事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

UN Womenの日経新聞月曜日のたわわ広告への非難は表現の自由・経済活動の自由の問題である

国連女性機関石川所長

一番ヤバイのはこの部分だと思うのですよ。

UN Womenの日経新聞月曜日のたわわ広告への非難

国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長 | ハフポスト NEWS 金春喜 2022年04月15日 11時21分 JST

漫画『月曜日のたわわ』の宣伝のため、性的に描いた女子高生のイラストを日本経済新聞が朝刊の全面広告に掲載した問題で、UN Women(国連女性機関)の本部(米・ニューヨーク)が日経新聞に抗議していたことが4月15日、ハフポスト日本版の取材で分かった。

UN Women は11日付けで日経新聞の経営幹部に対し、今回の全面広告を「容認できない」と抗議する書面を送付。対外的な公式の説明や、広告の掲載の可否を決めるプロセスの見直しなどを求めた。

ハフポスト日本版はUN Women 日本事務所の石川雅恵所長にインタビューし、問題点や改善策などを尋ねた。

国連女性機関UN Women日本事務所が4月4日の日経新聞に掲載された「月曜日のたわわ」広告に抗議していたとハフポストが報じています。

本件についてはもはや政治マターとなり、政治家からも反応。

アンステレオタイプ・アライアンスの約束違反だから表現の自由の問題ではない?

治部れんげ個人とは異なり、今回のUNWomenの非難の根拠はアンステレオタイプアライアンスやその際に締結した覚書への違背という、いわば「約束違反」のみを非難の根拠にしています。

だから、表現の自由の問題ではない、という主張があります。

しかし…

  1. 日経がアライアンス協定や覚書に違反したか
  2. 当該広告が過度に性的・ステレオタイプ助長か

この問題は別々の話です。

日経がアライアンス違反ではないとの態度の場合には(現状、そう見える)UNWoman日本事務所がやってることは表現の強要として表現の自由という憲法上の権利の侵害の問題になり得ます。憲法上の権利の私人間効力の問題。

仮に協定当事者間の内輪の問題としても(日経が覚書等に違反していたとしても)、この広告を「性的に過度に強調・ステレオタイプ化」と無理筋認定してることは、国連機関があの広告を「ステレオタイプだ」と認定して他者に行動変容を求めていることによる影響は当然、他の企業等の表現活動に及びうる。

「表現の自由の問題」にはいくつもの階層がある。

  1. 当事者間の係争(憲法上の表現の自由という権利の侵害とその許容性の有無)
  2. 世間一般への影響(訴訟で争われるような憲法上の表現の自由の権利侵害は無いが、それへの抑圧的状況が生まれる)
  3. 理念としての表現の自由⇒あいちトリエンナーレはこの話。行政自身が主催する場に何を展示許可するのかという話なので「他者の活動」ではない

「性的に過度に強調」「ステレオタイプ化」などという評価が到底成り立たないのに、たった一つの組織が、日本社会にそのような価値判断を強制的に導入させようとしている、という構図。

表現の自由の問題でなくて、なんなんだろうか?

例えば政権が「生活保護を無くせ」と言うだけでは誰の権利侵害もしてません。

しかし、政治的・道徳的義務違反、立法等の措置を講ずる義務違反という話になることはあり得るし、将来的に健康で文化的な最低限度の生活が脅かされることになるのではないか?という意味で、その時点で憲法25条の生存権の問題であるのは論を待たないでしょう。

他、「西村経済再生担当大臣(当時)が、法律に基づかないor基づく要請による融資停止を求めた?」という誤解が彼自身の発言によって生まれた事案があります。

これも実際には「侵害」は生じていませんが、大臣の発言によって金融機関とその取引先の経済活動への影響の懸念が生じたという意味で、「経済活動の自由の問題」と言える例と言えます。

日経新聞に第三者の介在を広告審査に際して求めるのは経済活動の自由の問題でもある

ハフポストとUN womenのアンステレオタイプアライアンス

国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長 | ハフポスト NEWS 金春喜 2022年04月15日 11時21分 JST

さらに言えば、UN Women日本事務所の石川所長が、日経新聞に対し、広告審査に際して第三者の介在を求めるのは経済活動の自由の問題でもあると言えます。

日本広告審査機構=JAROのように広告の内容を審査する外部組織が既にあるが(他にもある)、単に自主的に判断して製作者に注意・警告をするに留まります。当然、事後審査であり、事前審査ではありません。

企業が会計監査人を設置したり顧問弁護士を雇うことがありますが、それは企業の形態による法的要請であったり企業の自主的判断によって行われているものです。会計監査人や監査役は形式的には会社内部の機関。しかも、権限の範囲は特定の業務フローに限定していない

広告の掲載判断という極めて特定の行為についてのみ、事前審査をさせる場に外部者を関わらせろ、というのは、異例なことではないでしょうか?

自社における業務フローについて外から意見を言われるに留まらず、なぜ外部の第三者を意思決定の場に含めろと言われなければならないのか?

しかも、その国家社会における商習慣や設置の必要性の議論があるわけでもなく、突如として国連組織の代紋でそれを言う。

そして、「第三者」と言いながら、「アライアンス違反防止」を名目にしながら、自分らの主張にとって都合の良い者を仕立て上げてそのポストに据えようとするでしょう。

実におそろしいことです。

以上:はてなブックマーク・ブログ・note等でご紹介頂けると嬉しいです。