事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

神奈川新聞「日本人ヘイトはありえない」に対する不都合な真実

神奈川新聞が「日本人ヘイトはありえない」からヘイト規制条例で本邦「内」出身者への差別的言動が処罰対象になっていないのは正しい、などと暴言を吐いています。
そもそも「日本人」という国籍ではなく「日本属性」が問題だが、ここでは捨象する

神奈川新聞「日本人ヘイトはありえない」

相次ぐ「電凸」嫌がらせ 川崎・差別根絶条例案巡り | 社会 | カナロコ by 神奈川新聞

そもそも「日本人ヘイト」は存在しない。へイトスピーチは歴史的、構造的に劣位にある社会的弱者・少数者に対する差別や暴力をあおるもので、日本において圧倒的多数者の日本人一般へのヘイトスピーチは語義矛盾に他ならない。

朝鮮半島系の活動家や弁護士など一部の論者は「ヘイトスピーチ・ヘイトクライムはマイノリティに対するもの」という理解を必死に広めようとしていますが、それは現実と異なるということは確定してます。

なぜなら、マイノリティに対するものではない事件がヘイトスピーチ・ヘイトクライムとされた例があるからです。

マイノリティの定義とは

マイノリティの定義として固まったものはありませんが、ヘイトスピーチはマイノリティに対するものであるという理解である師岡康子(枝川朝鮮学校取壊し裁判弁護団)の著書「ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書) [ 師岡康子 ]では以下書かれています。

ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書) [ 師岡康子 ] 40~41、48頁

「ヘイト・スピーチとは、広義では、人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対し、その属性を理由とする差別的表現であり、その中核にある本質的な部分は、マイノリティに対する『差別、敵意又は暴力の煽動』(自由権規約二十条)、『差別のあらゆる煽動』(人種差別撤廃条約四条本文)であり、表現による暴力、攻撃、迫害である。」

「マイノリティ」の国際人権法上確立した定義はないが、国連人権小委員会に任命された特別報告官のカポトルティが一九九七年に提出した報告書「民族的、宗教的、言語的マイノリティに属する者の権利に関する研究」の次の定義が議論の土台となっている。

5つの定義(要素)が紹介されています

  1. 一国においてその他の住民より数的に劣勢な集団
  2. 非支配的な立場にある
  3. その構成員は当該国の国民である
  4. 国民の人たちと異なった民族的宗教的または言語的特徴を有する
  5. 自己の文化、伝統、宗教または言語を保持することに対して、連帯意識を黙示的であるにせよ示しているもの

しかも、師岡氏は「これらの5要素のうち、②が最も重要な要素とされ」るとまで言っています。

ところが「支配的な立場」の集団がヘイトスピーチ・ヘイトクライムを受けたとして起訴された事件があります。

 

イギリスで黒人による白人へのヘイトスピーチが有罪に

イギリスで黒人による白人へのヘイトスピーチが有罪になった事例があります。

イギリスにおけるヘイト・スピーチ規制法の歴史と現状

1967年 11 月,マイケル・アブドゥル・マリック(Michael Abdul Malik)が黒人運動の集会において,人種差別的言論を用いたことで 6 条 1 項 b 号違反で有罪とされた。また同月に,4 人の黒人の急進論者が白人の殺害や白人の家の放火を求める等の人種差別的な内容の過激な演説を行って,合計 270 ポンドの罰金刑に処せられている

この刑事処分の根拠法になったのはRace Relations Act 1965(1965年人種関係法) での人種的憎悪煽動罪の規定ですが、この法律の構成要件には「マイノリティに対するもの」という要素はありません。

師岡氏の言うように「非支配的立場」がマイノリティの要素であり、マイノリティに対するものであることがヘイトスピーチの要件だとするならば、非支配的立場の黒人から支配的立場たる白人に対する差別的言動が刑事処分を受けた事例はどのように理解すればよいのでしょうか?

ちなみに、1965 年人種関係法 6 条では,宗教的憎悪が法の射程から外されています

法務省もヘイトスピーチの定義は社会的弱者・少数派に対するものとはしていない

法務省のヘイトスピーチの定義

http://www.moj.go.jp/content/001221772.pdf

法務省:ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動

ヘイトスピーチって何なの?

特定の国の出身者であること又はその子孫であることのみを理由に, 日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの 一方的な内容の言動が,一般に「ヘイトスピーチ」と呼ばれています (前述「人権擁護に関する世論調査」より)。

法務省も一般的なヘイトスピーチの定義を紹介していますが、法的な定義や政府が公式に認定した定義として紹介しているわけではありません。

「マイノリティ・少数派に対するもの」という要素がないのがわかるでしょう。

「ヘイトスピーチはマイノリティに対するものであり、マジョリティに対するものは該当しない」ということは、通説でも何でもありません。

過去の日本人・日本属性者に対するヘイトスピーチ・ヘイトクライム

日本人・日本属性者であることを理由に脅迫的言辞や有形力の行使を働いた事例はいくらでもあります。

刑事罰に問われるべき行為はそちらで捕捉されましたが、金輝俊(キムフィジュン)のツイートはヘイトスピーチと言い得るでしょう(彼はこの後、実際にコンビニで女性の首に刃物を当てて逮捕された)。

詳細は以下でまとめてありますが、「日本人ヘイトはありえない」などと、こうした事件があったにもかかわらずよくも言えるなと思います。

「ヘイトスピーチはマイノリティに対するもの」は定義ではない

「ヘイトスピーチはマイノリティに対するもの」というのは、単に起こりがちな現象であるという意味しかありません。それはヘイトスピーチという言葉の本質的な定義ではなく、典型例を言っているにすぎません。

「ヘイトスピーチ」の意味内容に確定した国際的な共通理解が無い以上(公約数的な理解はあるが)、それぞれの国において「人種差別的言動」なりの定義を決めるしかありません。

現在、朝鮮半島系の活動家らが一生懸命になって「ヘイトスピーチはマイノリティらに対するものだ」という観念を日本社会で広めようとしています。

神奈川新聞は、そうした連中の言っていることを真に受けているか、そのような理解を拡散させようとしているのでしょう。

以上