沖縄県知事選に出馬している玉城デニー候補が沖縄を「一国二制度」にすると発言したことが物議を醸しています。
「一国二制度」という言葉の成り立ちと、この制度が敷かれた香港の末路について整理しました。
玉城デニー氏の国会での発言
○玉城委員 最後に総理に要望を申しつけたいと思います。
沖縄を一国二制度にして関税をゼロにし、消費税をゼロにする、そのぐらい大胆な、これからの沖縄の将来を見越した、そういう提案もぜひ行っていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。ニフェーデービタン。
動画
玉城デニー「沖縄を一国二制度にして関税を0にして消費税も0にしろ!」
— DAPPI (@take_off_dress) May 17, 2018
これは露骨すぎる…
そんなことをやったら沖縄は中国頼みになり侵略されるのは目に見えてる#kokkai pic.twitter.com/yxtbBJMa8K
いっそ沖縄に一国二制度というツイート
同内容のツイートもしています。
5/17、内閣委員会で安倍総理への質問。沖縄が去る15日で日本復帰46年。多額の政府資金が投じられてきたが振興発展は道半ば。46年経つも米軍基地は減らず。でも求人倍率は改善したと総理。子どもの貧困、全国平均約7割の年収問題。いっそ沖縄に一国二制度あてて関税ゼロ消費税ゼロを実現してはと提案。
— 玉城デニー (@tamakidenny) May 17, 2018
このツイートに対してチャイナの影響を心配するリプライがつきましたが、それに対して反論しています。
最初から最後まで中国のちの字も言っていません。晴れて祖国に復帰したはずが46年経つもなぜに戦後の基地負担状態が今だに続くのか、巨額の税金が投入されたのに貧困問題が解決できていないのか。ならば沖縄に自ら経済発展してもらうぐらいの力を与えて下さいよ、という意味だと理解できるはずです。
— 玉城デニー (@tamakidenny) May 17, 2018
玉城氏が一般人のリプライに対してリプライをつけるというのは非常に珍しいことです。
ところで、玉城氏は「一国二制度は比喩的表現で用いた」趣旨の発言をしていますが、そういう気持ちで内閣総理大臣に「要望を申しつけ」たんでしょうか?
言葉を軽々しく使っていないでしょうか?
一国二制度は支那の言葉
一国二制度という言葉は支那(中華人民共和国)がマカオと香港の返還と台湾の統一を目指して使用したものです。
また、有本香氏によれば、以下のような背景を持つ言葉でもあると言うことです。
【有本香の以毒制毒】沖縄知事選に衝撃… 玉城氏発した「一国二制度」という言葉の恐ろしさ
この言葉を沖縄に最初に使ったのは「誰か」という点だ。答えは次の文章にある。
「『自立・独立』『一国二制度』『東アジア』『歴史』『自然』の5つのキーワードが、沖縄の真の自立と発展を実現するための道しるべになると考えている。つまり、沖縄において『自立・独立』型経済を作り上げるためには、『一国二制度』を取り入れ、『東アジア』の拠点の一つとなるように…」
これは、今はなき民主党という政党が2005年8月に出した「民主党沖縄ビジョン【改訂】」の中の一文だ。玉城氏はここから引いたと考えられる。
言葉の持つ背景だけでも、その「嫌な予感」を感じざるを得ません。
「一国二制度」というとすぐに中国を連想するのは短絡的
— 沖縄の本当の姿 (@okinawa_sugata) September 28, 2018
ネトウヨさんは 逆に中国中国しすぎて本当は好きなんだろうなと
思うくらい 何かにつけて中国です
デニーさんのいう「一国二制度」は税制の話ですよ
中国の「一国二制度」とは別の制度です
まとめると、その情報はデマです
税制の話なら、わざわざ「一国二制度」という言葉を持ち出す意味がわかりません。
元々、日本では使われてこなかった言葉ですし、支那の言葉が有名なのは自明なのに意味内容が異なる言葉として使っているなら著しく不注意ではないでしょうか?
実際の一国二制度の末路:香港の「雨傘革命」
「雨傘革命」で検索すると分かりますが、2014年に大学生がデモをしたことを思い出す人も多いかと思います。このデモはまさに「一国二制度」に伴う不合理に不満を持った者が起こしたものです。
簡単な把握は上記記事で良いですが、一国二制度の問題はハフィントンポストの記事がまとまっています。
香港は香港基本法に基づき、1997年以来、1人1票の民主選挙の導入に向けて準備を進め、2017年に実現することになっていました。
ー中略ー香港には1200人からなる選挙委員会が現在もあり、法律やエンジニア、医療などの業界代表が入っています。中国が公布した香港の選挙方法は、候補者になるにはこの1200人の半分の支持が必要だとしました。
しかし、香港の各業界の代表たちはすでに中国によってコントロールされています。たとえば漁業や農業の団体からも何人かの代表を出していますが、彼らは中国の言いなりです。実際にいま香港で農漁業はないに等しいほど小さな産業なのですが、選挙委員会には60人から70人の委員が送り込まれています。選挙委員会の半数以上はなんでも中国の言うことを聞く親中国の人たちで、中国が選挙委員会をコントロールできるようになっています。
ですから、中国に反対する人、不満を言う人は、行政長官の候補者になれない仕組みなのです。民主派が候補を送り込みたくても「愛港、愛国(香港を愛し、中国を愛する)」の人物ではないから認められない、と言われます。
一国二制度によって、香港住民のイニシアティブが奪われているのだということがわかります。
2014年6月10日に公表された中国国務院新聞弁公室の白書では、香港特別行政区における一国二制度について「香港固有のものではなく、全て中央政府から与えられたものである」と明文で定義されました。
つまり、「一国二制度」とはあくまで支那共産党による香港支配のために設けられた制度であるということです。
結局、雨傘革命という抗議のデモやハンガーストライキは、警察によって強制排除されて終了しました。
香港「普通選挙」白紙に 17年長官選、議会が政府案否決 :日本経済新聞
2015年には、普通選挙が白紙になりました。少なくとも2020年までは、普通選挙は行われないことになりました。
玉城デニーの「一国二制度」は沖縄県知事にふさわしいか
民主党や玉城氏は本来の「一国二制度」の意味を知っていたのでしょうか?これでは沖縄の自立どころか、中央政府によって主導権を奪われることを容認するかのようです。
もちろん、玉城氏のツイートからも分かるように、そのような意図で「一国二制度」という語を使ってはいないということが分かります。しかし、元々の意味と異なる意味で用いるというのは甚だ誤解を生じさせるものであると思います。
そして、本来の意味と香港の現状も把握せずに「ノリ」で安倍総理に対して国会の場で「一国二制度」という言葉を使っていたということになり、公的な立場にある人間としてどうなのかと思います。
「ノリ」がいいのは元DJの気質だからでしょうか。
「一国二制度」という語を発信したとき、支那共産党はどのように受け止めるでしょうか?
沖縄の自立を訴えるのであれば、一国の首長としての言葉の遣い方、振る舞いをしなければならないでしょう。当然にして外国に対する発信も、誤解を与えないようにしなければなりません。
以上:はてなブックマークをお願いします