※本エントリは当初「日本における外国人感染者数は数十パーセント」という内容の記述でしたが、そのような実態は存在していないと判断したので内容を差し替えています。アクセスが予想以上にあるので、訂正された情報を伝えるために一旦撤回した記事を再掲しました。
詳細は以下で説明してますが、ここでも改めて説明します。
- 厚生労働省公表の新型コロナウイルス感染者数
- 厚労省では外国人の数は明示していない
- 都道府県からの報告書を実際に見ると大半が日本国籍者
- 「海外移入が疑われる事例」が外国籍者数?
- 日本国内事例の全体の感染者数の推移
- 外国人の人口比を考えると感染者は多い
厚生労働省公表の新型コロナウイルス感染者数
新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、国内の患者発生、海外の状況、その他)|厚生労働省
厚生労働省公表の新型コロナウイルス感染者数は上記リンクにある「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」といった表現(表記にはブレがある)のページに基づいています。
日本国内事例には空港検疫と2月に武漢からチャーター便で帰国した日本人らの数字が含まれていますが、クルーズ船のダイヤモンドプリンセス号の数字は含みません。
「※1」欄に『日本国籍者〇〇〇〇人(これ以外に確認中の者がいる)』という表記がありますが、SNS等で拡散されている「外国籍の感染者数」と言われているものは、全体の感染者数からこの数字を引いた数です。
しかし、「確認中の者」の多くは日本人です。
厚労省では外国人の数は明示していない
厚生労働副大臣、橋本岳議員Facebook:https://m.facebook.com/gaku.hashimoto.3/posts/3601287046612514
橋本議員によれば3月22日の時点で国籍確認中の者の大半は日本国籍者であるという指摘がありました。この指摘は相当程度信用に値します。
私自身で厚労省HPの新型コロナウイルスに関連した患者等の発生についてという公表文にある各自治体からの報告書を確認しました。
すると、半数は国籍の記載はなく居住地のみですが、国籍が報告されているもののほとんどが日本国籍でした。この傾向は29日だけでなく他の日も同様です。
それを読んだ感じだと、1日の新規感染者数のうち、外国籍者は10人も居ないのではないかと推測できます。
報道でも「帰国者・外国人渡航者の感染者数は23日までに134人」としているところがあります。
都道府県からの報告書を実際に見ると大半が日本国籍者
3月29日の自治体からの報告書の中で、国籍を書いているものを実際に貼ります。
北海道 茨城県1 茨城県2 京都府 茅ヶ崎市 札幌市 川口市 愛知県 名古屋市 大分県
当日の報告書のうち国籍が書いてあるものは全体の半分程度ですが、この日はすべて日本国籍でした。この傾向は他の日も同様です。
国籍を報告していないところの中には人口比として外国人が多い自治体があるものの(東京都、大阪府、川崎市など)、愛知県や名古屋市、北海道や札幌市、茨城県(つくば市は外国籍の住民が突出して多い)の報告において日本国籍者のみなので、無視できると思います。
そのため、国籍が書いていない所も同じ傾向であると考えると、「外国籍者の感染者の割合が数十パーセント」という実態はありえません。
「海外移入が疑われる事例」が外国籍者数?
3月23日からは「※2」欄に「海外移入が疑われる事例」という表記が付くようになりました。
しかし、これはその表記の第一義的には『日本国籍者か外国籍者か分からないが海外からの「持ち込み」をした』という意味の表現なので、結局のところ意味を成していません。
日本国内事例の全体の感染者数の推移
日本国内事例の全体の感染者数の推移はこのようになっています。
3月末は指数関数的な増加が見られますが、欧米のような爆発的感染拡大には至っていないというのは専門家会議の言及通りです。
なお、月曜日の新規報告数は日曜日の検査外来数が少ないため低く出る傾向にあり、火曜日は多い傾向にあります(あくまで傾向ですが)
本日の陽性者数は8名、退院の為の検査を除いた陽性疑いの検査数は69件、陽性者率は11%、感染源不明は1名でした。これまでもそうですが、日曜は検査外来数が少なく、それを実際に検査に回す月曜は検査件数が少ない、逆に火曜は検査件数が多い傾向です。あくまで傾向ですが。 https://t.co/ONUOyxlBOq
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) 2020年3月30日
外国人の人口比を考えると感染者は多い
「海外移入が疑われる事例」に外国籍者がどれだけ含まれているかはわかりませんが、3月31日の段階で275例とあります。
また、再掲ですが報道では「外国人の感染者数は23日までに134人」とあります。
これらの数字を前提とすると、人口比を考えた場合、外国人の感染者数は日本人と比べて多い気がします。(「気がします」という表現なのは、上記の数字が本当に外国人の感染者数を表しているのか確認する術が無いから)
31日時点で国内事例は1953例ありますが、在留外国人+特別永住者=270万人+旅行等の短期滞在者の合計を500万人と仮定すると、日本人の総人口は約1億2700万人なので、外国籍の感染者は約74人となるからです。
(1億3200万:500万=1953:X)
外国人とは関係なくともいわゆる「3密」=密閉・密集・密接(特に対面での会話がある場合)の要素がある場所・機会を避けるようにするべきであり、そちらの方がリスクが高いと思われます。
ただ、どうも数字だけを見ていると外国人「クラスター」と交流するような場合にはリスクが上がると言わざるを得ません。単に外国人が「3密」の場所の利用頻度が高いだけなのかもしれませんが。
(クラスター対策の文脈では感染者と濃厚接触者の意味だが、同じ属性を持つ者の集まりの意味)
30日に仙台市で新たに2名の感染者が出ましたが、両者は会食を共にしており、片方は外国籍で、秋田県の外国籍の外国語指導助手(ALT)と会食をしていたことが分かっています。
そのため、3密の中でも外国人が行きそうな場所(バーやカフェなどが考えられる)は特に避けるべきであると考えるのはそれなりに合理的だと思います。
以上