事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ひろゆき「未成年女性に「性病対策して売春してね」と税金でコンドーム支援するColabo」の文脈:藤田孝典が仁藤夢乃のTweetとすれ違い

複数文脈に注意

仁藤夢乃「地方で暮らす女の子の18歳誕生日プレゼント」にコンドーム

https://archive.is/xBIIO

一般社団法人Colaboの代表である仁藤夢乃氏が2017年12月に、「地方で暮らす女の子の18歳誕生日プレゼント」とツイート。添付画像にコンドームがあるのがわかります。

このツイートが本件の騒動の出発点です。

ひろゆき「未成年女性に「性病対策して売春してね」と税金でコンドーム支援するColabo」の文脈

https://archive.is/5Hem2

で、この2017年の仁藤氏のツイート画像を添付しているひろゆき氏のツイートが登場するわけですが、これも文脈があります。

ひろゆき氏は、あおちゃんぺ氏の以下のツイートをこのツイートで引用リツイートしています。

https://archive.is/rrCUe

このツイートは藤田孝典氏の以下のTweetを引用しつつ為されています。

https://archive.is/7hhfu

で、さらにそれは以下のツイートを引用して為されたものです。

https://archive.is/33we8

Colaboの支援物資の中にコンドームがあること」について「売春をあっせんしているように見える」という感想を述べるものです。

注意すべきですが、後述するような「地方出身の女の子の18歳の誕生日にコンドームをプレゼントすること」に対する疑問ではない、という点は重要です。

これは藤田氏の以下のツイートへの返信として為されていました。

https://archive.is/8wkXF

ここまでの文脈が途切れたまま本項の最初のひろゆき氏のツイートを理解してしまうと、誤った理解になってしまいます。

藤田孝典がColaboのコンドーム配布活動を「おじさんからの避妊具」として把握したツイートが原因

再掲

結局この流れは、藤田氏がColaboのコンドーム配布活動を「おじさんからの避妊具」として把握したツイートが原因であるということが分かります。

このような言及の仕方だと、まるでColaboが売春を誘発させているかのように見えてしまうでしょう。

後述しますが、Colaboのコンドーム配布には「たとえ売春を行っても女性が傷つかないように」という目的が含まれており、それは一定程度意義があるものです。

ただ、それは必ずしも売春が前提ではなく、同棲する男、既に交際している男との行為に際して、という意味でもあるわけです。

そもそも元のツイートが「18歳の誕生日プレゼント」ですからね。

だからこそ、ひろゆき氏が『未成年の女性に「性病を移されないように売春してね」と税金からコンドームを支援する一般社団法人Colabo』と皮肉を言ったわけです。

実際、ひろゆき氏は藤田氏に対して、以下の指摘をしています。

こういう文脈なので、ひろゆき氏の発言は、藤田氏を皮肉っただけで、Colaboの活動の目的がそうである、などと本気で言っているとは言い難いでしょう。

さて、この文脈から離れたところで仁藤氏のツイートについて言及している者が居り、その文脈とひろゆきー藤田の文脈を混同している向きも見受けられるため、一応言及しておきます。

暇空茜「俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの?」

仁藤氏の2017年のツイートに関して、東京都の若年被害女性等支援事業について住民監査請求をした暇空茜氏が2023年1月9日に以下ツイート。

https://archive.is/5DqIB

「俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの・・・?」という疑問。

まず、元の仁藤氏のツイートは、「Colaboの事業として行った」とは書いてませんし、「都の事業の一環として」とも書いていません。前後のツイートにそれをうかがわせるものはありませんでした。Colaboの事業は都の事業の受託以外に、従前からの独自の事業がありますから、こちらの財布からの場合は自由なわけです。

ですから、この点は留保しつつ書きますが、仮に都の事業として手に入れたコンドームであった場合には、暇空氏の疑問は当然のこととなります。

都の事業ということは、都内で配布することを想定しているわけで、それを「地方の女の子」に贈るというのは、事業内で使われるべき物品について事業外の対象に利益供与した、という事になるからです。

Colaboで一時保護・中長期保護した子が自立して地方に移り住んだ、という事であっても、理解される行為ではないでしょう。

「ひろゆきー藤田文脈」について、「暇空文脈」と混同した理解がありますし、この文脈内でも拙速な理解がありますが、注意すべきです。

そしてもう一つ、「Colaboのコンドーム配布」について無視できない文脈があります。

小山晃弘(狂人)文脈:行動嗜癖のイネイブラー=enablerとなっているという福祉技術的な指摘

他方で、無視されがちな視点が、【小山晃弘(狂人)文脈】

これは、福祉技術的な観点から、「Colaboによるコンドーム配布」は、行動嗜癖のイネイブラー=enablerとなっている側面がある、という批判です。

私も定期購読して読みましたが、実に示唆的な内容で、価値はありました。

仮に売春目的で動いている相手であっても、コンドームを配布することは確立された手法である「ハーム・リダクション」(苦痛の軽減)としての意義がある。

Colaboが行っている「若年セックスワーカーにコンドームを配る」という支援も、このハーム・リダクションの文脈に位置づけられるものである、と。

私から別の話をすれば、台湾総督府がアヘンの蔓延を収束させるために政府がアヘンの販売管理をする、つまりは許可制を敷き、徐々に粛滅していったものと似ているなと思います。そこに対して「公的機関が麻薬を承認するなんてけしからん!」などと言っても、意味がないわけです。

しかし、小山(狂人)氏によれば、若年セックスワーカーが売春をやる動機は、何も「本人の力ではどうしようもない環境が原因である経済的な困窮」に限らず、「推し活」目的、それによる経済的困窮の者が相当数いる、特に新宿歌舞伎町界隈には…ということを指摘しています。

それは「依存症」とも呼べるもので、Colabo仁藤氏がやっていることは、むしろ依存症を助長する「イネイブラー」として機能する側面が大きい、と言っているわけです。

この点に関しては「ひろゆき-藤田」の文脈から離れているので詳細には書きません。

が、様々な文脈が混同して論じられていることの指摘と、小山氏の観点は若年被害女性等支援事業の本質的問題であり、それが無視されがちであるということを伝えるため、敢えてここで書きました。

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