事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

橋下徹「国会議員が戦場の最前線に赴く法案を作ろうとしたら維新国会議員が猛反発してきた」

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調べてみたら本当だったという恐ろしさ

「国会議員が戦場の最前線に赴く法案を作ろうとしたら維新国会議員が猛反発」

俄には信じがたい内容で、国民がおよそ理解できないところでこういう話が進むところだったのかと思うとうすら寒い思いがします。

軌道修正を図ったかもしれないツイートでも意味不明な内容になっています。

2015年の平和安全法制論議の際の橋下市長(当時)の発言

「国会議員を、戦場に行かせるべき」 ~橋下大阪市長、安保法制で国会議員の判断能力に疑問符 「戦争にGOサインを出す人間は、概して安全な場所でGOサインを出している」 | IWJ Independent Web Journal

「国会議員を護衛艦に乗せろ!」三浦瑠麗氏が提案する「徴兵制」に、橋下氏が”対案” | 政治 | ABEMA TIMES 2019/05/09 01:01

日本は成熟した民主主義の国だから、間接民主制で国民が意思表示をするのと同様に、国会議員が負担するべきだと思う。だから僕は維新のとき、国会議員が護衛艦に乗れ、そのリスクを負ったら、よう戦争なんかせえへん、ということで法案を作った。維新の国会議員はブーブー文句を言っていたけれど

この趣旨の内容の発言は、2015年6月18日の大阪市長定例会見までさかのぼることができます。動画では1時間21分あたりから。「最前線に送り込む」については記者からの質問への回答で、1時間32分過ぎから。

  1. 維新の会の法案に注目させるための炎上芸
  2. 維新の会の法案内容をブラッシュアップさせるための発言
  3. 防衛出動の承認に際し国会議員の判断力を担保する仕組みを作るためだ

当時ならこういう擁護論が出てきそうですが、1,2は2019年時点では関係無くなったし、3ですら2022年の今の時点で言っているのは意味不明でしょう。NATO諸国の政治家がキエフに居るのは、法による強制の結果ではない。

本当に法案を作ろうとしていたなら、議員団が止めたのは当然です。

たとえ徴兵制のような仕組みで「現場」を経験したところで戦略的な判断をする力というのは身に着きません。一隊員レベル・一現場司令官レベルの体験とは質が異なる話。

そうでなくて事が起こってから「最前線」に向かえとするならば、「菅直人」を大量出現させるだけでしょう(そもそも集団的自衛権行使の場合には「最前線」に到達できない事もあり得る)。

「最前線」の福島第一原発に足を運んで混乱を引き起こした菅直人総理大臣

「最前線」の福島第一原発に足を運んだ国会議員は居ましたよ。

菅直人(かんなおと)総理大臣っていうんですけど。

結局、「海水注入中断指示」が政府側から出されたが吉田昌郎所長の英断によって中断されなかったという事態が発生しています。なまじっか「現場」に足を踏み入れたために「僕は原発に詳しいんだ」という勘違いとともに悪い影響力を発揮してきました。

こうした事例があるのに、どうして橋下氏のような発想が出てくるのだろうか?

政治家が適切に判断できるか否かは、その政治家が現場に出たことがあるかという経験の有無や、事態発生と同時に現場に出る制度ではなく、それ以前の知識の習得と情報共有ができる組織の構築という仕組みによるでしょう。

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