事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

対中非難決議ができないのは自民党が原因

自民党ロゴ

昨日(6月16日)も書きましたが改めて。

国会の全会一致ルールと中国非難声明の不採択|Nathan(ねーさん)|note

対中非難決議ができないのは自民党が原因

「対中非難決議ができないのは野党や中国とズブズブの公明党が反対しているからだ」

これを否定する気はありませんが、それ以前の問題があります。

結局、【自民党が反対している】のが原因です。

※追記※

私は政治家として、正確に証言するならば、国会決議において公明党が明確に反対したという事実はありません。ないんです。
党内手続きの話になると、自民党側の幹事長室の話になるし、昨年6月の件においては、「いずれの党も反対はしなかった」ことが事実です
・・・協力的であったか否かは抜きにして、また、それが実際の妨害だと感じた先生がいたとしても、反対はしていないというのは、確かに事実です。

という立場をせっかく作っていたはずなのに、議会手続きとして明確に反対したのが広島県議会の公明党県議団。議運で、×をつけて、字句修正にも応じなかった。あれは意味が分からない。
とりあえず、公明党が反対したという事例は、広島県議会のみです。

(議場で、議員個々人が賛否をいれることは事例としてはありました。ただ、それは党組織に近い形の反対とは言えず、議員個々人みたいな論法もありますから、広島以外は事例を承知しておりません。)

~省略~

自民党側は随分と忖度してきて、かなり公明党に配慮していました。
これは中央の話ですね。

 

と、いうような形で、「決議の先」がすでに進んでいるのです。

本来であれば昨年の6月に採択して頂き、その決議を根拠として様々なことを進めた方が綺麗だったのは事実ですが、だからといって他の政策を止めることはできませんから、(決議が採択されていないことを残念に思いつつも)他の分野を様々な人が頑張りまくった結果、

国会決議の中身が「激しい内容」であろうと「修文されまくって弱い内容」だろうと、現実にはあまり変化はないというのが、私たちの見立てです。というか、地方議員サイドからすれば、そうです。実効性があるものを優先的にやっているため、決議の言葉が強いか弱いかは、私たちにはあまり関係がありません。

(そりゃ、強いほうがいいですが。とりあえず通ればそれでいい。)

※追記終わり※

青山繁晴「ウイグル・チベット・南モンゴル・香港ミャンマー弾圧非難決議」

ウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港市民、そしてミャンマー国民への、弾圧や大虐殺への非難決議はまず自由民主党で決議しました|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

はい。

タイトルでお分かりですが、被害を受けている客体である「ウイグル人・チベット人・南モンゴル人・香港市民、ミャンマー国民」への弾圧を非難する決議です。

【誰が】弾圧してるの?という主体が欠けている。

ミャンマーに関する非難決議は「ミャンマー国軍によるクーデター」と明示したものを既に全会一致での国会決議が出ているのですから、今更自民党内で殊更に取り上げる実益が無いのにこれを入れているのは意味不明。

ミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議案(第二〇四回国会、決議第三号)

ミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議 令和3年6月11日 参議院本会議

中国」或いは「中国共産党」の文言を抜かしたかったのでしょう。

中国、中国共産党の文言が無い自民党案

ウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港市民、そしてミャンマー国民への、弾圧や大虐殺への非難決議はまず自由民主党で決議しました|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

もともとは、中国を名指しして非難する決議でした。
 しかし「国会決議」とするには、全会一致の原則 ( 慣行 ) が、現にあります。
 その全会一致を実現するために、上記のとおり長尾副代表や、古屋圭司・元拉致問題担当大臣や高市早苗・元総務大臣 ( 護る会メンバー ) らが国会の全会派と交渉する過程で、中国の名指しが、落ちました。
ー中略ー
▼ところが、こうして二段階の妥協を経た非難決議案も、公明党から「諒承した」との回答が得られません。
ー中略ー
▼その結果、「公明党の姿勢、方針がどうであれ、まず自由民主党として、決議する」という新しい方針が内々で打ち出され、きょう6月15日火曜朝8時からの外交部会に、下掲の案が制式に諮 ( はか ) られました。

自民党の青山繁晴議員のブログには「国会の全会一致の原則ガー」「公明党の反対ガー」とありますが、国会決議ができなくなった結果、自民党が党として決議しようという流れになっているということ。

で、「下掲の案」ですが、以下のものです。

自民党対中非難決議

「中国」「中国共産党」「チャイナ」「CCP」

どの文言もありませんね。

自民党内での決議をするための案文なのに。

要するに、「国会の全会一致の原則」「野党や公明党の反対」以前に、自民党内に障壁があるということが、これで明らかなわけです。

言論人の中で、ほとんど誰もこれを指摘しませんよね。

有本香氏以外は。

で、中でも二階議員が原因とされていますが、果たしてその影響力はどれほどのものなんでしょうか?二階議員以外の自民党員が全て名指しすることに賛成でも、無理なんでしょうか?

二階氏以外に、数人レベルではない数の議員の腰が引けているからじゃないですか?

法案審議ではない意思表明に関する国会の全会一致ルール

法案審議ではなく、「立法府の意思表明」をするに際しての「全会一致の原則」というルールは、法律や規則に明文として存在せず、慣行とされています。

自民党内で中国を名指しした決議案が提案されたとしても、結局はこの壁があるので、これについても同時に言及してその妥当性を問うということは意義があるでしょう。

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