事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ひろゆきいっちょ噛み『「女系天皇はダメ」はバカだけ』:旧皇族の皇籍復帰や養子縁組を知らず

ひろゆきが女系天皇はダメはバカだけといっちょ噛みして論破される

いっちょ噛みひろゆき氏の主張を論破していきます。

ひろゆき『「女系天皇はダメ」はバカ以外に居ない』

  • 側室制度がない一夫一婦制で男性が生まれる確率は低い
  • 女系天皇になるのは時間の問題なのでさっさとしちゃえばいい
  • よって、女系天皇はダメだと言っている人はバカ以外に居ない

ひろゆき氏が『「女系天皇はダメ」と言っているのはバカ以外に居ない』と言っていますが、それ以外の発言でその根拠を見ると、実に薄っぺらいのが分かります。

旧皇族の皇籍復帰・養子縁組が無い前提のひろゆき

文藝春秋2005年3月号:保阪正康氏作成のもので勤務先を伏字

ひろゆき氏は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議」など、政府における議論などまったく見ていないのでしょう。

旧皇族の皇籍復帰・養子縁組について触れず、1つの系譜において男性が生まれる確率はどうなのかという機械的な計算しかしていないのですから。

直系の継承以外に、傍系の宮家からの継承もあり得るように制度設計されてきたのが歴代の天皇家であり、現在は宮家が少なくなっているから「先細り」しかねない状況で、だったら宮家を増やそう、という発想があります。
(※ただし、いわゆる「女性宮家」は皇位継承の観点からは排除されている)

側室制度が無かったが1000年続いた欧州王室

ヨーロッパの王室は側室制度がありませんでした。

したがって、皇位継承権者を生むという観点からは「一夫一婦制」と同じです。

ただ、欧州王室には2つの違いがあります。

  1. 男系継承に絶対的にこだわらなかった(※「女系で継承された」ではない)
  2. 公妾制があった

欧州の王室で男系にこだわらなかったのは(「女系」で継承されてきたのではない)、側室制度が無いことが影響していると思われます。

欧州王室で男系にこだわらず王朝交代も認めていた背景には、乳幼児の死亡率が高い時代にあって側室制度がなければ、男系のみによる継承は不可能だったからでしょう。

また、王朝交代でも権威が失われないとしているその前提にはローマ帝国以来、欧州全体の王室が家族のように連帯していた、ということが関係しているでしょう。

現在でも海外にその国の王位継承権者が居るというのは、そういうことです。

ただ、側室を設けなかったといっても、「公妾制度」がありました。

側室制度との違いは、生まれた子供に王位継承権が無いということです。妾の子は親から爵位を授かって一貴族になっていきました。

また、フランス王家はユーグ・カペーから1000年以上、側室なしの一夫一婦で、男系男子を継続してきたという事実があります。

乳幼児死亡率が高い時代でこれが可能だったのですから、現代において「一夫一婦制だから」という理由で男系継承が不可能だとする根拠にはなりません。

1つの家庭において子供が生まれる確率として「合計特殊出生率」を持ち出す人が居ますが、これは子どもが居ない人も含めたものなので的外れです。

夫婦関係にある者の出生数を見ている完結出生児数でみるのが正当。

しかも、皇室の場合は「経済的な問題で出産/多産を控える」ということがありませんから、完結出生児数1.94よりも高い=2以上の数字が期待できるでしょう。

もちろん、それだけでは男系継承は難しいからこそ、傍系の皇族、宮家を複数鼎立させようとしているのです。

「時間の問題」にしなかった先人たち:閑院宮家創設を導いた新井白石

ひろゆき氏は「このままだと女系天皇になるのは時間の問題」と言い放っていますが、「時間の問題」にしてこなかったのが先人たちです。

継体天皇の捜索の話から始まり、皇統断絶の危機に際しては成り行き任せにはしてこなかったのが日本の歴史です。

たとえば、現在の皇室に直接つながる閑院宮家は、江戸時代に新井白石などの「臣民」が創設に繋がる提言をしていました。

決して天皇家任せ、時間任せ、成り行き任せ、にはしてこなかったということです。

現在の皇室の構成から単純に出生率の計算を当てはめて考えているひろゆき氏は、こうした歴史や現代の政府、諸関係者らの動きについて無知なまま、いっちょ噛みをしているということです。

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