事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

岩屋大臣:自衛隊がADMMプラス「釜山沖訓練に参加」はフェイクなのか?

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「岩屋毅防衛相が韓国・釜山沖で行われる海上共同訓練に海上自衛隊が参加することを表明した。」という報道があります。

それって本当なんでしょうか?

防衛省の発表:「後のプログラムにはすべて参加」

防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見|平成31年2月23日(13:21~13:30)

Q:昨日、韓国の国防省がADMMの専門家会合に関連して伴う多国間の協同訓練について、4月末行う予定だったものを日本側が参加を見送るということを伝えてきたと発表しましたが、事実関係を確認させていただきたいのと、これに関して今後、韓国側に何か申し入れ等対応される予定はありますでしょうか。

A:以前からも説明させていただいているとおり、今般のADMMプラス拡大ASEAN国防相会議の下の専門家会合による海洋安全保障の訓練については、関係国による最終計画会議が21日及び22日に釜山で開催されまして、防衛省からは、海上幕僚監部の担当者が参加いたしております。この訓練への参加については、先日8日、私から申し上げたように、今般は、釜山への入港は見送りますけれども、後のプログラムは全部参加するということで臨みたいと思っているところでございまして、韓国との防衛協力については、これからも適宜適切に判断していきたいと思いますが、やはり、この東アジア地域の安全保障を考えた時に、日韓関係、日米韓の関係は極めて重要でございますので、適宜適切に判断しながら、日韓との防衛協力も進めていきたいと思っております。

これだけだとよくわからないので次項で説明します。

ADMMプラスとは

まず、ADMMプラスとはASEAN諸国+ 8か国(豪州、中国、インド、日本、NZ、韓国、ロシア及び米国)による公式な防衛大臣会合を指します。

今回はADMMプラスの開催に伴う多国間の訓練が問題となっています。

つまり、韓国とだけ共同訓練をするわけではありません。

これに先立った釜山での事務方の協議には防衛省の幕僚幹部(自衛隊ではない背広組)が参加しているということです。

事務方の協議参加が「自衛隊参加」と勘違いしている人も多そうです。

釜山沖の訓練と後のプログラム

さて、問題は「釜山沖の訓練」は岩屋大臣の言う「後のプログラム」に含まれているのでしょうか?ということです。

朝日新聞の報道:釜山沖訓練に参加表明と報道

防衛相、釜山沖訓練に参加表明 韓国は海自不参加と発表(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

岩屋毅防衛相は23日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大国防相会議(ADMMプラス)の事務レベル会合に合わせ、4月29日から5月2日まで韓国・釜山沖で行われる海上共同訓練に海上自衛隊が参加することを表明した。一方、韓国国防省は22日に海自は参加しないと発表。日本側は戸惑いを見せている。

タイトルからして釜山沖訓練に参加と言ってますね。

韓国紙の報道:釜山沖の訓練海上自衛隊は不参加へ

釜山沖の国際海上訓練 海上自衛隊は不参加へ-Chosun online 朝鮮日報

釜山沖の国際海上訓練 海上自衛隊は不参加へ

韓国政府の消息筋によると、昨日から2日間、釜山で開かれた国際海洋安全保障訓練の事前準備会議に日本代表も出席したが、釜山とシンガポールで開催される同訓練のうち、日本はシンガポールでの訓練にのみ参加することになったという。

 シンガポールでの訓練のみに参加するということが報道されています。

自民党山田宏議員のツイート:釜山沖訓練から不参加

魚拓:http://archive.is/eFzle

山田宏議員のツイートでも、釜山沖の訓練はやらず、シンガポールでの訓練から参加するということが伺えます。

さてどう考えれば良いでしょうか?

日本政府は入港はしないが訓練には参加するとの過去報道

>海自護衛艦は釜山への入港は見送るものの、各国海軍と洋上で行う共同訓練への参加は検討を続ける。

 

「釜山に入港しない」と言ってるのに「釜山沖の訓練には参加する」というのは何か違和感があります。

よって、「後のプログラム」とは、シンガポールでの訓練を指して言ったに過ぎないのか?という考えがよぎりますが、この報道を見ると「入港」と「訓練」は別立てのようです。

いずれにしても、「韓国とだけの共同訓練」では無いのであって、多国間の枠組みの訓練に参加しないというのはデメリットがあると思います。

その場所がたまたま韓国の釜山沖というだけで岩屋大臣を攻撃するのはどうなんでしょうか?

※この項目は当初から内容を変更しました。

追記:2月8日の岩屋防衛大臣発言

防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見|平成31年2月8日(08:34~08:40)

Q:今週の報道官会見で、本年4月から5月のADMM専門家会合が予定されている海上訓練で、海自艦艇の釜山への入港を見送るとの発表がなされました。改めて、その理由と今後の日韓関係、防衛交流についてお考えをお聞かせください。

A:先日、青柳報道官からお伝えしたとおり、ADMMプラス、これは拡大ASEAN国防相会議の下の専門家会合ですが、海洋安全保障専門家会合の海上訓練につきまして、今般は、釜山への入港は見送りますが、それ以降のプログラムには参加するという決定をさせていただきました。防衛省としては、ADMMプラスの専門家会合による海上訓練に、各国とともに参加することが非常に重要であり、「自由で開かれたインド太平洋」を作っていくという観点からも重要であると考えております。また、現在の日韓関係全体の中で、このプログラムへの参加につきましては、両国の関係が建設的に前進するような方向性を見出さなければいけないと考えまして、今般の対応が最も適切であると判断したところでございます。

2月23日に「以前からも説明させていただいているとおり」と発言しているので過去の発言を辿ってみると、上記発言がありました。

ただ、「海上訓練につきまして」という流れで「釜山への入港は見送る」と言っていて、これも解釈の余地のある発言だと思います。

防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見|平成31年2月19日(09:34~10:24)

Q:意思の疎通ができている必要があるとおっしゃられましたけれども、現状意思の疎通ができているとお考えなのか、意思の疎通ができる環境が生まれつつあるということですが、韓国側から再発防止に何も言及がないまま、また、そのやり取りが活発になっているということは望ましい、あるいはあり得べしといったお考えなのでしょうか。

A:防衛交流について適宜適切に判断していくと申し上げましたが、例えば、今後、行われるADMMプラスの専門部会による演習等については、釜山に海上自衛隊の自衛艦が入港しないものの、その後のプログラムには参加するということを決めましたが、そういうやり取りを日韓の防衛当局間で様々行っておりまして、そこに障害があるというわけではございませんので、そういった意味で意思の疎通は図られているということだと思います。後段の御質問は何でしたか。

2月19日の発言では「入港しない」と言っています。

これまでの発言の中で、「訓練に参加しない」とは言ってません。

追記:山田宏議員は朝日報道を否定

魚拓:http://archive.is/IAE9o

「岩屋大臣はダメだ・更迭するべきだ」という風潮を作ろうとしてる

ついこの間も、岩屋大臣に対する印象操作が行われていたのを忘れてしまったのでしょうか? 

大手メディアはネット上のそういう風潮を把握していて、「岩屋大臣は何か頼りない」と思っているネット民の心をくすぐるような記事を書いているのでしょう。

そういうのに騙されてるのは悲しいですね。

以上