複数文脈に注意
- 仁藤夢乃「地方で暮らす女の子の18歳誕生日プレゼント」にコンドーム
- ひろゆき「未成年女性に「性病対策して売春してね」と税金でコンドーム支援するColabo」の文脈
- 藤田孝典がColaboのコンドーム配布活動を「おじさんからの避妊具」として把握したツイートが原因
- 暇空茜「俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの?」
- 小山晃弘(狂人)文脈:行動嗜癖のイネイブラー=enablerとなっているという福祉技術的な指摘
仁藤夢乃「地方で暮らす女の子の18歳誕生日プレゼント」にコンドーム
地方で暮らす女の子に誕生日プレゼントと一緒に暮らしている友達と使える生活用品、食品を贈りました。
— 仁藤夢乃 Yumeno Nito (@colabo_yumeno) 2017年12月7日
18歳、いい一年になりますように。
応援者の方々にいただいたものをたくさん。
いつもありがとうございます。 pic.twitter.com/IipDUy9Cyt
一般社団法人Colaboの代表である仁藤夢乃氏が2017年12月に、「地方で暮らす女の子の18歳誕生日プレゼント」とツイート。添付画像にコンドームがあるのがわかります。
このツイートが本件の騒動の出発点です。
ひろゆき「未成年女性に「性病対策して売春してね」と税金でコンドーム支援するColabo」の文脈
未成年の女性に「性病を移されないように売春してね」と税金からコンドームを支援する一般社団法人Colabo https://t.co/bBMWFFbDVv pic.twitter.com/m5Q6A13tiu
— ひろゆき (@hirox246) 2023年1月12日
で、この2017年の仁藤氏のツイート画像を添付しているひろゆき氏のツイートが登場するわけですが、これも文脈があります。
ひろゆき氏は、あおちゃんぺ氏の以下のツイートをこのツイートで引用リツイートしています。
赤の他人のおじさんと
— あおちゃんぺ🐯🍼 (@aochanp) 2023年1月12日
セックスしなくていいように
保護してあげる団体だと思ってました! https://t.co/D4VBOqYqOa
このツイートは藤田孝典氏の以下のTweetを引用しつつ為されています。
コンドームは避妊具(ひにんぐ)と言います。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2023年1月12日
赤の他人のおじさんの子どもを妊娠して育てたい、と家出少女は思わないですよね。
おじさんは射精する相手は誰でもいいから、少女はお金をもらいつつ、最低限の避妊具をつけて身を守る必要があります。
避妊具を買うお金もないので支援者は配りますよね。 https://t.co/v3uzRXsi0x
で、さらにそれは以下のツイートを引用して為されたものです。
それは良いとして、Colaboはなぜ支援物資の中にコンドームを入れてるのでしょう?
— やすひろ (@Enigma_Hanuman) 2023年1月12日
それは、まるで〝売春〟を斡旋してるようにも見えるのですけど?
「Colaboの支援物資の中にコンドームがあること」について「売春をあっせんしているように見える」という感想を述べるものです。
注意すべきですが、後述するような「地方出身の女の子の18歳の誕生日にコンドームをプレゼントすること」に対する疑問ではない、という点は重要です。
これは藤田氏の以下のツイートへの返信として為されていました。
家出少女に声をかける「紳士的なおじさん」は、お金を渡して、宿泊も食事も提供してくれる。悩みも吐露できる。困難の最中ではありがたい存在に映る。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2023年1月11日
しかし、性搾取を主目的にした「キモいおじさん」「買春」と表現することで、悪質性を明らかにし、敵対し、被害も浮き彫りにできる。それが言説。
ここまでの文脈が途切れたまま本項の最初のひろゆき氏のツイートを理解してしまうと、誤った理解になってしまいます。
藤田孝典がColaboのコンドーム配布活動を「おじさんからの避妊具」として把握したツイートが原因
再掲
コンドームは避妊具(ひにんぐ)と言います。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2023年1月12日
赤の他人のおじさんの子どもを妊娠して育てたい、と家出少女は思わないですよね。
おじさんは射精する相手は誰でもいいから、少女はお金をもらいつつ、最低限の避妊具をつけて身を守る必要があります。
避妊具を買うお金もないので支援者は配りますよね。 https://t.co/v3uzRXsi0x
結局この流れは、藤田氏がColaboのコンドーム配布活動を「おじさんからの避妊具」として把握したツイートが原因であるということが分かります。
このような言及の仕方だと、まるでColaboが売春を誘発させているかのように見えてしまうでしょう。
後述しますが、Colaboのコンドーム配布には「たとえ売春を行っても女性が傷つかないように」という目的が含まれており、それは一定程度意義があるものです。
ただ、それは必ずしも売春が前提ではなく、同棲する男、既に交際している男との行為に際して、という意味でもあるわけです。
そもそも元のツイートが「18歳の誕生日プレゼント」ですからね。
だからこそ、ひろゆき氏が『未成年の女性に「性病を移されないように売春してね」と税金からコンドームを支援する一般社団法人Colabo』と皮肉を言ったわけです。
実際、ひろゆき氏は藤田氏に対して、以下の指摘をしています。
未成年で売春をする女子にコンドームを自腹で配るなら好きにやればいいと思います。
— ひろゆき (@hirox246) 2023年1月13日
税金で売買春の違法行為を助長するのは反対です。
税金は、妊娠しないで売春するためではなく、違法行為をせずに暮らすために児童相談所の予算拡充に使った方がいいと思います。 https://t.co/jKad3fkPf1
フランスの無償配布は成年向けですよ。
— ひろゆき (@hirox246) 2023年1月13日
未成年は貰えません。
元々のおいらの発言を辿ってもらえればわかりますよ。
— ひろゆき (@hirox246) 2023年1月13日
そもそも、未成年の女子が赤の他人のおじさんと性向する話に対してのRTです。
こういう文脈なので、ひろゆき氏の発言は、藤田氏を皮肉っただけで、Colaboの活動の目的がそうである、などと本気で言っているとは言い難いでしょう。
さて、この文脈から離れたところで仁藤氏のツイートについて言及している者が居り、その文脈とひろゆきー藤田の文脈を混同している向きも見受けられるため、一応言及しておきます。
暇空茜「俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの?」
仁藤氏の2017年のツイートに関して、東京都の若年被害女性等支援事業について住民監査請求をした暇空茜氏が2023年1月9日に以下ツイート。
どういう理屈で「困難を抱える女性の18歳の誕生日プレゼント」にコンドーム贈ることになるんだ?
— 暇空茜 (@himasoraakane) 2023年1月9日
俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの・・・? pic.twitter.com/Tqu6bd8lOO
「俺の納めた都民税は地方の女の子が18歳になって避妊とセーフセックスしながらパコパコするためにあったの・・・?」という疑問。
まず、元の仁藤氏のツイートは、「Colaboの事業として行った」とは書いてませんし、「都の事業の一環として」とも書いていません。前後のツイートにそれをうかがわせるものはありませんでした。Colaboの事業は都の事業の受託以外に、従前からの独自の事業がありますから、こちらの財布からの場合は自由なわけです。
ですから、この点は留保しつつ書きますが、仮に都の事業として手に入れたコンドームであった場合には、暇空氏の疑問は当然のこととなります。
都の事業ということは、都内で配布することを想定しているわけで、それを「地方の女の子」に贈るというのは、事業内で使われるべき物品について事業外の対象に利益供与した、という事になるからです。
Colaboで一時保護・中長期保護した子が自立して地方に移り住んだ、という事であっても、理解される行為ではないでしょう。
「ひろゆきー藤田文脈」について、「暇空文脈」と混同した理解がありますし、この文脈内でも拙速な理解がありますが、注意すべきです。
そしてもう一つ、「Colaboのコンドーム配布」について無視できない文脈があります。
小山晃弘(狂人)文脈:行動嗜癖のイネイブラー=enablerとなっているという福祉技術的な指摘
「Colaboによるコンドーム配布」問題についてあまりに適当な知識が流布してるので緊急で書きました。コンドームを配布することの支援的な位置付けについて解説してます。主要部分は無料です。https://t.co/60dpCaxZhw
— 小山(凍) (@iikagenni_siro_) 2023年1月14日
他方で、無視されがちな視点が、【小山晃弘(狂人)文脈】
これは、福祉技術的な観点から、「Colaboによるコンドーム配布」は、行動嗜癖のイネイブラー=enablerとなっている側面がある、という批判です。
私も定期購読して読みましたが、実に示唆的な内容で、価値はありました。
仮に売春目的で動いている相手であっても、コンドームを配布することは確立された手法である「ハーム・リダクション」(苦痛の軽減)としての意義がある。
Colaboが行っている「若年セックスワーカーにコンドームを配る」という支援も、このハーム・リダクションの文脈に位置づけられるものである、と。
私から別の話をすれば、台湾総督府がアヘンの蔓延を収束させるために政府がアヘンの販売管理をする、つまりは許可制を敷き、徐々に粛滅していったものと似ているなと思います。そこに対して「公的機関が麻薬を承認するなんてけしからん!」などと言っても、意味がないわけです。
しかし、小山(狂人)氏によれば、若年セックスワーカーが売春をやる動機は、何も「本人の力ではどうしようもない環境が原因である経済的な困窮」に限らず、「推し活」目的、それによる経済的困窮の者が相当数いる、特に新宿歌舞伎町界隈には…ということを指摘しています。
それは「依存症」とも呼べるもので、Colabo仁藤氏がやっていることは、むしろ依存症を助長する「イネイブラー」として機能する側面が大きい、と言っているわけです。
この点に関しては「ひろゆき-藤田」の文脈から離れているので詳細には書きません。
が、様々な文脈が混同して論じられていることの指摘と、小山氏の観点は若年被害女性等支援事業の本質的問題であり、それが無視されがちであるということを伝えるため、敢えてここで書きました。
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