事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「小沢一郎は衆議院登院数ゼロというのはデマ」について:国会議員白書の発言回数・出席回数とガーシーとの違い

ガーシーと何が違うのか?

小沢一郎の「発言回数」と質問主意書は10年以上ゼロ

【国会議員白書】という議員個人の数字が分かるサイトによると、小沢一郎(現立憲民主党)議員の数字は、10年以上もの間において「ゼロ」となっています。

衆議院の本会議・委員会での「発言」と質問主意書の提出回数がゼロです。

他方で、注意すべき点があります。

「小沢一郎は登院数・出席回数がゼロ」というのはデマ

https://kokkai.sugawarataku.net/giin/r01365.html

「小沢一郎は登院数・出席回数がゼロ」というのは事実と異なります

委員会の場合には出席回数と発言回数が書かれていますが、本会議の場合には「発言回数」のみが掲載されています。この点について国会議員白書は以下述べています。

国会議員白書について | 国会議員白書

国会議員の出席率について | 国会議員白書

日本には「国会議員の出席率」という統計は存在しません。

~省略~

実際、参議院の本会議については、一部の例外を除き会議録に出席議員が記載されています(例:第201回国会参議院会議録第5号(pdf)の4ページ目以降)。この参議院本会議の会議録での出席者の記載は、第1回国会第7号の会議録(参議院規則が議決された1947年6月28日の会議)から続いています。在職期間に注意しながら会議録を追うことで、参議院では各議員の本会議出席率を計算することが可能です。

一方、衆議院の本会議の会議録には出席議員の記載はありません。したがって衆議院議員の本会議出席率は算出することができません。衆議院の本会議では、首班指名選挙など記名式投票を行うごく一部の議決の際に投票者(≒出席者)がわかる程度です。

小沢一郎議員が衆議院に登院・出席している証拠・証言

衆院本会議に臨む立憲民主党の小沢一郎氏(右)と枝野幸男前代表=国会内で2023年2月9日午後1時2分、竹内幹撮影

小沢一郎議員は発言こそないものの、頻度不明ながら国会の出席はしているようです。

国会議事録検索サイトでも首班指名の際などに投票している事が確認できます。

国会議員の職務:質問主意書、調査権の行使や請願の紹介

国会議員の職務の中心的なものが期日に出席して質疑をし或いは表決・投票することであることは確かです。しかし、それにとどまりません。

質問主意書の提出もそうですが、議院の国政調査権の行使における実行者として動いたり、国民からの請願を受け付ける紹介者としての役割などがあります。

※国会法第七十九条 各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

小沢議員は請願の紹介議員となっていることが国会議事録検索サイトで確認できます。

小沢一郎議員とガーシー議員との違いは表決・投票行為の有無か?

ガーシー議員が当選後の当選証書の受け取りすら行っておらず(代理が可能)、その後の召集日を経ても国会に登院しないことが懲罰事犯として処理され、現時点では「公会議場における陳謝」の懲罰が決定されました。

国会法

第百二十四条 議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、議長が、特に招状を発し、その招状を受け取つた日から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。

対して、小沢議員はその頻度や途中退席など時間はともかく期日において物理的に国会に足を運んでいるため、小沢議員はガーシー議員が問題視されている上掲の規定には少なくとも抵触しない可能性があります。

ただ、一日でも物理的に足を運んでるだけだとか、どの程度までが「召集に応じ」たと言えるのかは不明です。

また、小沢議員は請願の紹介議員にはなっていますが、それは国民の請願の受け皿となっているだけで、それだけで自ら主体的に動いた国会活動と言って良いものか。

ましてや質問主意書の提出も長年ゼロというのは。

ガーシー議員の場合は、既に10個の質問主意書を提出しています。

ま、「質問主意書を提出してるから仕事をしてるのだ」というのはおかしな話ですが。

ただ、それと同時に「国会に出席しているから仕事をしているのだ」というのも、本来的にはおかしな話なわけです。

表決・投票行為を行っているか否か】が、小沢議員とガーシー議員との違いであるとは言えます。

しかし、実質的にどれほどの差異があると言えるでしょうか?

オンライン出席が認められれば評価は逆転しうるなと。

今回、参議院の規則運用の先例上、登院しないことのみでの一発での除名処分の例が無かったことから「公開議場における陳謝」の懲罰が下されました。

過去にはこの懲罰を受けたにもかかわらず国会において陳謝文の朗読を拒んだことから除名処分となった例があります。

が、ガーシー議員は「陳謝文の朗読を拒む」という場面すら生じ得ない行動をしているため、今後どのような措置が為されるのかが気になります。

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