事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

片山さつき「コロナ対策の要は次亜塩素酸水の空間噴霧による除菌!」

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リテラシーが試されてます。

片山さつき「コロナ対策の要は次亜塩素酸水の空間噴霧による除菌!」

https://archive.is/KnQSZ

片山さつき議員が「コロナ対策の要は次亜塩素酸水の空間噴霧による除菌!」と豪語しています。福崎智司教授の論に乗っかっているようです。

この記事中、不信感があります。

疑問点と対応しない発言が多過ぎる。

問題となっているのは「次亜塩素酸水の有人空間における噴霧による空間除菌」です。

しかし、文中にところどころ空間噴霧ではない拭き掃除として使われているケースを混ぜ込んでいます。

福崎 次亜塩素酸水を含むすべての次亜塩素酸水溶液について、いまだに偏見をもっている人が多いですね。次亜塩素酸水溶液は、電車の車内除菌や介護施設など、広く使われていますし、先に行われたオリンピックでも、競技に使う道具や床、ベンチなどの除菌に活用されています。

これを否定しているのではないのに、空間噴霧と拭き掃除という対応しない関係の概念を並べて・捻じれさせながら論じています。

次亜塩素酸水の空間噴霧についての経産省の知見

片山議員の記事中で批判対象となっている経産省の知見ですが、確認しましょう。

  • 次亜塩素酸水は流水かけ流しの場合の有効塩素濃度は35ppm
  • 拭き掃除の場合は80ppm以上(元の汚れがひどい場合は200ppm以上)
  • 有人空間での次亜塩素酸水の空間噴霧の安全性・有効性評価はしていない
  • 次亜塩素酸水の空間噴霧は非推奨、やるとしても無人空間でやってね
  • 空間噴霧で有効塩素濃度まで満たすくらいなら換気した方が有効だし安全性が確実にある

2020年の夏にはこうした見解となっていました。

当然、「次亜塩素酸ナトリウム」との違いは認識しています。

厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

「冬や物理的に換気が行えない場所はどうするんだ」論

「外気温が低くて寒い場合や物理的に換気が(十分に)行えない空間はどうしたらいいんだ?その場所にこそ次亜塩素酸水の空間噴霧が必要だろう」という論があります。

それが有効だとするデータってあるんですか?

新型コロナウイルスの主要感染経路は飛沫感染であり、接触感染ルートは非常に稀。

手が届く範囲なら拭き掃除をすればよく、わざわざ空間噴霧装置を使う必要はない。

その証拠に彼らがエビデンスだとする研究結果はすべて以下のような問題があります。

論文や研究結果の恣意的利用が目立つ次亜塩素酸水ゴリ押し派

Hanadaの記事中、ニプロの試験結果が取り上げられていますが、実態は以下です。

ニプロ、イオンレス次亜塩素酸水「シーエルファイン」を用いた加湿によるヒトコロナウイルス(OC43)減少結果を発表: 日本経済新聞https://release.nikkei.co.jp/attach/616316/01_202108181721.pdfこの結果の詳細はhttps://med.nipro.co.jp/clfine_hocl?solutionhttps://www.nipro.co.jp/news/document/210129.pdfここで書かれていますが、「シーエルファインの液中の試験において」とあります。

流水や拭き掃除を超えて、「液中」の試験ということです。

その条件ならば、ということで新型コロナウイルスやインフルエンザに関して0.03ppm以上であればウイルスの減少率99.9%の有効性があるとしているだけです。

空間噴霧の結果としては「大腸菌ファージ MS2」を相手にした場合を載せていますが、調べているウイルスの場所は「地面・机の背面・机の裏・天井」です。

空間中に漂っているウイルスについてダイレクトに測定したものではない。

 

なお、パナソニックも同様のプレスリリースをし、それを片山議員が取り上げていますが、「密閉空間」という条件をつけていました。しかも、このプレスリリースには以下の文言が。

尚、今回の検証は、基礎的な研究であり、次亜塩素酸水溶液を搭載した製品の性能を評価したものではありません。

リテラシーが試されています。

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