「東大最年少准教授」を名乗っていたAI救国論 (新潮新書)の著者である大澤昇平氏が懲戒解雇されました。
- 東大最年少准教授が懲戒解雇:差別的投稿を理由に
- 大澤昇平 元特任准教授の認識
- 「中国人は入社させない」は人種差別?
- 企業の使用者には契約の自由がある
- 強制排除は憲法違反、学問の自由の侵害では?
- 一方、こちらの差別的投稿を行った教授は…
東大最年少准教授が懲戒解雇:差別的投稿を理由に
東京大学は、大学院情報学環 大澤昇平特任准教授(以下「大澤特任准教授」という。)について、以下の事実があったことを認定し、1月15日付けで、懲戒解雇の懲戒処分を行った。
「東大最年少准教授」が東大から懲戒解雇処分を受けました。
理由は
(1) 国籍又は民族を理由とする差別的な投稿
(2) 本学大学院情報学環に設置されたアジア情報社会コースが反日勢力に支配されているかのような印象を与え、社会的評価を低下させる投稿
(3) 本学東洋文化研究所が特定の国の支配下にあるかのような印象を与え、社会的評価を低下させる投稿
(4) 元本学特任教員を根拠なく誹謗・中傷する投稿
(5) 本学大学院情報学環に所属する教員の人格権を侵害する投稿
などが理由として示されています。
大澤昇平 元特任准教授の認識
処分は不当だ。
— 大澤昇平 :: AI 救国論 🇺🇳 (@Ohsaworks) 2020年1月15日
日本の AI 技術の発展を軽んじ、アジア諸国の多様性を重んじた東大の対応は明らかに間違っている。https://t.co/Y1YOfc09wm
おはようございます。今日は調査委員会第2回です。
— 大澤昇平 :: AI 救国論 🇺🇳 (@Ohsaworks) 2020年1月13日
以下の画像は、東大教授会から人事部に提出された報告書の全容であり、これらをベースに処分が決定します。
ところが、内容を読んで唖然としました。ヘイトよりも例のチームに関する投稿の方が罪が重いようです。差別どうでも良くなってません? pic.twitter.com/IdyCwLScFe
大澤昇平 元特任准教授は「処分は不当」と考えているようです。
しかも、「認定される事実」の部分を見てみると多くは他の教授等に対する言動に関するものであって、「国籍または民族を理由とする差別」に当たり得ると思われる事実については「中国人のパフォーマンス低い」「弊社Daisyでは中国人は採用しません」「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」のツイートくらいしか見当たりません。
「中国人は入社させない」は人種差別?
「弊社Daisyでは中国人は採用しません」
「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」
これは人種差別でしょうか?
まず、人種差別撤廃条約は「国籍の有無による区別」は禁止していません。
そして、私人(企業含む)には憲法21条によって「結社の自由」が認められています。
たとえば株主会員制のゴルフ場では憲法上の結社の自由を根拠の一つとして外国人の入会拒否は違法ではないとしましたし、銀行が外国人からの住宅ローンの申し込みを永住権を有しないことを理由に拒絶した行為は入管法上の地位に基づく区別であって一律定形化した対応をする必要があり、合理性があるとされています。
その企業の有する技術が特定の国に漏れた場合に大きな損失になると考えて、特定の国の人間の入社を認めないというのは、ただちには違法ではないはずです。
厚生労働省も国籍に基づく入社拒否は「公平な採用選考の観点から適切ではない」と指摘するにとどまり、違法であるかどうかは明言していません。
参考:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001d8hv-att/2r9852000001dips.pdf
ただし、「国籍」の有無による異なる取扱いが認められるかは、例えば、参政権が公権力の行使又は国家の意思の形成に参画する行為という合理的な根拠を持っているように、このような取扱いに合理的な根拠のある場合に限られ、例えば、賃貸住宅における入居差別のように、むしろ人種、民族的、種族的出身等に基づく差別とみなすべきものは、この条約の対象となると考えられます。参考:外務省
企業の使用者には契約の自由がある
三菱樹脂事件最高裁判決では思想信条による入社拒否が問題になりましたが、その前段に以下述べています。
憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、他方、二二条、二九条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障している。それゆえ、企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。
「いかなる者を雇い入れるかについては契約締結の自由により原則自由に決定できる」
なんらかの法律等によっておよそ一般に「外国人の就労を拒否してはならない」とされていることはありません。
強制排除は憲法違反、学問の自由の侵害では?
1時間前、東大で論文を書いていた所、突然教員達が押しかけてきて、強制的に部屋から追い出された。曰く、
— 大澤昇平 :: AI 救国論 🇺🇳 (@Ohsaworks) 2019年12月13日
「大澤を本郷キャンパスに入れぬよう教授会で命令された。」
研究資料は後で自宅に郵送するらしい。
同時にツイートの発信停止も勧められた。
これは間違いなく言論弾圧だ。断固反対する。
これはまだ大学に籍があった頃のツイートですが、なんと研究室を強制排除されたことが書かれています。
これは憲法23条の学問の自由の侵害でしょう(当然私人間なので間接適用)。
一方、こちらの差別的投稿を行った教授は…
「日本はロリコンをやめろ、海外では逮捕」
「私が音信不通になったら日本の小児性愛者が暗殺」
マンガ学の教授なのにサブカルチャーに不寛容なのは首をかしげるとの指摘に対して「子供を強姦する妄想をしてマスをかく人」
などとツイートしていた京都精華大学のレイチェル・ソーン氏はどうなってるのでしょうか?
現在は日本語・英語ともに鍵アカウントになっています。
以上