事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

阿部岳「土地規制法は政府そのものがネトウヨ・外資に土地を買わせないという根拠薄弱な立法目的」:沖縄タイムス記者

阿部岳政府そのものがネトウヨ

沖縄タイムスの阿部岳記者が法案について完全に間違った理解をしています。

沖縄タイムス記者阿部岳「土地規制法は政府そのものがネトウヨ」

沖縄タイムス記者の阿部岳が「土地規制法は政府そのものがネトウヨ」「外資に土地をかわせないという根拠薄弱な立法目的」とツイート。

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完全に間違った理解です。

「外資に土地を買わせない」ではない:内外無差別原則

土地規制法案

今般の政策対応の目的は、安全保障の観点からの土地の不適切な利用の是正又は未然防止であり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でない。また、専ら外国資本等のみを対象とする制度を設ければ、内国民待遇を規定した、サービス取引に関する国際ルールである GATS(General Agreement on Trade in Services)のルールにも抵触する。以上を踏まえ、新しい立法措置を講ずる場合には、内外無差別の原則を前提とすべきである。

国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について提言 2020 年 12 月 24 日 国土利用の実態把握等に関する有識者会議

土地利用規正法は、内外無差別原則を踏まえたものです。

次項で説明するように、誤解が拡散されています。

土地利用規制法は土地の購入禁止や強制徴収をする法ではない

土地利用規正法は土地の購入禁止や強制徴収をする法案ではないということ。

この辺り、勘違いが振りまかれています。

内閣総理大臣が所要の要件を充たした場合に注視区域内の土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為等の用に供しないことその他必要な措置をとるべき旨を勧告・命令できるとあるだけです。

これが利用状況調査や届出以外の「利用規制」の部分です。

「その他必要な措置」の具体的な内容は政府が【重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方針】で決めることとなっています。

この措置を実施した場合に土地所有者等が一定の不利益を受けて買い入れるべき旨の申出があった場合には政府が「買い入れる」と規定されています。

土地規制法案の正式名称:重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用等の規制等に関する法律案

議案審議経過情報:閣法 第204回国会 62 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案

議案本文情報一覧:閣法 第204回国会 62 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案

重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案:参議院

土地規制法案の正式名称=【重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用等の規制等に関する法律案

審議経過は上掲の衆参議員のサイトで確認。

安全保障政策は予防的先行的に行われる:いつもの「立法事実」の理解の誤導

「何か問題が発生してからという対症療法的な対応では、国民の安全・安心や領土の主権を守ることはできない。諸外国の取組が先行する現状に鑑みると、今リスクが顕在化していないからといって、問題を放置することは許されない。」

有識者会議の報告書にはこのように書かれています。

「立法事実が無い」

というワードを法案批判のためのマジックワードとして連発する不勉強な議員が居ますが(知ってて敢えて言ってる者が多い)、何か社会的な事件が発生しないと立法できないという考えは完全に間違いです。

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