【また捏造？】朝日新聞「東京高裁は真実相当性があるとした」植村隆vs西岡力訴訟について

判決内容の印象操作のくおりてぃが高いペーパー 

朝日新聞「東京高裁は真実相当性があるとした」植村隆vs西岡力訴訟

慰安婦報道訴訟、元朝日記者の敗訴確定　最高裁
阿部峻介 2021年3月12日 18時36分

東京地裁は、日本軍や政府による女子挺身（ていしん）隊の動員と人身売買を混同した同記事を意図的な「捏造」と評した西岡氏らの指摘について、重要な部分は真実だと認定。東京高裁は指摘にも不正確な部分があると認めつつ、真実相当性があるとして結論は支持していた。

朝日新聞が植村隆vs西岡力訴訟の最高裁での決着を報じる際に、「東京高裁は真実相当性があるとした」と記述しました。

これではまるで、東京高裁は東京地裁の認定よりもグレードダウン（植村側からはグレードアップ）しているかのような書きぶりです。

しかし、東京地裁でも東京高裁でも、西岡力 氏の主張は真実相当性のみならず、真実性も認められている部分があります。

名誉毀損訴訟における真実性と真実相当性

最高裁判所第一小法廷判決 昭和41年6月23日 昭和37(オ)815昭和37(オ)815

民事上の不法行為たる名誉棄損については、その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である（このことは、刑法二三〇条の二の規定の趣旨からも十分窺うことができる。）。

事実の摘示による民事上の名誉毀損訴訟における免責判断は、「真実性」と「真実相当性」とで明確に異なります。

真実性は摘示事実が客観的事実と整合性があるのかの話。

真実相当性は、当該摘示事実の真実性が否定されたとしても、客観的事実等から、主張者の主観としてそのように信ずることに相当の理由があるとされる場合の話で、表現の自由を保障する趣旨です（真実性の主張と合わせて「相当性の抗弁」と言われる）。

これが認められなければ、たとえば誤報により大勢の新聞記者が訴訟で損害賠償請求させられ、更には刑法でも名誉毀損罪があり同様の判断がなされますから（要求される証明度は高いが）、新聞社にとってこの理解は死活問題なわけです。

したがって、新聞社が両者を混同することは通常はあり得ないということになります。

ましてや東京地裁と東京高裁とで真実性と真実相当性を分けて書いているのですから。

慰安婦金学順証言に関する植村隆vs西岡力訴訟の東京地裁と東京高裁

上掲のエントリで既にまとめていますがここでも強調します。

植村隆vs西岡力の東京地裁判決では、植村隆の捏造＝事実と異なる内容を敢えて書いたことが認定されました。

その対象は【平成３年８月１１日付朝日新聞大阪本社版朝刊に掲載された従軍慰安婦問題に関する署名記事】において、【金学順が、日本軍（又は日本の政府関係機関）により、女子挺身隊の名で戦場に連行され、従軍慰安婦にさせられた】と書いた部分です。

東京地裁中の言葉で言うと、「西岡論文C」の中の「裁判所認定摘示事実３」です。

その後の東京高裁では、原判決（東京地裁判）の補正＋控訴人（植村）の主張について付加する他は東京地裁判決の通りとしています。

補正の対象には西岡論文C中の上記部分は入っていません。

そして、控訴人の主張は「西岡論文B」については真実相当性が認められるとしましたが、これは「植村隆は捏造」と主張した西岡氏の真実性を認定した地裁判断に影響を与えていません。

最高裁も上告を退ける

２０２１年の３月１１日に、最高裁も植村 氏の上告を退けましたから、一連の訴訟の判決内容が確定したということです。

なお、植村 氏は櫻井よしこ 氏に対しても名誉毀損訴訟をしていましたが、「捏造」については、真実相当性のみが認められていますので注意です。

朝日新聞は今度は判決内容も捏造か

朝日新聞は、今度は判決内容も捏造したのでしょうか？

朝日新聞記事が捏造だと主張したことに対する訴訟結果も捏造する朝日新聞…

まぁ、「東京高裁が真実相当性を認定している部分はあった。真実性を認めていないとは言っていない」とか言ってくるんでしょうけど、これは擁護のしようがありません。

「櫻井訴訟と勘違いしてしまっていた」ということなら（苦しいけど）理解できますので、その場合は私も捏造という主張を撤回したいと思います。

以上