事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

文科省『産経記事は事実と異なる誤解を招く・「LGBT団体の教育中立性求める」が通知文書の主旨ではない』

異例の対応

※本エントリは不具合により不十分な状態でUPされていたようです。気づいた後に中途半端に書かれていた部分を再構成して追記しています。

文科省『産経記事は事実と異なる誤解を招く」

文科省が産経新聞の記事に対して「事実と異なる誤解を招く」とする文書を公表。

令和5年7月20日産経新聞朝刊3面「文科省 LGBT団体の教育 中立性を求める文書」及び同内容の配信記事について:文部科学省

文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長 安 里 賀 奈 子
令和5年7月20日産経新聞朝刊3面「文科省 LGBT団体の教育中立性を求める文書」及び同内容の配信記事について

本記事の執筆に当たって、文部科学省担当者は貴社から一切の取材を受けておらず、また、本記事が7月19日夕刻にインターネット配信された直後、文部科学省担当者から、記事は事実と異なる誤解を招く旨を担当記者に伝達したにも関わらず、本質的な対応がなされず、微修正が行われたのみで翌20日の朝刊に掲載されたことは、誠に遺憾であります。

記事執筆に当たっては、丁寧な取材に基づき、事実関係を正しく報道するよう求めます。

〇 記事中にある「19日の自民党会合」において、文部科学省は6月23日付5文科教第592号「「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の公布について(通知)」(以下「本件通知」という。)を配布しておりますが、本件通知は、児童生徒等の発達段階に応じた人権教育や、性的マイノリティの児童生徒等へのきめ細かな対応について、改めて情報を整理し、引き続き適切な対応を求めたものです。

〇 本件通知中、参考資料3として添付されている平成28年発行パンフレットのQ&AのうちQ12に、記事にあるような教育の中立性について記載があることは事実ですが、標記記事は、あたかも本件通知の主旨がこれであるかのような印象を国民に与える点において事実と異なる誤解を招くものです。

LGBT団体による学校での講演等の教育における中立性に関する部分

「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の公布について(通知)

LGBT団体による学校での講演等の教育における中立性に関する部分は、通知に存在しています。これ以外に「団体の教育における中立性」に触れている所はありません。

その他関係通知等⇒性的マイノリティに関する施策:文部科学省

産経新聞「文科がLGBT団体の学校講演に「教育の中立性」求める」

文科省、LGBT団体の学校講演に「教育の中立性」求める 2023/7/19 18:33 19日20時前魚拓

文科がLGBT団体の教育に中立性求める文書 2023/7/19 18:33 21日11時過ぎ魚拓

産経新聞は当初「文科がLGBT団体の学校講演に「教育の中立性」求める」というタイトルでしたが、その後「文科がLGBT団体の教育に中立性求める文書」に変更、本質的な内容に変更は無いのが分かります。

この記事中、他にも誤解を招くところがあります。

たとえば、「LGBTなど性的少数者への理解増進法の施行を受け」というところ。

いわゆる「LGBT理解増進法」と呼ばれていた法律の正式名称は【性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律】です。

本来はSOGI理解増進法と呼ぶべきです。

SOGI=Sexual Orientation and Gender Identityという知識、そういう人間が居るという事の理解を求めるものであり、具体的場面において性的マイノリティ本人らの性自認等の意向に沿うよう行動を求めるものではありません

文科省が異例の対応を取った謎と活動家らの「中立性」への反応

それにしても、文科省の今回の対応は異例のことです。本件のような程度の誤解を招く報道は、これまでも他のメディアによって多数行われてきたからです。

取材が無かったことが大きかったんでしょうか?

文科省は「事実と異なる」や「誤解を招く」ではなく「事実と異なる誤解を招く」という表現を採っていますが、これは産経に事実誤認は無いが一般的に読者が読むと実態と乖離した認識に至るような書きぶりになっている、という意味です。

この書き方自体、産経に事実誤認があるという誤解を招く余地があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?

なお、産経新聞の「中立性」報道については、活動家らが面白い反応を見せています。

「中立性」が求められると都合が悪いんでしょうか?

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