
中国側の分断に利用されるよね
- 日中ハイレベル協議「世論環境の改善・正能量」の中川コージ分析
- 日中ハイレベル人的・文化交流対話・中日高级别人文交流磋商达成10项共识
- 「グローバル安全保障イニシアティブ」の文脈での民意改善・「正能量」なのか?
- 外務省・岩屋毅外務大臣への非難に利用する自称保守系の論調
- NHK党の浜田聡参議院議員による外務省への日中ハイレベル協議10項目に関する質問予定
日中ハイレベル協議「世論環境の改善・正能量」の中川コージ分析
【時系列まとめ】
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) 2025年1月15日
1, 2024.12.25 本件に関する日中外相会談
2, 日本国内SNS上で、中国側の日本EEZ内ブイ設置に対し弱腰である、訪日チャイナ人民ビザ緩和けしからん、と岩屋外相批判強まる。
3, 中川、チャイナの「イデオロギー戦」を分析してきた立場から「2」とは異なった別の重要論点の提示…
昨年12月26日の日中外相会談に際して日中ハイレベル人的・文化交流対話が行われました。中川コージ氏は、そこでの協力の方向性に関する中国側の公表内容には、巧妙な毒が仕込まれているのではないか?という懸念を発信してきました。が、ここにきて第三者が中川氏の主張を利用して過激な論調に走っている、という現象が発生していました。
2025.1.12頃から感情保守インフルエンサーらが、上記一連の中川発オシント(公開情報分析)について、おそらく「7」を踏まえた情報として引用元を一切つけずに(故意の?)曲解も含めて発信。解釈を捻じ曲げ外相個人批判・外務省批判や倒閣アジテーションに利用。※オシントに著作権もなにもないので、その事自体は問題ないけど…。
このように中川氏が整理しています。
1月7日のニッポンジャーナルで詳しく解説しているものが見つかります。動画の30分過ぎあたりから。
それ以前の解説は1月3日の「ニッポン放送 飯田浩司のOK!Cozy up!」で触れています。34分40秒過ぎから。
日中ハイレベル人的・文化交流対話・中日高级别人文交流磋商达成10项共识
3 具体的な協力の方向性
(7) 日本側から、日中外務報道官協議の早期開催に期待を示すとともに、双方は、民間主催のメディア交流を再活性化させることを確認しました。
日中ハイレベル人的・文化交流対話の該当部分はここです。
※日本側では9項目だが、内容は他の項目に吸収されているものがあるので項目レベルの漏れは無い。
これが、中国側だと以下のようになっています。
七 是加强媒体、智库交流合作,在双边关系中发挥积极作用,着力改善民意和舆论环境。支持双方开展新媒体交流合作,鼓励两国正能量网络创作者相互交流。
第7に、メディアとシンクタンクの交流と協力を強化し、両国関係において積極的な役割を果たし、世論と世論環境の改善に努める。 双方は、ニューメディアの交流と協力の発展を支援し、両国の積極的なインターネットクリエーターの交流を奨励する。
※DeepL機械翻訳
「共识」=【共識】というのは、共通認識・コンセンサスの意味。「合意」の意味合いもありますが、外交用語として適切なのかは留保しておきます。
なお、人民網日本語版では、「正能量」に相当するものが書かれていません。
中日ハイレベル人的・文化交流対話開催、10項目で合意--人民網日本語版--人民日報
7)メディアやシンクタンク間の交流・協力を強化して、両国関係において積極的な役割を果たすようにし、民意と世論環境の改善に力を入れる。ニューメディア交流・協力を支持し、両国のインフルエンサーの相互交流を促進する。
「グローバル安全保障イニシアティブ」の文脈での民意改善・「正能量」なのか?
中川コージ氏の懸念における解釈では、中共の「グローバル文明イニシアティブ」*1*2の文脈で「民意・世論改善」の後に「正能量」という用語が使われているため、ここでの「正能量」というのは単なる「良い事を広めよう」という意味を超えて、「正しい情報」つまりは中国共産党政府に都合の良いことを暗に意味する政治用語としても使われることがある用語として用いられており、そこに日本が合意したものとして他国に喧伝・利用されかねない、というものでした。
(どうやら「党の行いを称賛しよう/党にとって都合の悪いニュースは流さないようにしよう」というニュアンスで用いられるケースがあるようです)
この話の根幹は「日本政府も世論統制をするかのようにも読める記述が中国側の文章には存在するので、そのような意図はないということを日本政府は明確にするべきでは?」というものです。
一般的な文章読解のレベル、善意解釈では、「世論環境の改善」は、お互いを悪く罵るような言論空間はよくないので、直接規制はせずとも、良い方向に向かうような土壌を醸成しましょうという以上のものではなく、その限りでは何らの問題もない。
日本側の文章に無いのは、向こうが勝手に付け足したのか、日本側が落としたのか分からないですが、普通に考えれば前者。まずは我が国の政府をより信頼すべきなので。
ですから、「外務省は削除しやがった!」と現時点で騒いでるのは中国側の分断工作に加担してる可能性がある行為だということ。
確認すべきは善意解釈した方の合意をしたのか?ということ。その上で、中川氏の懸念するような解釈ではないということを日本政府から引き出して、潰せばいい。日本政府から中国側に「抗議」をするとすれば、中川氏の懸念した解釈の通りの意味ということを中国側が認めた場合ですが、果たしてそうなるものでしょうか?
「マスメディアが指摘しろ」というのも、高飛車な話だと思います。中川氏も、自身が長年中国に関する分析をしてきた結果気づけた視点だ、と言っており、難易度の高さを考慮した論調です。
ほら僕のオリジナル引用もつけずにジェネリック解釈を感情保守インフルエンサーが垂れ流すから「外務省が隠蔽」みたいな、間違った情報が流れる。
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) 2025年1月14日
外務省は隠蔽してません。
結果的に、本質的な問題指摘があるにも関わらず、ネット上のデマ/戯れ言と片付けられてしまうことになる。感情保守は有害。 https://t.co/lGvUMLAgNf
真面目な公開情報分析を弄ぶのは、いい加減にして欲しいもんであります。
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) 2025年1月14日
こんなことやってちゃ、いつまでたっても日本が、強大なチャイナから競争劣位に立たされるばかりよ。
感情保守はチャイナを叩いているようでありながら、実は利敵行為をしちゃってる。酷いもんです。https://t.co/HkwFIpmfMX
また「外務省とチャイナ側の公表内容が異なる」と同様、「マスコミが報じない」のも、陰謀でもサボタージュでもなく自然な話。
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) 2025年1月15日
本件でマスコミ批判は間違い。
言語の問題だけではなく、マスコミ内にオシントのプロがいるわけもなく、本件はマスコミ外のチャイナ分析識者が広く着目するネタではない。 https://t.co/aiglbeMUkO
僕がたまたまチャイナの「イデオロギー戦」に着目して長年分析してるから警鐘を鳴らした話であります。
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) 2025年1月15日
長年の蓄積の上で、たまたま、なんです。…
外務省・岩屋毅外務大臣への非難に利用する自称保守系の論調
ツイ速はニッポンジャーナルを引用しながら岩屋大臣がネットを検閲するぞー、とする煽りタイトル⇒https://archive.md/uHfmW
他、X上の動画転載アカウントが1月12日に投稿していた内容で、「チャイナの意に沿うように日本が言論統制しろとでも?「(中国に関して)肯定的な発信者を奨励する」⇒SNSでチャイナに否定的な発信者を排除するということ?日本政府は即刻こんな合意は破棄すべき。早く、岩屋氏を辞めさせないと、日本はチャイナの属国化してしまいますよ」「外務省はなぜ削除した!」「大手メディアの記者は何をやってるんだ!」「岩屋はホイホイ合意しただろう!」という山口敬之氏の発言が紹介されていました。
文化人放送局の1月8日にライブ配信された【山口インテリジェンスアイ】の有料会員部分で発言されたもののようです。
ここでの分析の「元ネタ」が、中川コージ氏のものだということについて触れているのか否かは分かりませんが、中川氏の論調を遥かに超えて誰かを非難することに主眼があるような話しぶりです。
『中国側の発信する内容に沿って自国の外務大臣を攻撃する』という珍妙な動きがネット上の自称保守界隈で展開されていますが、その延長線上の話と言えます。
NHK党の浜田聡参議院議員による外務省への日中ハイレベル協議10項目に関する質問予定
昨年末、岩屋外相中国訪問時
— 浜田 聡 参議院議員 WBPC問題調査中 💉💉💉 YouTubeやブログは毎日発信 (@satoshi_hamada) 2025年1月15日
日中ハイレベル協議、10項目の合意
7項目目について懸念の声が多いので、外務省に以下の質問を送りました。https://t.co/YCI93tKycIhttps://t.co/ghhtMQS8dThttps://t.co/T7BM921SsW pic.twitter.com/BBgL3mROC5
本件に関してはNHK党の浜田聡参議院議員がニッポンジャーナルの動画を見た上で、外務省への日中ハイレベル協議10項目に関する質問を送付したとのことです。
今月後半に招集される通常国会で質問主意書や国会質疑などを通じて政府側の認識を問い質すことはできるかもしれません。
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*2:ほかに「グローバル安全保障イニシアティブ」、「グローバル発展イニシアティブ」がある