韓国人旅行客が減少してたというニュースがありましたが、それは良くないことなんでしょうか?
韓国人旅行客の行動の特徴として日帰り客が多いと言われますが、それが本当なのか?どう影響しているのかについて調べました。
- 「日帰り客」の統計は無い・宿泊数と滞在日数3日以内
- 都道府県別の日帰り外国人客数の概算推計
- 宿泊客と日帰り客の比率から考える
- 日帰り客の消費額・単価は、宿泊客よりも著しく低い
- 韓国人旅行者の行動の特徴:日帰り客が他国よりも多い
- 大分県別府市の場合
- フェルミ推定してみる
- まとめ
「日帰り客」の統計は無い・宿泊数と滞在日数3日以内
実は、外国人観光客の統計において「日帰り客」を正確に表す全国的な統計はありません。
その代わり、「宿泊数」と「滞在日数3日以内の者」の統計はあります。
ただ、概算であれば日帰り外国人旅行客の数字が分かるものはあります。
都道府県別の日帰り外国人客数の概算推計
共通基準による観光入込客統計 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁
こちらの【全国観光入込客統計のとりまとめ状況】のエクセルで都道府県ごとの訪日外国人の日帰り旅行客数の概算推計が分かります。
概算というのは、上図のように観光地点を訪れた客数を平均訪問地点数で割った数であるということで、実際の日帰り人数とはかなりズレが生じるようになっているからです。
都道府県同士の傾向の比較においては有効でしょうが、正確な数を測る用途には向いていません。
現に、平成29年の訪日外国人の日帰り客は、北海道、大阪、兵庫、沖縄など、10以上の地域についてのデータが無いにも関わらず、データ上の計算では全国で1381万3,000人の日帰り外国人客が居る事になってしまいます。
また、複数の都道府県をまたがった場合には重複する例もあると思われます。
訪日外国人全体の人数が2018年で3119万人なので、日帰りの人数としては明らかに過剰です。
宿泊客と日帰り客の比率から考える
ただ、宿泊客と日帰り客の比率からある程度推測することはできます。
エクセルの表を見ると、かなりの都道府県が日帰り客のデータが存在していない所がありますし、宿泊客もステータスが「集計中」である都道府県がいくつも存在していますから、注意が必要です。
ただ、複数年のデータを見比べると、外国人旅行者の宿泊客と日帰り客の人数の比率はだいたい2:1~3:1になるんじゃないでしょうか?
そうすると、2018年の訪日外国人旅行客数は約3120万人なので、日帰りの外国人客数は約800万人~約1000万人であると推測されます。
なお、福岡、佐賀、奈良、三重、愛知、新潟など、日帰り客の方が宿泊客よりも多い地域があるのもわかります。たとえば奈良市は2018年には外国人の宿泊客数が32万人であるのに対して、232万人が日帰り客でしたから、都市によって傾向には大きく差があります。
日帰り客の消費額・単価は、宿泊客よりも著しく低い
当たり前の話ですが、日帰り客の消費額・単価は、宿泊客よりも著しく低いです。
これは共通基準による観光入込客統計 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁のエクセルデータから分かります。
だってそうですよね?何日も滞在するような人は、そこで何日間かかけて消費するのですから。
ただし、奈良県は特別で、日帰り客の方が宿泊客よりも消費額・単価が高い傾向にあります。
韓国人旅行者の行動の特徴:日帰り客が他国よりも多い
観光庁 平成29年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】 訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について
滞在日数3日以内の比率を見ると、韓国人は他の国と比べて圧倒的に多いということがわかります。
滞在日数3日以内の旅行者が韓国が約30%なのに対して、香港・台湾・中国は2、3%に過ぎません。
また、訪日外国人全体の滞在日数と比べて韓国人の滞在日数が少ないというのも以下のデータからもわかります。
したがって、日帰り旅行をするのが現実的である国と地域からの旅行者のうち、韓国人の割合が非常に多いであろうという予測ができることになります。
では、具体的に韓国人旅行客の日帰り客はどれくらい居るのか?
大分県別府市の場合
観光客数86万人増 外国人客も過去最多 別府市 - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate
総観光客数の内訳は日帰り客が626万2548人、宿泊客が254万4330人だった。熊本・大分地震の影響が大きかった16年には800万人を5年ぶりに割り込んでいたが、順調に回復し、地震前の15年を約1万人上回った。
一方で観光消費額は約892億円と推計。1人当たりの単価の減少で15年の水準(約960億円)には届かず、市観光課は「消費額をいかに増やすかが課題。キャッシュレス化の促進などに力を入れる」とした。外国人客の内訳は日帰り客が11万1409人、宿泊客が48万6037人。国・地域別では韓国が32万9680人と約11万6千人増加し、全体の約55%に達した。市観光課によると、大分―ソウル間の定期航空便の増便などが追い風になったという。
以下は▽台湾(8万9664人)▽香港(6万2598人)▽中国(5万447人)▽タイ(1万8778人)―と続き、アジア地域が全体の約95%を占めた。
2017年の数値ですが、韓国人観光客の割合が台湾、香港、中国と比べても多いというのが分かります。また、外国人旅行客の95%がアジア地域だったということで、日帰り客もこの割合が参考として使えるのだろうと思います。
フェルミ推定してみる
滞在日数のグラフのうち、2~9回目の日本への渡航の数字を利用するのが平均的な旅行者の動向に近いと思われます。
滞在日数3日以内のうち、日帰り客は滞在日数1日です。内訳は3分の1ずつだと仮定します。ここはよく分かりません。
外国人旅行者全体の中で、アジア地域の日帰り客が80%と考え(別府市は東アジア諸国に近く路線もそれらが充実しているため数値が多いと予想)、さらに東アジアの上記4地域を考えると割合は60%だと仮定します。この辺はテキトーです。
その上で、韓国:台湾:香港:中国=34:2:3:2
計算が面倒なので韓国を33にします(笑)
すると、韓国は49.5%、他のアジア3地域は10.5となります。
これを、日帰りの訪日外国人客の推定である800万~1000万人に当てはめると、4地域が60%なので420万人~600万人の49.5%ですから、韓国人旅行者の日帰り客は少なく見積もって約200万人となります。
韓国人旅行客の総数が754万人ですから、そんなにおかしな数値ではないでしょう。
また、2018年の訪日外国人数の全体が約3119万人で、韓国人は753万人と約24%ですから、最初に示した日帰り外国人800万~1000万人という推計ともそんなにズレが無いと言えるでしょう。
まとめ
- 日帰り客の消費額・消費単価はとても低い
- アジア諸国は日帰り客が世界全体と比べて多い
- 韓国人は他の近隣アジア諸国と比べて滞在日数3日以内の人数が10倍程度多い
- よって、韓国人は日帰り客がとても多いと考えられる
- したがって、韓国人の1人あたりの消費単価(客単価)は低いと考えられる
- 概算推定すると、年間200万人の韓国人が日本に日帰り旅行をしている
以下の記事で「1宿泊あたりの消費額を見ると韓国人はむしろ高い」という意見を言ってくる人が多かったのですが、それは韓国人にとっては「嵩上げ」になる(0泊が多いので)ので不適当だと言ってきました。
(他の国は東アジア3国でさえ嵩上げが無視できる程度に少ない)
今回、概算をしてみてその事が正しかったと改めて感じます。
以上