トランプ元大統領支持者のシドニーパウエル弁護士の訴訟上の主張が衝撃。
- シドニーパウエル「良識ある者は私の発言を信じない」
- ワット対アメリカ合衆国、394 US 705(1969)最高裁決定における「粗悪な政治的誇張表現」
- シドニーパウエルへのドミニオン社の名誉毀損訴訟の結果は
シドニーパウエル「良識ある者は私の発言を信じない」
シドニーパウエル弁護士がドミニオン社の集票システムに関して「操作されている」などと発言したことに対する名誉毀損訴訟において、彼女は「良識ある者は私の発言を信じないハズだから名誉毀損は成立しない」と主張しています。
Sidney Powell has moved to dismiss Dominion's defamation lawsuit. She argues that when she accused Dominion of being part of an election-rigging scheme with ties to Venezuela, "no reasonable person would conclude" those "were truly statements of fact" https://t.co/RDPD1eGvY3 pic.twitter.com/p5zssgV5JJ
— Zoe Tillman (@ZoeTillman) 2021年3月22日
Buzzfeed記者の Zoe Tillman 氏が関連部分をピックアップしています。
さて、パウエル氏はその主張の所で【Watts v. United States, 394 U.S. 705, 708 (1969).】という合衆国最高裁決定における「政治の場で使われる言葉は、労働争議で使われる言葉と同じように、しばしば批判的で、罵倒的で、不正確である」という文言を用いているのが分かります。
どうやら、訴訟上の主張として出てきたものであって、一般的な文脈で理解するのは危険のような気がします。
まるで「判例法理だ」とでも言わんばかりですが、このような「使い方」は正当なのでしょうか?アメリカの法体系や判例の扱いについて詳しくないのですが、引用元から分かることはあるだろうと思うのです。
ワット対アメリカ合衆国、394 US 705(1969)最高裁決定における「粗悪な政治的誇張表現」
ワット対アメリカ合衆国、394 US 705(1969)の最高裁決定はいくつかの場所で見ることができます。
Watts v. United States :: 394 U.S. 705 (1969) :: Justia US Supreme Court Center
WATTS v. UNITED STATES | FindLaw
"crude political hyperbole"=粗悪な政治的誇張表現という言葉が使われています。
しかし、この事案は、小さな政治的集会において大統領に対する政治的反対を表明する際に発せられた明示的な条件付きの主張についての判示であり、他の文脈も含めた判断が為されています。
(理由は定かではないが、この条件は決して起こることは無いだろうと書かれている)
シドニーパウエルという大統領候補者の支持者という立場から、ドミニオン社という民間企業に対する発言という場面で妥当するような話であるとは思えません。
しかも、問題になった法令は「18 U.S. Code § 871 - Threats against President and successors to the Presidency 」であり、「大統領に対する故意による脅威」かどうかが争われた事案で、名誉毀損の事案ではありません。
シドニーパウエルへのドミニオン社の名誉毀損訴訟の結果は
シドニー・パウエルが、道理が分かる人なら私の言ったことを信じなかったはずだと言い訳している。私は前から、リン・ウッドやパウエルはまともではないと言って、トランプ狂信者たちから激しい攻撃を受けてきた。パウエル自身が認めた今、是非とも彼らに感想を聞いてみたい。 https://t.co/pw5EUtIehK
— Hideki Kakeya, Dr.Eng. (@hkakeya) 2021年3月22日
私は、シドニーパウエルへのドミニオン社の名誉毀損訴訟の結果は、ドミニオン社が勝訴するんじゃないかと思います。
パウエル弁護士の主張が訴訟上の主張だったにせよ、それは法的には受け入れられるものではないのではないか?ということです。
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