事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

『札幌市、千歳市は昼から断水』というデマはどう広まったのか?

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2018年9月6日の北海道地震に関連して、札幌市や千歳市などで「昼から断水になる」というデマが発生しました。現在も、他の種類のデマ情報がSNS等で拡散され、自治体公式が否定するということも起きています。

デマがツイッター上でどのように発生し、どういう文面だったのかを整理します。

※本記事は特定人の行動を非難する目的ではなく、後学のために流言(デマ)がどのように拡散されていったのかの情報を整理するために第三者のツイートをツイッターAPI機能を利用して引用しています。

※既に削除されたツイートについては把握できませんので、誰が最初にデマを発信したのか?という視点では情報収集していません。

「断水」について

断水とは水道が使えなくなることを指しますが、大きく2つの要因があります。

1つは災害などによって浄水槽、水道管の破損による断水。

もう一つは点検・工事のための人為的計画的な断水。

今回、これらが混同された可能性があります。

地震が起きてから早朝までは、「断水が起こる可能性に備えて水を蓄えておこう」というツイートが数多くなされていましたが、「〇〇市で断水が予定されている」というツイートがなされるのは6時以降のことになります。

「千歳市は昼から断水」について

千歳市は意図的な断水を行っていません。

ただし、「受水槽を設置している集合住宅等においては、自家発電設備が設定されていない場合、停電によりポンプ設備等が稼働しなくなると水道を使用できなくなる場合があります。」とあるように、世帯によっては「蛇口から水が出なくなった」状態になったところがあり得ます。

こちらのページに9月6日のお知らせがありますが、午前7時30分には断水はない旨の情報をUPしています。

一部世帯では水が出なくなったというのは事実だが、それは千歳市が人為的に行った断水ではないということになります。

実際に水が出なくなったというツイート

 

このように、実際に水が出なくなった場所は存在するということです。

「千歳市は昼から断水」のツイート

※archive.isで魚拓を採った後に表示される時間は、日本時間マイナス16時間です。

こちらは「断水 千歳市」のワードを含むもので6時25分までにツイートされたものを検索したときの時系列順に表示した画面です。

これを見ると、現時点で確認できるものとしては、日本時間9月6日6時20分のツイートが最初に「拡散希望」として千歳市が断水するという内容をツイートしています⇒http://archive.is/nr57l
※ただし、これ以前に削除されたツイートがある可能性もあります。

ただ、リツイートをしているのは「拡散RT」というbotであり、このアカウントがリツイートしても拡散力はほとんどありません。

その後、比較的多くリツイートされたものとして⇒http://archive.is/kA4Gwhttp://archive.is/te5Qqhttp://archive.is/HzooS

魚拓:http://archive.is/XAZu4

すべてが「知人から」「実家の家族から」「知り合いから」という伝聞です。中には「自衛隊から」というオーソライズされたもののように語るものもあります。

なお、店舗アカウントも「昼から断水」をツイートしていました。

予測ですが、「断水の可能性に備えて水を蓄えておけ」という忠告が行われたが、受け取った側が「計画的な断水が行われる予定なのか」と解釈してしまったのだろうと考えています。

DMで連絡を取り合っているものは調べられないので分かりませんが、おそらくそのような形での伝達もあったのでしょう。

断水はしないというツイートも早くから存在

これは結果論なのかもしれませんが、この情報が正しかったということになります。

ただ、今後に向けて、「忠告」を頂いたとしてもそれは「判断を保留」する気持ちの余裕を持っておきたいものです。これは、決して「その人を信用しない」ということではないので、相手に対して「それ本当?」と問うのは不毛な行為でしょう。

札幌市の場合

札幌市は災害による緊急的な断水が生じている地域とそうでない地域がありますが、「計画的な断水は9月6日は中止」とあります。

この表現が微妙なのですが、元々は内々に予定していたのでしょうか?

ともあれ、断水地域は徐々に広がっていたり、復旧したりしているようなので、札幌市の広報部が情報発信しています。

計画的な市内全域断水の予定を伝えるツイート

札幌市の場合、単純な「知人から」「友人から」というものは見当たらず、公的機関の名まえを出しているツイートがたくさん見つかります。

ただ、コピペのツイートが上記にもあるように、同じ文言で拡散されているツイートがあれば注意すべきだと思います。

特徴としては昼から、というよりも「〇〇時間後」「〇時〇〇分から」という具体的な数字を出したツイートが多いということです。

私の予想

どうも、札幌市は千歳市とは異なり、比較的権威のある場所がソースとしているアカウントが多いのが気になります。

札幌市が計画的な断水について「ありません」ではなく「中止」と表現していることからは、本当に市の公務員の誰かが計画的な断水の予定、或いはその可能性を示唆したのではないかと思います。

まとめ:公式発表以外は注意

私自身、東日本大震災で友人からのEメールでデマ情報を拡散してしまった経験があります。5分後に後追いで訂正するも時すでに遅し。

また、大正時代の関東大震災関係の情報を漁った経験から、ちょっとしたことからデマが拡散されるということは肝に銘じなければならないと思っていました。

公的機関に属する人間が言っていることを前提としていたら、公式発表でははしごを外された、というようなことは起こり得ます。

そのような中、今回は情報が「断水」という比較的生命身体や治安に影響の少ない事象であったこと、いずれにしろ「備えあれば憂いなし」の事柄であったこと、自治体の公式情報も早くからリリースされていたことから混乱はあまり生じなかったと思います。

私の自戒も込めて、このような情報を耳にした場合、はやる気持ちを抑え「判断を保留」しておくという心の余裕を持っておきたいと思います。

以上