事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

NHKの訪問員が最高裁判決を持ち出してもTVや携帯電話を教える義務は無い

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3月19日衆議院総務委員会において本村伸子議員の質疑で、ワンセグ携帯電話を持っているだけでNHKと受信契約をする義務があるという最高裁の決定と、2017年末の最高裁判決を持ち出して詰め寄るNHK訪問員がいるということを取り上げました。

本村伸子議員「NHKの訪問員が最高裁判決を持ち出す」

NHKの訪問員(委託先か否かは不明)によって「最高裁判決があるから携帯電話を見せろ、家の中にTVが無いか見せろ」と詰め寄る事例があるという指摘です。

携帯電話を見せたり家の中を見せる法的義務は無い

刑法

(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

ワンセグ携帯電話やTVを「設置」(ワンセグは「所持」)しているのであれば、NHKとの受信契約を締結する義務があります。ただ、進んで契約に応じない場合はNHKが訴訟を提起して裁判に勝訴しないと契約は締結されません。この場合、理論上は「設置」の時点からの受信料が請求されます。

しかし、だからといって、国民の側には携帯電話を見せたり、携帯電話の種類を回答したり、家の中にTVが無いかどうかを見せたりする法的義務はありません

ですから、NHKの訪問員が脅迫や暴行によってそのようなことをさせようとしたならば、強要罪に当たり得ます。

衛星放送と地上波は別個 

「衛星放送を契約しなければならない」と詰め寄る者も居るようですが、そんな最高裁判決はありません。裁判所も、地上波と衛星放送は別個に扱っています。 

2017年12月6日の最高裁判決は、「TVがあれば衛星契約も支払え」などとは一言も言ってません。

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以上