇され、その彼女も解雇された、ということが報じられていますが、日本に歪められて情報が伝播する前に報道内容を整理します。

マンチェスターシティvsバーンリー戦でWhite Lives Matter のバナーが飛行

Burnley's Ben Mee ashamed of 'White Lives Matter’ banner flown over Etihad | Football | The Guardian

前提として、マンチェスターシティvsバーンリー戦で"White Lives Matter Burnley!"という飛行バナーが、スタジアムの上空に掲げられたという事実がガーディアン紙によって報道されています。

このバナーが掲示された場面が問題でした。

両チームがBLMアクションをしている最中の出来事

Burnley's Ben Mee ashamed of 'White Lives Matter’ banner flown over Etihad | Football | The Guardian

The plane flew over Manchester City’s stadium shortly after the players, coaching staff and match officials had taken the knee in support of the Black Lives Matter movement.

両チームの選手・スタッフ、スタジアム関係者らがBLMムーヴメントのために膝立ちをしている直後に掲示された、ということのようです。

フットボール界隈のレベルでは、"White Lives Matter" というメッセージそのものが否定された事案であるとまでは言えません。

マンチェスターシティのグアルディオラ監督もこの件で"All Lives Matter"と言っているように、少なくともスポーツの現場レベルでは、白人が軽視されるべきという価値観が語られた事件ではありません。

バーンリーファンの男性が解雇

Burnley fan responsible for 'white lives matter' stunt sacked from his job | UK News | Sky News

ところが、このバナーの掲示をしたJake Hepple=ジェイク・ヘップルというエンジニアの24歳の男性が、雇われている会社「パラダイムプレシジョン」から解雇されたとスカイスポーツが報じています。

警察の弁として、何らかの犯罪行為が行われたことは無いと結論付けられています。

ところが、ジェイク・ヘップルを雇用していた会社は、「男性の行為はわが社のさまざまなポリシーや手続きに違反があったと結論付けました」とだけ報じられており、詳しい話は分かっていません。

男性の行為が会社の資源を用いて行われたからなのか、単に行為だけを取り上げて処分が行われたのかはわかりません。パラダイムプレシジョンの公式HPからは、同社の事業が航空機部品の製造業であることは分かるのですが、どういうポリシー違反なのかは不明です。

たしかに彼の行為は「場違いな行為」ではあるものの、それがなぜ会社の雇用に関係するのか、それも解雇に値する行為として評価されてしまうのか、まったく理解できません。

そして、この報道では、同時に彼の彼女も「SNS投稿によって解雇された」とありますが、他の報道によれば、男性の行為とは無関係の話であることが分かります。

男性の彼女が解雇「バーンリーはまるで外国」投稿が原因

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1984: Girlfriend of man behind "white lives matter" banner FIRED from her job | Times of Sweden | Your home for #RealNews

ジェイク・ヘップルのガールフレンドであるMegan Rambadt が美容室から解雇されたのはTwitterで「バーンリーの中心はまるで外国のようだ」とツイートしたことがきっかけだと報道されています。

後日談として、「"GoFundMe"で彼と彼のガールフレンドのために資金を集めるキャンペーンが開始されましたが、当該ウェブサイトは「違反した利用規約」のためにキャンペーンを削除した」と報道されています。

なんとも後味の悪い話ですが、これで両者は生活のためのお金に困ることになり、まさに"White Lives Matter"なわけです。

記事表題にある"1984"というのはジョージ・オーウェルの小説の名前で、全体主義社会となった未来のディストピアを描いた作品で、今回の事件を「1984のようだ」として皮肉っています。

ケンブリッジ大学の女性講師"White Lives don't Matter"は解雇されず

バーンリーの事件がある中で、 ケンブリッジ大学のPriyamvada Gopal氏が以下のツイートをしているのに、どうして彼女は解雇されないのか?という疑問を呈するツイートに賛同が集まっています。(「このために昇進した」という指摘が事実かは未検証です。)

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"White Lives Don't Matter. As shite lives"

これは強烈に非難を受けたためか、彼女は当該ツイートを削除、代わりに直下のリプライに対して以下のツイートをしました。

「もちろんオールライブスマターであり、ホワイトも、彼らのやり方で生きています」「前述のツイートの意味するところはこういうことです」という感じの意味ですが、なんとも誤魔化し感がぬぐえません。

少なくとも非常に不注意な言動でしょう。

ケンブリッジ大学は以下ツイートで「合法的な意見の表明をする権利を当校は守ります」などと、意味深なタイミングで一般論を展開しています。 

もちろん、私は彼女が解雇されるべきとは思えませんし、この程度の表現が認められなくて、表現の自由はあり得ないと思います。

しかし、ならばバーンリーの男女の事例はいったい何なのか。

イギリス社会のダブルスタンダードが表出している事案だと思います。

ロザラムやブリストルの事件の温床

英少女1400人性的暴行―訴え続けた女性の闘い - WSJ

13歳少女らをたらい回し、ソマリア系性暴力集団に有罪 英国 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

イギリスでは「ロザラム事件」のように、移民が組織的な性犯罪を行っていても現地警察が検挙せずに放置されていたという問題があり、しかも同様の事件が複数の都市で発生しています。

White Lives Matterに関するイギリス社会のこのような態度が国内治安を悪化させていると思うのですが、左派集団の声が大きいようで、混乱は続きそうです。

以上