事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

モンスターマップよりヤバい自己破産・特別清算・再生データベースの法的問題

自己破産・特別清算・再生 データベース

"hasandb.com"のURLで「自己破産・特別清算・再生データベース」なるサイトがあります。

「復活した破産者マップ」と呼ばれているMonster Map(モンスターマップ)よりも情報が明確で危険であり、こちらの方が問題は深刻だと思います。

※新たにサイトが設立されたようです。

破産者マップ・モンスターマップと同じ「自己破産・特別清算・再生データベース」

自己破産・特別清算・再生データベース」も、破産者マップ・モンスターマップと同じく、官報に掲載された破産者の情報を記述しています。

モンスターマップと違うのは「破産・清算」のデータベースと明言していることです。

ドメインは2019年の9月19日に取得されているようであり、モンスターマップよりも後発ということになります(真実の運営元の異同は不明)。

運営者の明示もありません。

削除依頼をしてはいけない 破産者マップと同じ手口

サイト内には「削除依頼」というフォームがありますが、個人情報を搾取するための騙しの手口なので決して依頼してはいけません。

破産者マップの運営者は個人情報は廃棄したと言いますが、それを信じられるでしょうか?また、当時は運営者と異なる第三者が悪用して金銭を要求していたケースもありました。

Yahoo地図と紐づけているようだが削除か提供前か

「自己破産・特別清算・再生データベース」はGoogle MapではなくYahoo!地図と紐づけているようです(紐づけようとしている)。

現在はリンクから辿った先では「指定された情報はすでに削除されているか、まだ提供を開始していません。」となり、地図情報を閲覧することはできません。

目的は政治的か 現時点で収益化措置はとっておらず

モンスターマップもそうですが、広告をつけていないので収益化目的ではないと思われます。(モンスターマップはDDos対策だとしてマイニングプログラムを導入と明言。ウィルスバスターも検知)

  1. 愉快犯
  2. 不快に思う無関係の方からの個人情報詐取
  3. 合法的に破産者情報を取り扱っている事業者の利益の毀損
  4. 何らかの政治的意図

大別すると、これらのいずれか又はいくつかの複合目的による行動と思われます。

法的問題点:破産者マップ、モンスターマップと同様に名誉毀損、プライバシー侵害

破産者マップ、モンスターマップの両方について法的問題を指摘したことが同様に「自己破産・特別清算・再生データベース」にも当てはまります。

「自己破産・特別清算・再生データベース」では破産情報であるということが明示されているので、名誉毀損になる可能性がより高いでしょう。

「既にネット上で公開された情報だから」は通用しません。

少なくとも破産者の住所を公開したことがプライバシー侵害

プライバシー侵害になるかは公開の利益が公開されない利益を上回るかで決まります。

他方、破産法の官報公告の趣旨は((条解破産法・弘文堂2010年、破産手続の関係者に対する裁判の告知や書面の送付を速やかにかつ経済的に実施するためのものであるとされています。

よって、そのような実態と形式を備えていない公開行為は、公開する利益が公開されない利益を上回ることは無いと言えます。

「自己破産・特別清算・再生データベース」はネット上の地図情報サービスとリンクさせようとしているところ(現在は機能しておらず)、仮に実現できたとすれば「現在の情報」として閲覧者は認識します。

すると、既に引っ越しで住居人が変わった場合や破産手続が終了した者であっても、今現在も破産者であると誤解させるつくりになっているため、そのような方々に対する名誉毀損にもなりうるものです。

直近の情報を載せているだけ?

「自己破産・特別清算・再生データベース」が破産者マップやモンスターマップと異なる点は、2019年8月1日以降の情報しか無いことです。

ドメイン取得が9月なのに8月からの情報を載せているということは、おそらく「直近3か月」程度の情報を掲載する方針と思われます(今後の推移を見守る)。

これに対してインターネット官報は「直近30日分」が公開されています。

少なくともこれから外れた期間の情報を載せるのは上述の通りアウトですが、たとえ「直近30日分」の情報に限って掲載したとしても(インターネット官報で見れるので無意味な行為だが)、個人情報保護法のオプトアウト規定に違反しています。

個人情報保護法のオプトアウト規定違反

実は、民間で破産者チェックプログラムを販売している事業者も居ます。

しかし、これは個人情報保護法のオプトアウト規定に則って事前に個人情報保護委員会に届出をしている事業者であり、法律上、取り扱いが認められているのです。

破産者マップやモンスターマップ、自己破産・特別清算・再生データベースはそのような許可を得ていないのでアウトです。

この場合、個人情報保護委員会は「個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告・或いは命ずることができる」(個人情報保護法42条参照)とされています。

有効な対抗措置・対応手段はアクセス負荷?マイニングプログラムに注意

破産者マップはアクセス過多でサーバーダウンし、使い物にならなくなりました。

サーバーの維持管理費用が、このようなサイトを公開することで得られる利益よりも高くつくのであれば、サイトは存続できなくなります。

ですから、サイトの存在を周知して晒すことが有効な対抗手段になりえますが、モンスターマップはDDos攻撃などを受けたためマイニングプログラムを導入したとしており、今後は逆にアクセスがサイトの利益になってしまうおそれがあります。

個人情報保護委員会への通報 委員会は把握済み

ご意見・ご感想

個人情報保護委員会に電話で通報した際、既にこれらのサイトの存在は把握して対応を検討中とのことでした。

上記リンクからフォームで通報可能と聞きました。

サイトは随時アップデートされていくと思われるので、新しい情報があれば連絡すると良いでしょう。

いたちごっこは続くようです。

以上