事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日テレZIPで「ワクチンハラスメントとは」:日弁連と医療従事者の接種拒否是認

ワクチンハラスメント

「ワクチンハラスメント」という不適切ワードをメディアが広めています。

日テレZIPで「ワクチンハラスメント」

日本テレビZIP!6月17日放送において、日弁連がホットラインを開設して208件の相談を受けた事例が紹介されました。

日テレZIPでは「ワクチンハラスメント」というテロップが。

日弁連と医療従事者の接種拒否是認

この番組中に紹介された接種拒否の事例とは

  1. 医学生・看護学生
    ワクチン接種を受けないなら実習は受けさせられないと言われた
    自主退寮勧告を受けた
  2. 医業従事者
    過去にアナフィラキシーショックなどの症状が出たかの診断書を出せと言われたワクチン接種してもコロナに罹患した場合は7割の給与を保証するが、接種せずに罹患したら自己責任だと言われた
    ワクチンの安全性に疑問があり都道府県からの接種協力要請に反対したところ、医療法人理事長から病院長を解任させられた

当たり前だ。向いてないから辞めろ。

ワクチンハラスメントとは?:川上詩朗弁護士の説明

『同僚から「あなたはワクチン接種を受けていないの?」と問いかけられること自体が非常にプレッシャーを感じる、同調圧力を感じるという相談があった』

「ワクチンハラスメントとはどういうものでしょうか」というナレーションに続いて川上詩朗弁護士のインタビューとしてこの発言が出されましたが、こんなものでハラスメントとされたらたまったものではありません。

単なる接種の有無の確認がハラスメントにはなり得ません。

 

医療従事者の感染予防・まん延防止の努力義務

  1. 現在は妊婦以外の12歳以上の市民に新型コロナワクチン接種の努力義務が予防接種法によって課せられている
  2. 医療従事者等はさらに感染予防・感染症の発生まん延予防の努力義務が感染症法によって課せられている
  3. 憲法上、国には公衆衛生の向上維持の努力義務が課せられている

参考までですが、アメリカの雇用機会均等委員会は、「合理的配慮条項とその他のEEO考慮事項を遵守する限り接種義務化を妨げない」方針でした。

テキサス州で接種拒否をした者が訴訟提起されましたが、裁判官の1人は「職員116人のワクチンに関する嗜好(しこう)を守ることよりも、パンデミックの間に患者の診療ができる病院をもつことの公共の利益の方が、はるかに大きい」と述べ、「原告は自分自身の健康を危険にさらしているだけでなく、医師や看護師、助手、患者、その家族の健康をも危険にさらしている」と断じています。

アメリカはワクチン接種義務付けが合法|Nathan(ねーさん)|note

他方で「医療従事者のワクチン接種拒否を理由に不利益を与えてはいけない、医学生の実習の要件にしてはいけない」というのは単なる厚労省等の「事務連絡」。通知ですらない。

事務連絡 令和3年5月14日 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う医療関係職種等の各学校、養成所及び養成施設等の対応について

法的に全く無意味ではないが、そういう位置づけ。

法律上の努力義務よりも省庁の事務連絡を最優先するとすればおかしい。

医療機関以外での職場のワクチン接種拒否者の別異取扱い

一般の職場ではまた違った規律になりますが、それでも職種や業務内容によっては医療従事者に準じた法的扱いになるでしょうし、雇用されるにあたって交わされる契約書・誓約書において規則遵守等があり、規則に感染症対策が含まれている場合には「契約上の義務」が別途発生し、個別の事例ごとに適法性が判断されることになるでしょう。

日本の反ワクチンの現状に不適切な日弁連とメディア

日弁連は「立場が弱い労働者の側に立つ」考えだろうが、それ自体に疑問。

加えて、現在の日本は平成4年東京高裁判決*1 を受けて予防接種法が義務から努力義務に変わった結果、集団免疫が低下⇒日本のワクチン政策の変遷

さらにHPVワクチン等メディアのワクチン忌避報道の悪影響が色濃く残るため、公衆衛生の側の発信が必要。

朝日新聞 HPVワクチンの副反応「スクープ」記事を削除するも謝罪せず

HPVワクチン論文を紹介するブルームバーグとハフポストの記事が隠蔽工作:報道してるフリをする自由

もっと言えば、ロシア系の媒体が従前から反ワクチンの情報を流しており、コロナ禍ではファイザー社に関するデマを流している。

「ノルウェーで新型コロナワクチン接種の高齢者が死亡」の実際:各社の印象操作報道

「ノルウェーで新型コロナワクチン接種の高齢者が死亡」報道とロシア・チャイナによるワクチン情報工作|

日弁連がそのような社会的環境を考慮しているとは到底思えない。

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*1:東京高等裁判所判決 平成4年12月18日 昭和59(ネ)1517