事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

立憲民主党森本しんじ「浜田聡議員はガーシーの代読の権限を逸脱」⇒代読ではなく本人として弁明、事務局からの指示に従っただけ

こんな無理筋非難をしてまでWBPC擁護したいのか

立憲民主党森本しんじ「浜田聡議員はガーシーの代読の権限を逸脱」

ガーシー議員に懲罰可決、議場はヤジと怒号飛び交う 「代読という権限逸脱」浜田氏も処分可能性 - 社会 : 日刊スポーツ

急きょ、与野党の議院運営委員が登壇し、弁明を続ける浜田氏の横で「不穏当な発言」として異例の協議を行う異様な事態となった。議運委の立民・森本真治理事は「ガーシー議員の代読であったのか、所々に浜田議員が主語を私は、ということで個人の発言もあった。代読という権限を逸脱している」とし、「速やかに理事会で協議し、対応する」と浜田氏にも処分が下される可能性が高まった。

立憲民主党の森本真治(もりもとしんじ)議員が、浜田聡議員の弁明について「代読という権限を逸脱している」などと発言したと日刊スポーツが報じています。

森本議員の認識が完全に間違っています。

代読ではなく本人としての弁明:参議院規則240条但書「代つて」は代理ではない

浜田聡議員が参議院本会議のガーシー議員の懲罰事犯の議題において弁明を行った根拠規定は参議院規則240条但書きです。

参議院規則:関係法規等:参議院

第240条 議員は、自己の懲罰事犯の会議及び委員会に出席することができない。但し、議長又は委員長の許可を得て、自ら弁明し、又は他の議員をして代つて弁明させることができる。

代つて弁明」ですが、これは本人の代理として読み上げる代読ではありません。

「代理」は効果が本人に帰属するものです。例えば弁護士は訴訟代理人として本人たる原被告の代わりに訴訟行為をしますが、裁判の結果がどうあれ、勝ち負けの判決の効力を弁護士が受けるわけではありません。

「代読」の例として「判決代読」がありますが、これは判決書を作成して署名をした裁判官がその後、判決言渡し前に異動等した場合に、新たに就任した裁判官が判決書を読み上げる行為です。

対して、「代つて~する」というような規定の場合、それは代理ではなく、本人としてその行為を行うという意味です。それは法令検索で法体系上の用語法を見ることでも確認できます。

例えば、公職選挙法の出納責任者の事務引継に関する条文は以下書かれています。

第百九十条 出納責任者が辞任し又は解任せられた場合においては、直ちに公職の候補者の選挙運動に関しなされた寄附及びその他の収入並びに支出の計算をし、あらたに出納責任者となつた者に対し、あらたに出納責任者となつた者がないときは出納責任者に代つてその職務を行う者に対し、引継をしなければならない。出納責任者に代つてその職務を行う者が事務の引継を受けた後、あらたに出納責任者が定つたときも、また同様とする。

居ない者を代理することは不可能です。誰かが本人として前任者に「代つて」引継ぎをする必要があるという、当たり前のことが書かれています。

企業再建整備法第二十六条の七第三項も、似たような書きぶりです。

③ 特殊管財人は、命令の定めるところにより、解散会社に代つて、前条第一項又は第四項の規定によりその管理を委託された在外資産に係る事務(特に委託を受けた場合には、在外負債に係る事務を含む。)を処理するものとする。

解散会社に効果帰属することはあり得ません。

このように、法体系上「代つて」という用語は、代理ではない扱いが為されています。

浜田聡議員「自分の言葉で弁明するようにと事務局からの指示に従っただけ」

そして、浜田聡議員は「自分の言葉で弁明するようにとの事務局からの指示に従っただけ」と説明しています。

したがって、立憲民主党の森本議員の主張は、完全に的外れということになります。

なぜ、こういうことが起こるのでしょうか?

やはり、立憲民主党はColabo等WBPC問題を追及しようとする者を排除したいのではないか?と、疑惑が深まるばかりです。

参議院議長の尾辻秀久議員「ガーシー議員の弁明の範囲を超えないように」

もっとも、参議院議長の尾辻秀久議員は、浜田議員の弁明中、「ガーシー議員の弁明の範囲を超えないように」と注意を促していました。これは森本議員の視点とは異なる話です。

前掲日刊スポーツの記事では、浜田議員は「言っている内容としては弁明とつながっている。弁明の内容と私の立場としては特に問題ない」と考えているようです。

弁明後、参議院議長は「浜田君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます」とだけ述べています。

この観点からの何らかの懲罰を求める動きは出て来るのかもしれませんが、予算委員会でも無制限の話題について話をしている国会ですから、殊更に弁明の中で触れるべき話題を著しく限定すべきとは思われません。

浜田議員に対して立憲共産党から野次が飛び、尾辻議長が注意をしたのはColabo問題について触れた際であり、楽天三木谷氏などの話題の際には議長からの注意はありませんでした。

実質的にも、Colabo問題を取り上げたのはガーシー議員がそれに関連する質問主意書を提出していたため、それが議員活動の証左であること、また、不可解にも性急な除名処分を求める立憲民主党とColaboとの背景事情との関連性を述べるためであり、無関係とは言えないでしょう。

現に、森本議員のように明らかに現行制度に反する理解でもって浜田議員を懲罰事犯にかけようとしているという、極めて不自然な動きが出ているではないですか。

他の観点で弁明の範囲逸脱が無いかはわかりませんが、少なくとも、浜田議員による弁明に関する一連の動きとして、不審なものがあったという点は重要だろうと思います。

以上:はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします