事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ヘイトスピーチというフェイク 在特会西村斉に京都朝鮮学校に対する名誉毀損の判決

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在特会元支部長(現:日本第一党 京都府本部長)が京都朝鮮学校に対する名誉棄損罪に問われていた刑事裁判で、京都地裁は11月29日、求刑・懲役1年6月に対して罰金50万円の有罪判決を言い渡しました。

『ヘイトスピーチが名誉毀損罪』というのはフェイクです。

在特会元支部長が京都朝鮮学校に対する名誉棄損罪に

学校法人京都朝鮮学園)弁護団・声明

2019年11月29日、京都地方裁判所第3刑事部(柴山智裁判長)は、ヘイトスピーチによる名誉毀損被告事件(被告人西村斉)について、罰金50万円に処する有罪判決を言い渡した

在特会元支部長である西村斉 氏が京都朝鮮学校に対する名誉毀損罪に問われました。

求刑1年6月に対して罰金50万円というのは、実質的に朝鮮学校側の負けです。
(刑事裁判なので法的には被害者側の勝ち負けの話ではないが、これは政治闘争なので)

判決以前に本件について在特会西村氏が主張している動画は以下。

西村斉のヘイトスピーチ?発言の内容

判決では、被告人 西村斉 氏が、2017年4月23日、勧進橋公園において、かつて同公園に隣接して所在した京都朝鮮第一初級学校を指し、拡声器で「ここに何年か前まであった京都の朝鮮学校ってありますよね、この朝鮮学校は日本人を拉致しております。」「まだこの朝鮮学校関係者がこの近辺に潜伏していることは確実」「朝鮮学校関係者かなと思ったら110番してください」等の発言を行い、動画配信サイトにその様子を投稿したとしています。

京都朝鮮学校と他の朝鮮学校と朝鮮総連

重要なのは、「被害者」は朝鮮学校一般ではなく「京都朝鮮学校」だということです。

各朝鮮学校は朝鮮総連の不当な支配を受けていますが、運営者は異なり、別主体です。

なので「京都朝鮮学校の関係者が日本人拉致をしたか」がこの訴訟では争点でした。

 

公益性を認定、真実相当性は認めず  朝鮮学校側は控訴

西村氏は「大阪朝鮮学校の元校長が日本人拉致で国際指名手配されている」ことをベースに主張していたので、その事実の真実性も争点になりました。

判決では西村氏がそのような報道があることに接していたため真実相当性が認められるとしました。

しかし、「京都朝鮮学校」に関しては真実相当性は認められないとされました。

ただ、先述の発言をしたことについては「公益性」が認められるとしました。

なので京都朝鮮学校側の弁護団は今回の判決を「最悪の判決」と非難して、量刑不当で控訴しているのです。

「ヘイトスピーチ」は無関係 単なる名誉毀損事件

 

日本人を拉致したのは北朝鮮政府であり、政府は朝鮮総聯の傘下団体が関与していたという認識を持っているということが答弁書に現れています。

衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連による対日有害活動等に関する質問に対する答弁書

一について
 政府としては、現時点においては、昭和四十九年六月に発生した姉弟拉致容疑事案、昭和五十三年六月に発生した元飲食店店員拉致容疑事案及び昭和五十五年六月に発生した辛光洙事件において、それぞれ朝鮮総聯傘下団体等の構成員の関与があったものと認識している

しかし、朝鮮総連と朝鮮学校は別主体なので、それを安易に同一視して別個の証拠も無く拉致実行犯の認定してしまうと学校側に対する名誉毀損になるということです。

その判断自体は法的には当然です。

別の主体が拉致をしたのであって、京都朝鮮学校関係者が拉致をしたという証拠が無いのですから。

結局、「ヘイトスピーチ」は無関係で単なる名誉毀損事件だったということです。

「司法の汚染ガー」が湧いてきそうですが、そういう連中が日本を貶めています。

朝鮮人・朝鮮民族という属性を理由に攻撃したのではない

他方、在特会元支部長は「朝鮮人という属性・朝鮮民族という属性」を理由に攻撃したのではありません

要するに、単なる名誉毀損の事案であって、「ヘイトスピーチ」と殊更に評価するべき事案ではありません。裁判所がこの事案を「ヘイトスピーチ」だと認めたということではないようです。それは朝鮮学校側の声明からも読み取れません。

しかし、朝鮮学校側の弁護団は「ヘイトスピーチが名誉毀損になった初の事例」ということを強調しています。

報道もそのように報じています。こうやって誤解を拡散しているのです。

ヘイトスピーチは法務省も定義はしていませんが、公約数的な理解としては「人種・信条・性別等の属性を理由にした排斥的言動」と言えるでしょう。今回の言動にそうした要素は見出せませんから、ほぼデマと言ってよいと思います。
(ヘイトスピーチがあったかという事実の問題ではなく、ヘイトスピーチと言えるかという評価の問題なので「デマ」は本来不適切だが、あまりにも不当な評価についてはそう言っても差し支えないでしょう)

なお、「国籍」の違いを理由にする区別、排除、制限又は優先については、少なくとも人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)は禁止対象にしていません。

人種差別撤廃条約1条 省略

2 この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない。

ヘイトスピーチ罪という罪は無い

繰り返し言いますが、「ヘイトスピーチ罪」という罪はありません。

名誉毀損罪になった言動の内に、「ヘイトスピーチ」の実質が含まれているか否かが問題になっていたにすぎません。

そして、この事案では「ヘイトスピーチ」に該当するなどとは京都地裁は言っていない上に、実態を見てもヘイトスピーチと言うことは難しいでしょう。

いわゆるヘイト規制法と呼ばれている【本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律】に言う「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」や、大阪市・東京都で成立したヘイト規制条例、川崎市で制定されようとしているヘイト規制条例素案で規制されている行為にも該当しないでしょう。

まとめ 単なる名誉毀損をヘイトスピーチと言い換えるフェイクに注意

単なる名誉毀損をヘイトスピーチと言い換え、「そういう事案だったのだ」と読者・視聴者に思い込ませることが朝鮮学校や一部報道機関の目的です。

中にはこのカラクリに気が付かないで安易に「ヘイトスピーチに名誉毀損」と書いている所がありますが、そういうレベルの低い記事ばかりでゲンナリしている所です。

以上