事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

朝日新聞「国境なき記者団が日本では政権批判の記者がSNSで攻撃」:報道の自由度ランキング2021

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朝日新聞による記者特権要請の紹介と、読み方の注意。

朝日新聞「国境なき記者団が政権批判の記者がSNSで攻撃」

報道の自由度、67位 「菅氏は改善へ何もしていない」パリ=疋田多揚2021年4月20日 21時04分:朝日新聞デジタル魚拓

国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は20日、2021年の「報道の自由度ランキング」を発表した。調査対象の180カ国・地域のうち日本は67位(前年66位)だった。日本の状況について、政権批判をする記者がSNSで攻撃されているなどと指摘。昨年9月に就任した菅義偉首相については、「報道の自由の雰囲気を改善するために何もしていない」と批判した。

主語は「国境なき記者団」です。朝日新聞ではありません。

全体⇒Classement mondial de la liberté de la presse 2021 : le journalisme est un vaccin contre la désinformation, bloqué dans plus de 130 pays | RSF魚拓

アジア⇒Classement RSF 2021 : la zone Asie-Pacifique contaminée par le virus de la censure et de la désinformation | RSF魚拓

日本⇒Japon | RSF魚拓

Le Premier ministre Yoshihide Suga, ancien bras droit de Shinzo Abe, qu’il a remplacé fin 2020, n’a rien fait pour améliorer le climat de la liberté de la presse dans l’archipel.

Sur les réseaux sociaux, les groupes nationalistes harcèlent les journalistes critiques du gouvernement ou qui traitent de sujets jugés «antipatriotiques », tels la centrale nucléaire de Fukushima ou la présence militaire américaine à Okinawa.

日本に関する言及はこの部分ですが、SNSでの記者批判云々と、「菅政権は報道の自由の雰囲気を改善するために何もしていない」は、独立して言及されており、「菅政権はSNSでの記者批判をやめさせろ」と言っているわけではありません。

アジアに関するページでは「記者の自主検閲の状況が改善されていない」とも指摘。

以下はロシア語による関連資料。

Classement 2021_Analyse générale RUS

もっとも、個別にみると不可解な記述なので以下指摘しています。

政権批判をする記者がSNSで攻撃されている⇒言論による批判です

「政権批判をする記者がSNSで攻撃されている」ですが、大多数は言論による批判です。それを「攻撃」と捉えるというのは何なのか。

メディア側の人間が言論に対して言論で対抗せず、司法の力で名誉毀損だと争うケースが増えていますが、慰安婦捏造記事を書いた植村隆が西岡力 氏や櫻井よしこ 氏に対して名誉毀損訴訟を仕掛けて負けたことは記憶に新しい。

記者のSNS上の発信に対する正当な批判

政権批判とはやや趣が異なるものの、記者のSNS上の発信に対する批判としては望遠レンズによる圧縮効果によって印象操作記事を作り出す手法が批判されています。

それを正当化しようと試みた記者・カメラマンが批判されたのが「圧縮マン」事案。

また、福島第一原発事故による風評被害を助長する発信を幾度となく繰り返している記者もSNSでは批判されており、国境なき記者団もそのことに触れています。

その多くは政権に対して批判的な記者であるため、「政権批判記者への攻撃」などと曲解しているのでしょう。国境なき記者団は『福島原発や沖縄の米軍駐留など、「非愛国的」とみなされるテーマを扱うジャーナリストに対して、民族主義者が嫌がらせを行っています』と書いています。

政府はネット上の誹謗中傷に対して取り組み:改正プロバイダ責任制限法による発信者情報開示請求簡素化

NHK SNSひぼう中傷 投稿者の速やかな特定へ 新たな裁判手続き創設 2021年4月21日 20時24分

2021年改正新プロバイダ責任制限法条文解説 | 弁護士法人戸田総合法律事務所

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案=改正プロバイダ責任制限法が成立しました。

これは閣法として提出されているので、個々の議員らの努力が実を結んだ結果とも言えますが、政府の取り組みとも言えるものです。

このように、全国民に対する関係で権利侵害に対する救済制度を整備しているのが現政権であり、「記者」という特定の職種だけを手厚く保護するという差別的な政策は採っていないわけです。

報道の自由ではなく表現の自由・言論の自由となぜ言わないのか?

国境なき記者団は「報道の自由」ではなく、「表現の自由・言論の自由」とはなぜ言わないのでしょうか?非常に不可解な報告書です。

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