事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【動画書き起こし】河野太郎「二重国籍を認めていく事を考えなくてはいけない」

河野太郎議員、重国籍を認めるべきという意見

動画と発言の書き起こし

【動画書き起こし】河野太郎議員「二重国籍を認めるべき」

河野太郎議員「二重国籍を認めるべき」と発言したのはFujisankei Communications Int'l., Inc.(FCI)のFCI News Catchという番組の2022/01/04放送分において。

該当部分は動画の10分頃から。

22歳でどっちかを選べというのは、これはもう今の現実に合わなくなってきているんだろうと思います。かつてはいろんな国で兵役があって、日本国籍の人が二重国籍だとそっちの国で兵役に行かなければならないだとかいろんな説明がありましたけど、そういう時代でもないと思いますし、今年、ノーベル賞を取られた真鍋先生はアメリカで研究をするためにアメリカ国籍を取るために日本の国籍をギブアップしなくてはならなかった。日本からしても大きな損失になっていると思います。また、人口がこれだけ減っている日本がせっかく国籍を持ってる人がいるのに重国籍はダメですというのもおかしなことだと思いますので、私はこれはもう二重国籍をしっかりと認めていく、少なくともお互いに認めようよという国とは二重国籍を認めていくということは考えていかなければいけないと思います。

河野太郎議員が二重国籍を認めるべきとする文脈とまとめ

  1. 少なくとも相互承認する国とは二重国籍を認めるべき
  2. 兵役が問題になることもほぼ無いという時代の変化

河野太郎議員が二重国籍を認めるべきとする文脈は、動画の限りではこの通り。

2021年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎(まなべしゅくろう)さんのケースは、背景や根拠、二重国籍を認める典型例というよりも、河野議員の二重国籍を認めるべきという持論の補強として使われています。

同様に「人口減少」も同じ趣旨で持ち出されています。

真鍋叔郎博士が米国籍を取得した理由や人口減少は関係あるのだろうか?

真鍋博士がアメリカ国籍を取得した理由はノーベル物理学賞受賞時の記者会見時に話していますが、そこでの発言は「私はまわりと協調して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」と言っているように、社会における人間関係の在り方を理由としているように見えます。

ただ、彼の足跡や日本の研究の在り方に関する発言から、米国の充実した研究環境や、資金の潤沢さ、研究テーマの設定の自由度、といった要素が強かったのではないか?という見方もあります。

しかし、いずれにしても、日本国籍を残すだけでは解決できないものがあるでしょう。真鍋博士の事例を持ち出すのは不適切では?

また、「人口減少」⇒二重国籍、という展開もよくわかりません。

「海外への人材の流出」を嘆く、というのは理解できますが、それは重国籍で解消可能なのでしょうか?海外で活躍・研究する際にメリットだから国籍を取得した人が日本に戻ってこれるように、ということなのでしょうが、そもそも外国籍でも日本国内で生活でき、永住権も取得できるのですから、どういう理屈なのか。

河野太郎議員の従前の重国籍に関する考え方

重国籍に関する従前の論として河野太郎議員は2007年には以下発信していました。

重国籍を考える | 衆議院議員 河野太郎公式サイト2007.06.21

ということで、このまま重国籍者に国籍選択を義務づけるのか、あるいは重国籍を認めるのか、幾通りかのオプションを提示し、広く議論をしていただくことにする。

A案 まず、第十五条の重国籍者に対し、法務大臣は国籍選択をするように催告してもよいという現行法を、催告しなければならないという義務に切り替えて、重国籍の解消を徹底する案。

B案 日本は、血統主義をとっているので、血統主義による国籍は認めるが、出生地による国籍は選択の対象とする案。
(日本人とイギリス人の子供がアメリカで生まれた場合、親の国籍である日本とイギリスの国籍が重国籍になるのは容認し、出生で得たアメリカ国籍と日本国籍が重国籍になることは容認しないという案)

C案 重国籍は二つまで認める案。
(両親の国籍、あるいは日本国籍と出生地の国籍など二つまで認める案)

D案 重国籍は認めるが、日本で生まれずに、日本で居住したこともない者に関しては、一定の時期に国籍選択を義務づける案。

E案 重国籍を認める案。

この時点では自身の立場を決めかねていたようです。

この論に引き付けるなら、動画の発言だとE案に決めたように聞こえます。

三重以上の重国籍を認めるのかどうかという詳細は不明です。

相互承認する国という限定付きですが、ならば特別永住者となっている者もほとんどがその立ち場を設ける必要が無くなり、日本国ともう一つの国籍保有者という扱いになるでしょう。

特別永住者の国籍は現在は多種多様になっています。

参議院議員有田芳生君提出「特別永住者」に関する質問に対する答弁書

その他、重国籍者には選挙権も認めるのか、公務員或いは公権力等行使公務員の場合はどうするのか、といった問題が不可避的に生じますが、どこまでクリアにしているでしょうか。

なお、22歳以後も事実上重国籍となっているケースは現在でもあり、禁止が徹底されているわけではありません。

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