「ファクトチェック」の名を借りた情報操作。
- AP通信の「トランプ発言のファクトチェック」
- どのような事実かが不明
- ミシガン州等で共和党票が民主党票に振り替えられていた事件
- バイデン「共和党による有権者妨害行為」
- ファクトチェック記事で根拠不明のバイデン発言が無視
AP通信の「トランプ発言のファクトチェック」
An #APFactCheck reviews claims made by President Trump at the White House on Thursday about vote counting.
— AP Fact Check (@APFactCheck) 2020年11月6日
READ MORE: https://t.co/qAx5ETQBAM pic.twitter.com/QyOstJD6Mx
AP通信が「トランプ発言のファクトチェック」として複数項目を挙げていますが、その一部に到底ファクトチェックに値しないものが含まれています。
AP FACT CHECK: Trump fabricates election corruption
どのような事実かが不明
TRUMP: “We’re hearing stories that are horror stories. ... We think there is going to be a lot of litigation because we have so much evidence and so much proof.”
THE FACTS: Trump has produced no evidence of systemic problems in voting or counting. In fact, the ballot-counting process across the country has been running smoothly for the most part, even with the U.S. in the throes of the coronavirus pandemic.
これは何が事実かがまったく不明です。
取り上げられているトランプ発言は、「我々はある話を聞いている。それはホラーストーリーだ………我々は、多くの訴訟をすることになると考えている、なぜなら、我々は膨大な証拠と十分な証明ができるからだ」というもの。
推察するしかないのですが、省略されている部分がファクトチェック対象と思われますが、その内容がいったいなんなのか不明です。これでは何の「ファクト」に対するチェックなのかが分からないとしか言いようがない。
"FACTS"とされている内容は、「トランプ側は何も証拠を出していない」という内容として「集計作業の組織的な問題」に関するものが書かれていますが、なぜこのような断定が現時点で可能なのか意味不明です。
実際に集計に関してミスがあったのは事実なのですから。
ミシガン州等で共和党票が民主党票に振り替えられていた事件
ミシガン州の共和党議長 Laura Cox 氏が「集計ソフトの問題でアントリム郡において少なくとも6000の共和党票が民主党票になっていたことを発見した、同じソフトは47の郡で使用されている」と発表しました。
こちらは再集計された結果、バイデンが3000票勝っていたものがトランプ側が2500票勝ったというものに変更されています。
また、オークランド郡の政務委員の選挙において、共和党候補者に入るハズの票が民主党側に入っていたため勝敗が逆転していたという事件もありました。
Losing Republican in Oakland County turns winner after error fixed
AP通信はこういった事象をまったく無視して、なぜ断定しているのでしょうか?
他のチェック対象も、「無い」ことを主張しているのですが、なぜ「無い」ことについて現段階で断定できるのでしょうか?
バイデン「共和党による有権者妨害行為」
I believe that the right to vote is the most fundamental American right there is. To protect it, we’ve got to:
— Joe Biden (@JoeBiden) 2020年8月7日
- Pass the John R. Lewis Voting Rights Act
- Enact automatic and same-day voter registration
- Stand up to Republican voter suppression efforts
バイデン氏も「共和党による有権者妨害行為」 などという発言をたびたびしています。
このツイートはその一端に過ぎません。
先述のようなトランプ発言の抽象度を考えれば、このような発言に対してもファクトチェックがなされるはずなのですが、そういう話は寡聞にして知りません。
ファクトチェック記事で根拠不明のバイデン発言が無視
しかも、この発言はバイデン発言のファクトチェック記事の中で、当然の前提のように登場していました。
バイデン氏が「不正投票組織」と口走ったことのファクトチェックに関して、以下の引用がされました。
Republicans are doing everything they can to make it harder for people to vote — particularly people of color — to vote. So go to IWILLVOTE.com. Secondly, we’re in a situation where we have put together, and you guys did it for our administration — President Obama’s administration before this — we have put together I think the most extensive and inclusive voter fraud organization in the history of American politics.
「共和党員は有権者ー特に有色人種ーの投票を困難にするための出来る限りのことをしている」
このような発言を載せているにもかかわらず、ファクトチェック対象なのは後半の「我々は不正投票組織を用意した」の部分だけでした。この部分は「不正投票「対策」組織」と理解すべきだというチェックがなされていました。
このようなファクトチェックの非対称性も含め、情報の発信のされ方が常にトランプ側を貶める内容だったのは選挙期間中だけではなくこの4年間ずっとでした。
以上